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大学入試共通テスト・現代文新傾向問題への取り組み
久しぶりに本業(教育・高校・国語・現代文)に関する記事。
定期テストも一段落して、ただ今春期講習の真っ最中です。高校2年生向けに「大学入試共通テスト対策」講座を開設しています。
毎回テーマを決めて講習を考えるんですが、今回のテーマは「新傾向問題への取り組み」です。センター試験が終わり、新たに始まった共通テストですが、幾つかの教科では出題形式に変更がありました。それらの総称を「新傾向問題」と呼びます。
国語では、センター試験終盤に会話型問題や絵を見て答える問題が追加され、共通テストになってからは複数の文章に跨る問題が新たに出題されるようになりました。
結局導入されなかった試行テストでの記述問題など紆余曲折を経て2年目が終了したわけですが、ある程度傾向が見えてきたことを踏まえて今回の講習を実施しました。
まず大前提として、出題形式が変わったからと言って解き方が変わるわけではありません。大学入試を目的とする高校現代文では、本来は正解が一つではないはずのものを無理矢理型にはめているわけています。「誰が見ても正解」と納得する根拠があることが第一。それを導き出すのは同じく型にはまった「スキル」です。指示語や選択肢の分割など、見るべきところを見れば、ある程度機械的で自動的に答えが導かれるのが入試現代文なのです。
ただ、新傾向問題と言うだけで苦手意識を持つ生徒が多数いるのが現実です。そこで、今回の講習の目的は、①変更点を知る、②解法のポイントを抑える、に設定しました。
① 変更点を知る
まずは簡単に変更点を整理することから始めました。
・後半の問いの出題形式が変わる
・問題数が増える
・読む文章の種類が増える
・読む文章の量が増える
これだけ見ると、単純に難しくなったという印象が強いかもしれません。しかし、実は問題自体は易しくなっていると感じています。以前は、選択肢が非常に長く更に文章全体を読み直さなければならないものだったのが、空欄補充や指定された個所を読み解けば、正答に辿りつける問題になりました。確かに問題数は増えましたが、難しい問題1つで8点よりも、易しい問題2つで8点の方が点数を取りやすいと思います。
② 解法のポイント
解法のポイントは2つあります。
・複数の文章の共通点を見つける。
・登場する第三者を理解する。
まず、異なる複数の文章に関わる問題の場合、必ず共通点があるはずです。その共通点に関する正誤を問うものがほとんど。そして、その共通点は問いの中に具体的に示されている。「同類語」と僕は呼んでいますが、同じ言葉、似た言葉を見つけて整理することで正解は見つかります。
そして、問いに登場する第三者の立場を理解する。第三者は出題者と回答者の間に現れ、自分の考えを述べます。その彼を理解する為には、メタ認知する能力が求められているのではないでしょうか。
メタ認知とは、簡単に言うと何かをしている(認知している)自分を客観的に把握する。ってことです。生徒に説明するときは、「羅生門」での唐突な語り手の登場や、「絵を描く人の絵を描く人の絵を描く人の絵・・・」を例にして説明しています。
この第三者が存在する「位置」の把握と「考え」を理解することが、出題者が求めている能力です。その為、これまで中心となってきた難解な読解問題を解くのとは異なる能力が必要となります。
この2点を踏まえると解き方はこれまでと同じで、そして問題自体は易しくなっている。
これらを説明させたうえで問題に取り組ませましたが、スムーズに進めることが出来たと思います。 解き方を知れば全ての問題に直結することを意識し、これからも頑張ってほしいです。