本場の教科書、おそるべし
最近は毎週日曜日に「アゼルバイジャン語基礎1500語」と題して毎回20語ずつ出題しまして、その解答例は有料部分にしつつ公開しているわけですが、種本としているのはバクーで入手した、大学の留学生対象の教科書です。
教科書はぜんぶで3冊。初級(başlanğıc səviyyə)、中級(orta səviyyə)、そして上級(yüksək səviyyə)となっています。これらはもちろん、文法解説も例文もすべてアゼルバイジャン語。
単語リスト作成はこのうちもちろん初級からスタートしまして、重複を避けながら(なんとか手作業ですがやっています)1000語、ひいては1500語あたりをひとまず目安としてやっていってみようという企画です。
全部覚えれば、とりあえず長く続けていくためのスタートには立てるでしょう、という例の語学のノウハウの話を踏まえてやってみているわけですが…現在リスト化できているのは900語、目標全体の6割というところです。で、教科書の進度としては初級テキストの前半1/3あたりに来ているというところ。
おわかりになりますでしょうか?全体で3冊あるうちの最初の1冊、その1/3あたりですでに900語に達しているというこの現実。
ここに、現地で入手する教科書のきわめて明白なストロングポイントがあると言えるでしょう。1冊の教科書で触れられる語彙が、日本で出版されるものよりも圧倒的に多いということです。
比較対象にしてよいかどうかはわかりませんが、同じようなことを最近日本で出版されている市販のトルコ語教科書でやってみていました。説明はもちろん日本語、文法の説明は一通り押さえてある教科書です。
これも、派生語も私自身のほうで多少足したりなどしたのですが(たとえば、gülüş-「笑い合う、いっせいに笑う」のような動詞があるとしたら、gül-「笑う」という動詞がもしその教科書で出ていなかったとしたら自分のほうで付け加えた、といったようなパターンです)、それでもおよそ650語を少し上回る程度でした。
650語ですよ650語。少々物足りないな…ということにはなりそうでしょう?
まあ本当に、こうやってみるとけっこうしつこく記事で書いてきているのですよね。わが身を棚に上げて…とは重々承知のうえですが。常々、教える側の立場として学習者に語彙をどうやって習得してもらうかということを気にするのはそういった事情からなのです。
つまり、1冊で完結するような教科書というものが残念ながら存在しない(もちろんあればいいのですが、現状ないものは仕方がない!)ので、どうしてもサプリメント的な対策が必要になってくるというわけです。
それで、「どうやったら単語を覚えられますか」という課題にも取り組んでいくというわけです。先日書いた通り、私個人の回答としては「王道なし」。地道に地道に、使いながら、あるいは目にしながらものにしていくしかない。
隙あらば鍛える。筋力トレーニングと全く同じことかもしれませんね。
自分自身、文法の大枠というか概略をきわめてラフにスケッチしたような本を出させてもらった経験のある身としてなかなか複雑な立場ではあるのですが、「しくみ」を知るのはもちろん、それはそれで重要です。
一方で、「筋力」がないとパフォーマンスとしてはどうしても上がらないのもまた事実でしょう。というわけでトルコ語しかり、アゼルバイジャン語しかり。語彙は文法の理解とは別に鍛えるべし、です。
これはもう、なりふりかまわず現地の教科書だろうが小説だろうがインターネットで読めるテキストだろうが、とにかく利用できるものは利用しながら鍛えていくしかないですね。
語学の筋トレも、サボらずあわてず取り組んでいくしかないのであることだ…と「現地の教科書」をめくりながら改めて思う、連休終盤の朝であります。どうぞみなさまにおかれましても、残る休日(週末を連休の一部とみなしています!!)が有意義でありますように。
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