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悩みはありますか


先日、あるオンラインセミナーに参加した。
かなり多くの人が参加されていたが、傾向としては「自分を変える」「より良い人生を手に入れる」ための、ある意味自己啓発セミナーだった。

決して怪しいものではなく、立派な方がお話されるものだったので、参加してみた。
オンラインであっても、決して一方的ではなく、双方向型を心がけているようで、度々参加者のリアクションを求められたり、質問がなされているものだった。

その一環として、セミナー冒頭にある質問がなされた。
それは「あなたは悩みがありますか。あったら、コメント欄に書いてください」というものだった。

「あなたは悩みはありますか」
と質問されたら、あなたはなんと答えるだろうか。

私も自分に問いかけてみた。コメント欄には、次々に様々な答えが書かれていく。
家族関係、夫、妻との関係、子供のこと、お金、稼げない、将来への不安、など、驚くほどほとんどの答えが似通っていた。

このセミナーへの参加者の人たちは、これらを解決したくて参加しているのだということがわかった。
当の私は、これらの回答を見ながらも考え続けたが、本当に一つも答えが見つからなかったのだ。
悩みはない。
それが私の答えだった。

これは改めて誰かに問いかけられたからこそ、気づいたことだったが、私には悩みはないらしい。
確かに悩みはないな、という結論に達した。

じゃあ、不安は一切ないのか?
と言われたら、不安は2%くらいはある。ただ、それは漠然とした不安であって、特定の問題で悩んでいるわけではない。生きていれば、多少の漠然とした不安、それは未来がどうなるかがわからない不安であったり、予期せぬ出来事が起きるかもしれないというものであり、未確定で自分自身がどうすることもできない未来への不安だ。
しかし、そんなことを考えていても仕方がないこともわかっている。誰にだって未来は見えないからだ。

具体的で、差し迫った悩みがない、とわかった時、ああ、私は幸せなんだな、と思った。
もちろん、少し前まで悩みはあったし、不安は80%くらいあった時期もある。
しかしなぜ私が今、悩みがないのか、を考えてみた。

健康であること→食生活、運動、睡眠について、日頃から気をつけていることが多いこと、ストレスがほとんどないことが、理由だろう。

経済的管理→結局は、収入と支出のバランスをとっていれば、大きく悩むことはない。お金を使いたい部分と、使いたくない部分、必要なものと必要でないものがわかっているから、できるのかもしれない。

将来設計に基づいた日々の行動→将来設計が一番難しいことではあるが、心に従って決めていくと、不思議とそのヒントだと感じるメッセージを見つけたり、人に出会ったりする。そして、本当にやりたいことにのみ、時間を使っている。

何気なく思いついたことを書いてみたが、見直してみて共通点があることに気がついた。
それは、「自分を知っている」もっと言えば、自己容認、自己受容、自己一致ができているのだということだ。

自分の体の特徴を知ることは、健康を守ることになる。季節のかわり目に、喉が痛くなることがあるが、その時にはどうしたら回復するのかを知っている。さらには、ほとんど薬やサプリを飲まないのは、以前薬アレルギーを起こしたことがあるからだ、
ありがたいことに健康な体を両親からもらったようなので、薬も医者もほとんどいらない体であり、何かあったときには東洋医学のお世話になることが多い。かかりつけのお医者さんや、東洋医学の先生を見つけていることのおかげでもある。

また、自分が何にお金を使ったら幸せなのか、を知っている。私の場合は、旅だ。
それ以外のものは、ほとんどお金を使わない。この1年ほどはほとんど服やバッグを買っていないし、買うとしたら消耗品である、下着、靴下やタイツなどだ。

将来設計については、自分に問いかけてみることで答えがやがて出てくることを知っている。
やりたくないことを書き出してみたら、残ったものがやりたいことであったり、新しく挑戦したいことがあったら、「本当にそれをやりたいのか」を問いかけてみる。時々脳は嘘をつくことがあるから、心に聞いてみる。
すると、自然と答えが出てくる。答えが出てくるまで待つ。
答えが出れば、すぐに動き出す性格も知っているので、焦らないで待つ。

長く生きてきたからこそ、自分のことがわかったのかもしれないが、その間失敗も挫折もたくさん経験している。ただ、そのおかげで自分を知ることができたのであれば、全ては無駄ではなかったのだと言える。さらに、昨年私は「誰にも見せることのない、回想録」10万字ほどを書いている。回想録を書くことによって、忘れていた自分や、助けとなった人たち、本などを思い出し、感謝し、自分の運の強さに自信を持てた。
私が特別運が強いわけではないのだが、私を含めほとんどの人は自分のことを運が強いとは思っていない。今ある程度の年齢まで生きられていることだけでも、実はかなり運がいいのに。

今まで楽しかったことや、幸せだと感じたことがあれば、それだけでも運がいいのに。

人は、不幸にフォーカスしがちで、恵まれていることや、幸せの瞬間を拡大することは少ない。
私もそうだったようで、自分がいかに恵まれていたのか、をこの回想録によって気がついた。
思えばここから悩みがなくなっていったような気がする。なぜなら、魔法の言葉を見つけたからだ。

「なんとかなる」

今まで何があっても、もうダメだと思っても、結局なんとななってきたじゃないか。
だからこれからだって、何があってもなんとかなる。
そう思えることで、ほとんどの悩みが消えたのだ。

「なんとかなる」は、英語で言えば、Let it be、
ビートルズの歌のタイトルでもあるが、あんな昔から人に生きる指針のようなものを歌にできているところが、彼らが天才だと言われ、今でも聞き続けられている理由なのかもしれない。

悩みはない。
やりたいことはある。
私はそれだけで十分に幸せらしい。

それがわかった時、私にはこのセミナーは必要がないと判断し、退出した。
今日は、Let it beでも聞いてみるとしよう。


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Hiromi  U.
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