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遊びと命。
※トップ画像は、愛するスピッツへのオマージュです。
※心理カウンセラーが、自分の担当する相談ケースについて、経験豊かな心理カウンセラーから助言や指導を受けることを『スーパーヴィジョン(以下、SV)』と言います。
心理カウンセラーがSVを受けるときには、心理カウンセリングを受けるときと同程度の料金が必要になります。通常、個別SVの料金は、8,000〜10,000円程度です。
以下の本文は、上記のようなSVの際、筆者が実際に助言を行った内容を纏め、より詳しく説明するために加筆したものになります。
✏︎以前、助言役として研修会に参加したときのことです。スクールカウンセラー(以下、SC)をされている方から、こんな相談がありました。
「こどもと遊んでいたり、相談室があそび場になっていたりすると、“あの人専門家なのに何してるの?”って思われそうで悩んでいる。そのような関りを理解してもらうには、どう説明したら良いでしょうか?」
わたしも、駆け出しの頃、SCとして働いていましたので、質問をされた方の気持ちに共感できます。
同じような悩みを持つSCの方は少なくないようです。その際、助言を担う心理カウンセラーから寄せられた多くのアドバイスは、
_『あそび』は、こどもとの信頼関係を深めるために大切なこと
という視点に集約されていました。これは、確かに大切なことのひとつですし、私も同意見です。
ただ、個人的には、この他にも、大切なことがあると感じていました。発せられた質問に関連して、思い出されることがあったからです。それは何かというと、
コロナ禍では、多くの行動制限とともに
より根源的な活動が制限されたと感じた
ということです。
『いのち』に近い活動が制された
と言い換えることもできます。
どうやら、不要不急のスローガンの下でひと括りにされた活動のなかに、制限されてしまうと私たちの命が窮屈になる活動が含まれていたようです。それが、
『あそび』、と呼ばれているものです。
動物をはじめ生き物は、よく遊びます。
特に、野生の動物のこどもを見ているとわかります。わたしたちも、かつて、そうであったように、こどもは『あそび』を通して、自分と、相手と、この世界のことを知っていきます。ですから、
『あそび』は、
この世界を生きることへとつながっている
といえます。
だとすれば、一生懸命遊ぶことは、一生懸命生きることに他なりません。でも、それだけではないようにも感じます。
何か困ったとき、苦しいとき、わたしたちは退行します。こころも、からだも、退行します。
心理を学ぶ者なら、何度も耳にする『退行』という言葉。学び始めた頃のわたしのなかには、
「そもそも、退行って、何なん」
と、藤井風ふうにツッコミたくなる気持ちがありました。臨床の諸先輩方の知恵をかりれば、それは、
_むかしに戻ること
といっても、物理的には戻れませんので、
それ以外のできる範囲で、あの頃へと戻ります。あの頃、意識しなくてもうまく行っていた方法の再利用といわれるものです。
そこに、『あそび』が含まれています。
前置きが長くなりましたが、わたしは、この社会で生きていて、こころが辛くなったとき、生きていることが苦しくなったとき、幼い頃の『あそび』、夢中になった『あそび』へ戻ることの大切さを、あらためて痛感しています。わたしの場合、それは、
空や山や水面をながめること、
だったり、
自然と触れ合うこと、
だったり、
弾き語ること、
だったりします。
それらの『あそび』は、
つらいとき、
苦しいとき、
闇の奥深くにいるとき、
命の灯火が弱まるとき、
わたしを、支え、癒してくれます。
厳密にいえば、
それらの『あそび』を介して、
ほかのいのちあるものや、
自然・世界・宇宙とつながることにより、
わたしの『いのち』のなかにある癒しの力が
引き出されます。
そして、その力は、この世界で生きていることを、生き続けることを、支えてくれます。その力の元になった『あそび』は、文字通り、夢中・無心になって遊んだことで身につけました。だとしたら、
こどもと触れ合い、
『あそび』を介して共に生きるとき、
彼らの『あそび』なかに、
彼らがその後の人生で苦しくなっとき、
彼らを支え、癒す力(その土壌となる資質)を見つけてあげること、それは、
こどもに関わるに専門家にとって、
専門知識や専門技術と同等か、
それ以上に大切なこと、
だよな、と。
身勝手な考えかもしれませんが、そんなときのために、普段、自分自身が一生懸命遊んでいることは、こどもに関わる専門家としてだけでなく、禍の絶えないこの世界に生きる『いのち』としても大切なこと、だと感じています。
きっと、
これを目にしているみなさんにも、
みなさんの『いのち』にとっての『あそび』が、
ある、はず。
なぜなら、
これまで生きて来て、
いま、そこに、確かに生きている、
のだから。
今を生きる子どもたちは、いのちを支えてくれるこの『あそび』を、どれほどしているだろう、
その『いのち』は、何を通して、この世界とつながっているのだろう、
そして、今を生きる子どもたちを見守る、私たち大人は、『いのち』を支えてくれる『あそび』を、どれほどし続けているだろう、
なぜなら、
生活様式がどれだけ変わっても、いつの時代も、子どもは、最も身近にいる大人の振る舞いを見て学び、育って行くのだから。
そんなことを思わずにはいられない、
今日、この頃です。
あなたの命という名の時間を使って、
最後まで読んでいただいたことに、
心から感謝します。
どうか、
あなたのこころが、からだが、いのちが、
すこしでも、楽になりますように。
✎_心理カウンセラーU
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