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わからないからこそ

本の内容のネタバレがございますのでご注意ください。


序章

 今回綴るのはこちらの本の感想だ。

 この本はどっかの本(もちろん光文社新書)の後ろの他にもこんな本ありますよっていうおすすめ欄に載っていて気になった本だ。まず写真についての本があるんだぁという驚きがあり、そしてタイトルが目に止まった。「わからないとはなんだ?」と。ちょっと気になった。そして長らく半年くらい欲しいものリストに入れていて、そろそろ新しいトピックの本読もうかなと思ったときに思い出して購入した。(この頃大雑把に社会系の本を多めに読んでいた。)

本章

初発の感想

 新しい何かを感じた。詳細に言語化は難しいが新しい何かを感じたというこの感覚。自分でもわからない。ただ何か奥深いものは感じた。私は写真が趣味という人達のことを理解しかねていた節があった。「カメラが趣味ってどういうことやねん。」っていう感じで揶揄していた。だがこの本のおかげで少し気持ちがわかった気がする。その奥深さに惹かれるのだろう。
わからないけど面白い。この感覚は筆者:小林紀晴が本書で語っていたことだが、多分それと同じ感覚をこの本で抱いた。本の内容も正直わからん部分もあったが、タイトルを見る限りそうあえてさせているのではないかともとれるのが興味深かった。

写真を撮るものの条件

 一つ興味深かったトピックがある。それは「写真を撮るものの条件」というトピックだ。少しご紹介したい。
 大ネタバレになるが、写真を撮るものの条件(あくまで写真家としての)、それは“写真よりも好きなものがあること”らしい。これは興味深かった。写真を撮ることが1番好きであることっぽそうだが、逆説的だった。これを受けたときに一つ思ったことがある。
 私はinstagramをやっているのだが、アカウントが日常用とニチアサ用とProject.H(詳細は“年の瀬の寿司”記事をお読みください)用がある。今回はそのニチアサ用のアカウントについてのお話だが、このアカウントは完全に趣味用のアカウントで、買った玩具やグッズの写真、また特撮の聖地などの写真もあげている。このアカウントは最近以前に比べて相対的に加速度的にフォロワーが増えている。(といってもまだ執筆のタイミングでは215フォロワーしかいないのだが。)ちなみに映えを意識して写真を撮るなんてことは基本しない。
 私は最近よくフォロワー増えるなぁと思っていたが、これをこの写真を撮るものの条件を受けて少し最近フォロワーが増えつつある理由もわかった気がする。私は何よりニチアサが大好きだ。3歳の頃がずっと毎週欠かさずは嘘になるが長年見てきた。最近は少しお金に余裕ができ玩具も自分の金で買うようになった。何より写真を見る側に愛してやまないこの気持ちが写真を通して伝わっているのだろうかと思った。(伝えられるほどのいい写真を撮れてる気はしないが)
 もちろんただ特撮好きと繋がりたいという理由でフォローしてくれる方が大半だとは思うが、少なからずこういった要因もあるのかもしれない。

わからないということ

 今の時代誰もがスマホを持っており、それには大抵撮影機能が付いている。だから誰でも写真は撮れる。だからこそ写真家としての写真を撮る意義みたいなのが本書では語られていて非常に面白かった。
 また大ネタバレになるが、写真家として写真を撮る意義はその思考のプロセスにあるのだとか。作品を作る上で何を表現するかというのを考えシャッターを切る。このプロセスこそ意義であり、写真を撮ることの面白い部分である。本書にはいくつか例が出ていたが、どれも興味深かった。
 この考えるということを楽しむというのは実に人間味のある行為だ。もっと言えば、地球上の生物においてヒトだけが得た特権とも言っていいだろう。これは写真を趣味としている人の気持ちがわかった瞬間でもあった。
 そして写真はわからない。それは数値化できるものではないから。見る側の主観に大きく委ねることになるからだ。だから決まりきった一つの答えがない。だから作品作りで思考は欠かせない。これは人生そのものに似ている。ますます奥深いと私は思った。さらに筆者はこのようなことを綴っていた。

人間の生きる意味がわかってしまったら実につまらない。わからないからこそ面白い。わからないこと考えることに意味がある。それが人生の糧となる。

大体こんな感じ、実際の文より少し改変している

 この言葉はかなり刺さった。正直自分の人生にここ数年悩み続けている私に一つ何かを助け舟を出してくれたような気分になった。まさか少し揶揄していた写真というトピックからものからこんな感情になるとは思いもしない。この言葉は以後心のうちに秘めると決めた。

終章

 正直揶揄していたトピックだったが、非常に興味深い内容だった。今の私は写真家というものに大分と興味が湧いてきている。一回写真展をのぞきに行きたいくらいだ。
 本書は上記以外の内容にカメラとの付き合い方、人物をどう撮るか、時間との関係など結構内容濃く綴られている。ぜひ読んでみて欲しい。
今度から写真を撮るときは本書に書かれていたことを意識して撮ってみようと思う

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