見出し画像

さよなら

外は明るくなってきていた。

ふと、気配を感じた。数年の闘病生活ののち旅立った友人。

昨年の初夏までは自分で運転して遊びに来てくれていた。
その後ひどく病状が悪化。

昨年足を骨折して以来、運転のできない私。
お見舞いにも行けず、とうとう会えないまま彼女は逝ってしまった。

スマホを打つことさえ難しくなっている様子だったのに、
ギリギリまで私のことを気遣うメッセージを送ってくれた。

もう一度会いたかった。叶わなかった。

笑っていた。
いつもの笑顔だった。
「もう行くよ」って聞こえた気がした。
くるりと向こうを向いた。
背中が遠くなった。

夢なのか目が覚めてるのかよくわからなかったけど、
涙がこぼれそうになった。

もうさよならなんだね。笑顔で見送らなくちゃね。

起きてからカレンダーを確認してみると、そろそろ百日。

今年の桜はまだ蕾がかたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?