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【読書メモ】『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)


▶今回の読書記録『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)

  • 『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』

  • 安斎 勇樹 (著), 塩瀬 隆之 (著)

  • 学芸出版社

▶感想

「問い」をデザインするというのはどういうことなのか?と思いながら本書を読み進めました。丁寧に1つずつ言葉を定義、解説しながら、分かりやすくステップ化して記載してあって、とても分かりやすかったです。
一方で、書いてある内容は結構深いので、なかなか1回読んだだけですぐに実践できるものではありませんが、読後メモに残したものを常に気に留めながら、今後、問いをデザインしていきたいです。

▶読後メモ

  • 問いとは

    • 辞書の定義:①問うこと。尋ねること。質問 ②問題、設問

    • 英単語:question, problem, inquiry, issue, theme

    • 定義:人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み直すための媒体

  • 問いの基本性質

    1. 問いの設定によって導かれる答えが変わる

    2. 問いは思考を感情を刺激する

    3. 問いは集団のコミュニケーションを誘発する

    4. 対話を通して問いに向き合う過程で、個人の認識は内省される

    5. 対話を通じて問いに向き合う過程で、集団の関係性は再構築される

    6. 問いは、創造的対話のトリガーになる

    7. 問いは、創造的対話を通して、新たな別の問いを生み出す

  • 問いから生まれる4つのコミュニケーション

    1. 討論どちらの立場の意見が正しいかを決める話し合い

    2. 議論合意形成や意思決定のための納得解を決める話し合い

    3. 対話:自由な雰囲気の中で行われる新たな意味づけをつくる話し合い

    4. 雑談:自由な雰囲気の中で行われる気軽な挨拶や情報のやりとり

  • 変容的学習のプロセス(ジャック・メジロー)

    1. 混乱を引き起こすジレンマ

    2. 恐れ、怒り、罪悪感や恥辱感の感情を伴う自己吟味

    3. 想定(パラダイム)の問い直し

    4. 他者も自分と同様の不満と変容プロセスを共有していることの認識

    5. 新しい役割や関係性のための、別の選択肢の探究

    6. 行動計画の作成

    7. 自分の計画を実行するための、新しい知識や技能の獲得

    8. 新しい役割や関係性の暫定的な試行

    9. 新たな役割や関係性における、能力や自信の構築

    10. 新たなパースペクティブ(ものの見方)の、自分の生活への再統合

  • 新しい関係性を構築する4つのステップ

    1. 溝に気づく

    2. 溝の向こうを眺める

    3. 溝の渡り橋を設計する

    4. 溝に橋を架ける

  • 「創造的対話」とは、新たな意味やアイデアが創発する対話のこと

  • 問いの基本サイクル

    1. 問いの生成と共有

    2. 思考と感情の刺激

    3. 創造的対話の促進

    4. 認識と関係性の変化

    5. 解の発見・洞察

  • 質問と発問と問いの違い
        問う側      問われる側    機能

    • 質問:答えを知らない  答えを知っている 情報を引き出すトリガ

    • 発問:答えを知っている 答えを知らない  考えさせるトリガ

    • 問い:答えを知らない  答えを知らない 創造的対話を促すトリガ

  • 問いのデザインの手順

    1. 課題のデザイン:問題の本質を捉え、解くべき課題を定める

    2. プロセスのデザイン:問いを投げかけ、創造的対話を促進する

  • 「問題」の定義=何かしらの目標があり、それに対して動機づけられているが、到達の方法や道筋がわからない、試みてもうまくいかない状況のこと

  • 「課題」の定義=関係者の間で「解決すべきだ」と前向きに合意された問題のこと

  • 課題設定の5つの罠

    1. 自分本位:関係者全員にとって建設的な課題になっていなかったり、解決する社会的意義が欠如していたりする

    2. 自己目的化

    3. ネガティブ・他責:課題の設定が後ろ向き

    4. 優等生:課題の設定が前向きでも、解決する動機づけがされていなかったり、対話が深まらなかったりするケース。例「持続可能な社会をつくるにはどうすればよいか?」「ポイ捨てを減らすにはどうすればよいか?」

    5. 壮大:設定された課題が壮大過ぎる。例「100年後の人類を幸せにするプロダクトを作る」「教育の評価システムを変革する」

  • 問題を捉える思考

    1. 素朴思考:素朴な疑問。5W2H

    2. あまのじゃく思考:わざと創造性とは正反対の「アイデアを潰すような心無いひと言」を考える「How to Kill Ideas」

    3. 道具思考:道具/主体/対象 → 結果

    4. 構造化思考:問題状況の要素間を関係性を整理しながら構造化する

    5. 哲学的指向:本質観取で考える

      1. 体験(私の確信)に即して考える

      2. 問題意識を出し合う

      3. 事例を出し合う

      4. 事例を分類し名前をつける

      5. すべての事例の共通性を考える

      6. 最初の問題意識や疑問点に答える

  • 課題を定義する手順

    1. 要件の確認

    2. 目標の精緻化:

      1. 期間によって、短期・中期・長期目標にブレイクダウンする

      2. 優先順位をつけて、段階的に整理したり、複雑な目標を分割する

      3. 目標の性質によって、成果目標・プロセス目標・ビジョンの3種類に分類する

    3. 阻害要因の検討

      1. そもそも対話の機会が無い

      2. 当事者の固定観念が強固である

      3. 意見が分かれ合意が形成できない

      4. 目標が自分ごとになっていない

      5. 知識や創造性が不足している

    4. 目標の再設定:リフレーミングのテクニックを使う

      1. 利他的に考える:自分本位 → 利他

      2. 大義を問い直す:自己目的化 → 大義

      3. 前向きにとらえる:ネガティブ・他責 → 建設的

      4. 規範外にはみ出す:優等生 → 規範外にはみ出す

      5. 小さく分割する:壮大 → 分割

      6. 動詞に言い換える:名詞を動詞に変換する 例「椅子」→「座る」

      7. 言葉を定義する:あいまいな言葉→定義

      8. 主体を変える:目標を眺める主体自身を変えてみる

      9. 時間尺度を変える:時間のスケールや焦点を変えてみる

      10. 第三の道を探る:二項対立 → 両立する第三の道

    5. 「良い」課題の定義

      1. 効果性

      2. 社会的意義

      3. 内発的動機

  • ブレストがうまくいかない原因は、配慮のない問いかけにある。
    →ファシリテーターの「問いかけ」や「問いかけ方」が大事

以上です。

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