フリーランス新法 完全解説シリーズ【第2回】実務担当者のための具体的対応マニュアル

こんにちは。前回は法律の概要をお伝えしました。第2回となる今回は、実務担当者の方々が具体的にどのように対応すべきか、実践的な内容をお届けします。

契約書作成の実務ポイント

1. 必須記載事項チェックリスト

基本事項:

  • 業務内容(具体的な作業範囲)

  • 成果物の仕様(納品形式、品質基準)

  • 報酬額(算定方法、経費負担)

  • 支払条件(支払日、支払方法)

  • 契約期間(開始日、終了日)

付随事項:

  • 知的財産権の帰属

  • 秘密保持義務

  • 個人情報の取扱い

  • 再委託の可否

2. 契約書作成時の実務上の工夫

  • 業務範囲は箇条書きで明確に

  • 報酬の計算方法は具体例を記載

  • 納期や検収基準は数値で明示

  • 変更手続きを具体的に規定

支払管理体制の整備

1. 支払管理表のポイント

  • 契約締結日

  • 納品予定日

  • 検収完了日

  • 支払期限(納品から60日以内)

  • 実際の支払日

  • 支払金額

2. 支払管理フローの例

  • 納品受領 → 検収作業(5営業日以内) → 請求書受領 → 支払申請 → 承認 → 支払処理 → 支払完了

3. トラブル防止のための仕組み

  • 支払期限の2週間前にアラート

  • 検収遅延の防止策

  • 支払遅延時の対応手順

  • 緊急時の支払処理ルール

社内体制整備のポイント

1. 相談窓口の設置

  • 担当部署の明確化

  • 連絡先・対応時間の設定

  • 相談記録フォーマットの準備

  • エスカレーションルートの設定

2. 担当者教育のための研修項目

  • 法律の基本的理解

  • 禁止行為の具体例

  • 契約書作成の実務

  • トラブル対応の基本

3. 記録保管の具体的方法

  • 保管が必要な書類一覧

  • 保管期間(取引終了後5年)

  • 電子保存時の要件

  • アクセス権限の設定

実務担当者のためのチェックリスト

契約締結時

  • [ ] 契約書の必要事項確認

  • [ ] 支払条件の確認

  • [ ] 双方の署名・押印

  • [ ] 契約書の保管

  • [ ] 支払管理表への登録

業務遂行時

  • [ ] 進捗状況の確認

  • [ ] 変更事項の書面化

  • [ ] コミュニケーション記録

  • [ ] 納品物の検収

支払管理

  • [ ] 請求書受領確認

  • [ ] 支払期日の設定

  • [ ] 支払実行確認

  • [ ] 支払記録の保管

具体的な対応例

1. 契約変更時の対応

  1. 変更内容の確認

  2. 変更合意書の作成

  3. 双方の合意取得

  4. 社内承認手続き

  5. 記録の保管

2. 支払遅延防止の対応

  1. 毎月1日に支払予定確認

  2. 15日前に担当者アラート

  3. 7日前に管理者アラート

  4. 支払処理の実行

  5. 完了確認

次回予告

第3回では「トラブル事例と対応策」として、実際に起こりやすいトラブルとその解決方法について、具体的な事例をもとにご紹介します。

下記、上本町社会保険労務士事務所のホームページでも
働き方改革「新章」:フリーランス保護法で実現する柔軟な人材活用戦略
について解説しています。

※本記事の内容は、2024年11月1日時点の情報に基づいています。

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