『スリジエセンター1991/海堂尊』を読んで
序章から不穏です。結末も悲しい。
何もこんな結末にしなくてもって海堂さんに悪態をつきたくなりました。
スリジエハートセンター創立に向けての理想を追い求め資金確保に邁進する天城医師、そして、なんとしてでも阻止したい高階医師の攻防がメインストーリーです。
政治的な権力争いは見苦しい。医療データを渡さないなんて卑怯すぎる。高階、嫌なやつ!
天城医師が世良に弱音を吐いていた言葉、とても悲しかったです。
「私は日本で愛されなかった。些細なことに反発され、刃を向けられ、足を引っ張られる。患者を治すために、力を発揮できる環境を整えようとしただけなのに関係ない連中が罵り、謗り、私を引きずり下ろそうとする。私はそんな祖国に愛想が尽きてしまったんだ」
悲しい結末だけど、天城医師の思いは繋がっています。松明の火は受け継がれ、スリジエは咲き続けることでしょう。
補足です。
天城の公開手術当日に城東デパート火災の大惨事が起きていました。ここでジェネラルルージュが誕生したのですよね。こういうチラリの繋がりが嬉しかったので、ジェネラルルージュも読み返すことでしょう。←蛇足
この記事、保存しっぱなし公開するのを忘れてたみたいです。てへ。