ワンダーランドとワンダーワールド
いつかどうにかなるんじゃないかと思っていたけど、どうにもならないままに時間は勝手にいつも通りに過ぎていくばかり。
何もしないままでも時間は過ぎていくことを考えると、眠れなくなる時がある。決して悪いことを想像してしまうとかではなく、不安を感じているとかでもない。ただ、漠然としたもの。将来どうなるのかな。この先僕らは前みたいに笑って過ごせるのかな。結婚できるのかな。子どもはいるのかな。
気付けば1人きりの夏の夜。いや夏じゃなくても1人なんだけど。何か全てのやり方を忘れてしまったような感覚、錯覚に不意に襲われる。
夢を見ることがよくある。自分の夢には色々な人が出てくるし、色んなものが出てくる。アリス・イン・ワンダーランドを描いたルイス・キャロルはどうやってあんな話を思いついたんだろう。娘から聞いた話だという話もあるけど、あんなふうに全てがごちゃ混ぜで整合性の無い世界は多分誰もかれも頭の中にある世界だと思う。
現実を少しだけ忘れて過去と未来を行き来してみる。ディズニー、銀杏BOYZ、ジャックパーセル、石田衣良さん、ウシジマくん、汚れっちまった悲しみに、コービー・ブライアント、スキニージーンズ、吉祥寺の古着屋、国分寺のカレー屋。
例えば何もない世界だったとする。どんな世界を創るんだろう。宇宙でたった1人。例えば全てが満たされた世界でどう生きていくだろう。「トゥー・ヤング・トゥー・ダイ」の最後の天国みたいな感じ。望まないものも望むものも一緒くたになった「パプリカ」みたいな世界はどう?あれはまさに表現の藝術だった。小説も映画もね。
バニラズの「アダムとイブ」、エヴァンゲリヲンのシンジとアスカみたいに2人だけになったら?どうやっても2人しかいないことなんかないと思うけど、もしそうなったら。
きっとあなたはその人のことを大切にするでしょう。そうして幸せになるでしょう。いやなって欲しい。
誰にでもそういう可能性はあったと思うんだ。もしだよ、もしあの人と付き合っていたらとか、出会っていたらとかね。言っても仕方のないことを言っても仕方ないんだけど、口に出すことで今の自分と過去の自分を肯定していく。
俺好きだったんだよね。
言えなかったけど、いつか言えるかもしれない。そんなワンダーランド、そしてワンダーワールド。パラレルな世界線はいつも横にある。そう考えると色んな自分がいたかもしれない/いることに気付く。考えることが出来る可能性は多分どこかで実現していた。いや、しているかも。平行に進む世界や理想的な世界、どん底な世界もあるかもしれない。
12時を回る前に、壊れた時計の針を直そう。