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「未明の砦/太田愛」を読んで感じたこと


大手自動車メーカー「ユシマ」で働く4人の若い非正規工員達が指名手配される事になったのはなぜ?逮捕寸前で彼らを逃がすために密告電話をしたのは誰?
謎だらけで始まり、夢中になって読んだ616ページのこの作品、驚いたり、憤ったり、ホロリとしたり、感情が揺り動かされまくりで大変でした。

「未明の砦」
タイトルも秀逸

それぞれの事情で寮にいるしかない夏休みを過ごすはずだった4人に海辺の田舎での夏休みを与えてくれたのは「ユシマ」のベテラン正規工員の玄羽さん。その玄羽さんが過酷な仕事中に亡くなった死を労災と認めず有耶無耶にする会社に立ち向かうのです。

過労死がすぐ隣にあるような酷い環境下での過酷な作業、その上、使い捨てのような労働条件に驚きました。
名誉のため過労死を認めず、政治家や公安との繋がりで何事ももみ消してしまう体質の会社には怒りしかありません。

4人の容疑は共謀罪。
表向きはテロを抑止するための罪、その実は、公安にとっては自由自在に市民を逮捕できる都合の良いものです。腹立たしいやら呆れるやら。

彼ら4人が夏に朱鷺子の文庫部屋で読んだ読書記録を薮下刑事が調べ読んで理解していった過程では、私も一緒に学ばせてもらいました。
彼らを支え守った朱鷺子は知識も覚悟も素晴らしい!格好良すぎる!

眉間に皺を寄せ、手に汗握り、最後の頃は祈るような気持ちで読んでいました。
面白かった!です!だけど、それだけではなくて、社会の歪さを考えさせられ、自分の無知の怖さを突きつけられ、自分のお花畑な思考を反省しました。
それから、太田愛さん、公安にマークされないかなとか心配にもなりました。大丈夫?









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