Field Notes 「ジャカルタDiary」#04 -比嘉さんのフィールドワークを体験~JAMU CAFÉ&パサール巡り~-
この記事は2018年に書かれたものです。ウェブサイトのリニューアルに伴い、noteに再掲載しています。
Day4_Feb.24_2018_Part.1
朝ポップアップスタジオに集合し、ワーク(「3-2-1ブリッジ」)を実施。
「インドネシアの食と健康」について
・3つのキーワード
・2つの質問
・1つの比喩
を各自ポストイットに記入。
これは、今回のフィールドワークを通じてどのように視点や気づきが変化したかを振り返るための下準備。
まずは「事前(インドネシアにくる以前)」と「初日」段階について記入し模造紙に張り出す。
他の人がどのような意図でどのようなことを書いたか気になるものの、一旦はそのまま放置。
今日は比嘉さんのフィールドワークを体験する日。
「インドネシアの食と健康」というテーマをもとに、比嘉さんが見てみたいとリクエストをしたのはJAMU(ジャムウ)と呼ばれるインドネシアの民間伝承薬のカフェ、パサールと呼ばれるローカルな市場。事前に「インドネシア人はずっと何かを食べているらしい」という情報を聴いていたため、“ながら食い”をしているのであれば、何をしながら、何を食べているか、食べているシーンも含めて見てみたいということだった。
最初に向かったのは「BUKTI MENTJOS」というJAMUのカフェ。
比嘉さんが見たWeb記事では「伝統の再評価・自然回帰」で「モダンでクール」ということだった。
今回「BUKTI MENTJOS」へはタクシーを利用。比嘉さんは普段なるべく現地の人と同じ移動手段を使うらしい。理由は「気になることがあった時に、立ち止まって見られる速度」でいたいとのこと。目的を持ってみ見たいものだけを見るのではなく、全体を俯瞰的に見て関心事にフォーカスしていく人類学のアプローチの方法なのだと納得。
「BUKTI MENTJOS」のカウンター内には大量のJAMUが陳列されている。入口近くでは数人がJAMUらしきものを口にしていた。
私たちは奥のテーブル席に案内される。お姉さんがメニューを持ってきてくれるがどうやって注文するのかさっぱり分からず。
Google翻訳を使って「おススメは?」と聴くと、「悩みの症状を言ってもらわないと…」とのこと。JAMUはそもそも漢方のようなものなので、確かに「おススメ」というのはおかしな話だ。
そこで、ジェスチャーも交えて「肩痛い」「腰痛い」などと伝えると、即座にメニューを指さし教えてくれた。私と渡辺さんは「肩コリ用」、比嘉さんは「喉用」、小桑さんは「腰痛用」をチョイス。
JAMUはカップが2個セットで登場。片方は症状に対して処方されたもの、もう一つはチェイサー?的なもので全員同じものが出てきた。ジンジャーのような味がして飲んだら強烈にあったまってくる。
私が飲んだ「肩コリ用」は甘いけど粉っぽく、何ともいえない味。飲むほどに身体がぽかぽかして鼻の頭に汗をかいた。
JAMUを飲む合間にカフェ内を見学。壁には「BACK TO NATURE」と書いてあったり、昔の写真を飾っていたりと、古くから根付いていることが伝わってきた。
比嘉さんはいつの間にかカウンターに座りじっと店内の様子を眺めている。
後で聴くとどんな人が来ているのか、何をしているのかなどを見ていたようだ。
それでも、一回来ただけでは分からないことや新たな疑問がでてくるので、別の日、別の時間帯にも来て観察したりするらしい。その場で聞けなくても、後で知り合った人に聴いてみたりもできるし、一回で分かりきらなくても良いのだという。通常の調査だとその場限りで完結し、継続して観察することは殆どない。必然的に一回であらゆることを知ろうとして様々な質問をしてしまいがちだ。ビジネス上の制約があるのは分かっていても、人類学との時間の捉え方の違いをまざまざと感じた。
また、いつもなら、滞在時間も現地の人と同じくらいにするそうだ。同じ時間の流れを共有しようとする姿勢も印象深かった。
JAMUカフェを後にして向かったのは、現地の人になじみのある「パサール」と呼ばれる市場。てくてく歩いて移動するが、びっくりするくらい歩く人の姿を見かけない。その代わりジャカルタではバイクタクシーが至る所で見られる。スマートフォンで依頼すれば、タクシー機能としてだけでなく、荷物を届けたり、買い物までしてくれるようだ。「こんなに暑いと確かに歩く気もおこらないなぁ。」と言いながら目的地を目指す。
比嘉さんは徒歩での移動中も、路地裏に目を凝らしたり、大量のニンニクをむくお店の人の様子をじっと見つめたり。前日のスーパーの大量ニンニクも、「本当に使われてるみたいですね!」と謎解きができてご満悦。
もちろん、道中にあるワルン(カジュアルな売店や簡易な食堂)もしっかりチェック。どんなものが置いてあるのか、商品のサイズや陳列のされ方、単位にまで目を配っていた。
そんな比嘉さんが足を止めたのは道端の揚げ物屋さん。事前に『実際に調理している場所も見たい』と言っていたので、まさにうってつけの場面だ。早速指さしながら商品を注文。その場でどのように調理されているか、どんな種類があるのかをリアルに体験。
しかしながら、一番比嘉さんが興奮していたのは、揚げ物を渡されたときの包装。なんとコピー用紙(コピー済)をリサイクルしていたのだ。
こんな風にして商品が流通しているのか!と身をもって学んでいらっしゃった。