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里山から自治を考える 11「選挙と政治を分けること」

第3回も引き続き、2023年統一地方選・大阪府議会議員選挙に自民党から新人で出馬した、杉浦美香さんを特別ゲストにお迎えして、里山太郎さんと話していただきます。

―4年後の選挙では、メディア戦略も含めて、杉浦さんはどう戦えばいいんでしょう。里山さんにお話しいただきます。

論理的に動かない群衆

まず、選挙には仕組みがあって、票を取ることができればいい。なぜ選挙に行くのか、誰を選ぶか。選ぶ基準は、政策、人柄というような論理的な選択肢から選んでいるわけではない。

なぜ堅実なドイツ人が、戦争を翼賛することになったのかと。
当時、ドイツでは、経済的な破綻という背景があったんですが、ヒトラーやゲッペルスが「このままいけばドイツが潰れる」と大衆に向けて言った。
感覚的に、ドイツは潰れるという雰囲気だけです。実際には、何も裏付けはなかったんです。ですが、ネガティブなことは、人間の「恐怖心」にくるものです。

大阪市はダメになると言われると、危機感が人々の恐怖心を刺激する。恐怖心を煽られた人間は、戦うか逃げるかの、2つの行動しかとらない。逃げた先に、「維新に入れなさい」と逃げ道を作っておく。そこに論理は必要ない。みんな、一目散に維新に行くということです。
そして、論理に訴えていないから、大衆は、それが本当にどうなのかという精査はしない。カリスマ性のある橋下さんが、テレビの中で大声で言う。そしてテレビはそれを精査しなかった。

群集心理につけ込んだ都構想そして選挙へ

都構想のプロパガンダは、まさしくこの恐怖心のメカニズムを利用したものでした。
大阪府市の「二重行政」というのも造語で、こうしたネガティブな情報で、仮想敵を上手に作っていたと言えます。さらに里山さんの選挙の戦い方についての話は続きます。

選挙って、たいがいこの恐怖心を利用してるんですよ。選挙の勝ち負けではなく、正しい政治を求める候補者が、維新と同じようなやり方で、同じ土俵に立ちたくないというのは、勝ちたくないっていうのと同義なんです。維新のいう土俵っていうのは、選挙の土俵なんですから。選挙の戦い方は、ある意味の感情論であり、プロパガンダであり、スローガンなんです。

どぶ板選挙では勝てない

杉浦さんも、「いくら政策を届けても、今は選挙に勝つのは難しいというのがやってみての実感」と話します。「基本、毎日朝立ちして政策を訴えて、支持者固めをする。政策を知ってもらって、がんばってるなっていうのが浸透し、有権者が投票行くときに、投票行動にあがってくる。そのために知ってもらわなあかん。あとは、どぶ板選挙の訪問は必要で、票を固める意味はあるけれど、それだけでは勝てないのが現実です」

里山さんがさらに続けます。「今の選挙はスローガン対スローガンなんですよ。どんなスローガンがいいかは、プロが考えないとならない。必ずプロがいる。あとは、それを徹底的にやるだけ。そして、選挙で勝つことがすぐれた政治になるかといったら、それは別。政治を求めてる人たちにすれば、違うかもしれない。本来は、選挙と政治が連動する必要があるけど、そうはなってないのが実状なんです」

というところで、今日もかなり深いところまでいったんですが、お時間となりました。今回もどうもありがとうございました。

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