トルコ関連の中公新書を推してみる
ツイッターで最近、にわかに新書についての議論があったようで、私も何かそれに関係することを発信してみようと思ったのですが、いざ書いてみようとなるとなかなか気が引ける…。つまり、全部を読んでいなかったり、どう言う内容かをはっきり思い出せなかったり、そういう事情なのですが。
で、言語学関係の新書についてはもう、プロパーの皆さんがたくさんおられるのでそれはその方々にお任せするとしまして、せっかくなので私が最も好きなレーベルこと中公新書で、トルコ関係のオススメを5冊ほど紹介しておきます。
1. 松谷浩尚 (1998) 『イスタンブールを愛した人々 エピソードで綴る激動のトルコ』
まず、これから読むのがいいのではないかと個人的には思います。イスタンブルに関わりのあった主だった人物(シュリーマンとかナイチンゲールとか、日本だと芦田均とか)が概略的に紹介されているという意味で、トルコの近代を知る導入にぴったりの本。
この中に、次にあげる本でテーマとなっている人物も出てきます。
2. 田中辰明(2012)『ブルーノ・タウト 日本美を再発見した建築家』
ブルーノ・タウトは日本でも有名な建築家ですが、トルコ ともゆかりのある人物として知られています。私がアンカラにいたときの職場も、初期の校舎の部分を手掛けたのが彼だと言うので、豆知識として知っておく必要があったことでした。
トルコ現代史については、こちら。実はまだ未読なのですが。
3. 今井宏平 (2017) 『トルコ現代史 オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』.
オスマン帝国最末期から現代までを、かなり詳しく説明している(と私には思える)1冊。新書で現代史が通して勉強できるのはありがたいことです。
現代史の前、オスマン帝国の歴史を通読するなら、小笠原先生のこの本です(先生はアンカラで実は知り合う機会があり、大変お世話になったので特に力を入れて推しておきます!)
4. 小笠原弘幸 (2018)『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』.
これもまだ通読していなくて申し訳ございませんという気持ちなのですが、『トルコ現代史』と同じく、帝国の歴史を通して読めるありがたい1冊です。小笠原先生からは別にもう1冊、別の新書もご恵贈いただいたことがあり、それも後日また紹介します。
そして最後、私の人生をある意味決めてしまった一冊。1991年刊行ですから、ずいぶん昔の本にはなってしまっていますが。
5. 小島剛一 (1991)『トルコのもう一つの顔』.
私が中学校・高校あたりで出会ってしまった一冊。これで、言語学って面白そう、フィールドワークって面白そう、トルコ語(ほかトルコで話されているさまざまな言語)って面白そうという興味を持ってしまったのでした(その後、フィールドワーカーとしてはかなり中途半端な存在になってはしまいましたが)。
で、若かりし阪神ファンだったウギャーさん青年は、これは大阪外大トルコ語専攻になにがなんでも行かなければ…という決心を固めた、ってことで現在にいたるわけです。
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ツイッターでも書きましたが、新書は侮ってはいけません。人の人生を決めますって。マジで。
「新書を読めない大学生が…」とどなたかが発言するのを聞いた時、私が一瞬思ったのは、「当該ジャンルの面白さが伝わってないからでは?」ということでした。人間、興味あることは多少難しくても知ろうとすると思うんです。どうよ?
で、とりあえずトルコ関連は、中公新書から出ているぶんで上にあげただけでもいろいろ出ています。他にも出ているかもしれませんから、思い出したり教えてもらったら、随時また書きます。
いずれも良書(未読のものもあるけどな!パラパラめくってわかるんです、よいものはよい)と言ってよいでしょう。ともかく、「なぜトルコにそんなに興味があるのですか?」と我々にお尋ねになりたい方は、ぜひまず中公新書あたりから入っていただきたいなと、一テュルク語学徒のはしくれの身としては願うところです。