見出し画像

自分との関わりの中で考えを深める NO3

 本シリーズでは、道徳科の授業で子どもが「自分との関わりの中で考えてくれない」「いつも他人事になってしまっている」という悩みが少しでも解消される方法を紹介していきます。
前回号、「共感」と「ねらいの設定」について投稿させて頂きました。合わせてお読みいただけると幸いです↓

1 自分との関わりで考えを深める発問


 前回号で登場人物の心情に共感させるために、「席を譲った時にはどんな気持ちだったでしょう」と問われても、登場人物への共感させ、自分との関わりの中で考えさせることは難しいということをお伝えしました。
その要因は以下の二つです。

教科書から読み取れるから
もうすでに知っている価値だから

 教科書に「主人公は嬉しい気持ちになりました」と書かれている(または叙述に記されている)のに「どんな気持ちだったのでしょうか」と問われても、親切や思いやりの「よさ」を自分との関わりで考えを深めることができるでしょうか。
 私は難しいと考えています。
 つまり、以下のような発問は、自分との関わりの中で考えを深める上で課題のある発問です。
○場面ごとの主人公の気持ちを問う。
○主人公はどんなことをしたのかを問う。
○主人公はどのように変わったのか。
*この発問は、場面や状況を押さえたり、内容を理解させたりする上では有効です。

2 何を問うのか


 では、どんな発問が有効なのでしょうか。
 私は以下の二つの発問が有効だと考えています。

①主人公を軸とした、道徳的行為の判断理由やそれに対する考えを問う。
②子どもの真意を引き出す問い返し。

 
順を追って、もっと詳しく説明します。

①を具体的に挙げると、以下のような発問があります。
・主人公が道徳的行為を選択した理由を問う。
「なぜ、主人公は○○をしたのだろう(しなかったのだろう)」
・主人公の行為は道徳的行為の是非を問う。
「主人公の行った○○は、いいこと?悪いこと?」
・主人公が道徳的行為に迷った理由を問う。
「主人公は、最初から○○をしなかったのだろう」
・主人公は成長したが、最初に足りなかったのもは何かを問う。
「最初の主人公に足りなかったものは何だろう」
・主人公が道徳的行為を選択しなかった場合を問う。
「もし、主人公が○○をしなかったらどうなっていたのか」
・主人公の道徳的行為に対して周りへの影響を問う。
「主人公の○○は、周りにどんな影響を与えるのでしょうか」
*上記は一例であり、まだ多くの視点が考えられます。

 このように、教材を読めばわかることや、わかりきったことを問うのではなく、これまで考えたことがなかったことや新たな気づきを促すような発問をすることで、子どもはこれまでの自分の経験や体験を想起したり、自分だったらどうするだろうと自分の思考と繋げて考えたりすることができるのです。ひいては、それが自分との関わりの中で価値を深められるのだと言えるのではないか。

②子どもの真意を引き出す問い返しについて、次号で述べたいと思います。

*私のnoteでは、2週間に一度、「道徳科の授業づくり」について書いております。興味のある方はフォローして頂けると幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!