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サッカーボールが飛んでくる
小学生のとき、私は休み時間のグラウンドを歩くのがきらいだった。
サッカーボールが飛んでくるからだ。
ある放課後、校門に向かう途中でクラスメイトの男子が蹴ったボールを顔面キャッチ、鼻血を出して保健室に運ばれたが、それからというものグラウンドを歩けばサッカーボールにあたるようになった。
サッカーボールの呪いである。
グラウンドのど真ん中を横切ったり、ゴールの前に立ち塞がったりなどしていない。
箱の中身はなんだろな
私が高校生のとき、よくこもっていた秘密の小部屋がある。
校内唯一の完全個室、しかもエアコン完備で、私が使っていたいちばん奥の部屋は他よりもゆとりがあり、足もゆったりと伸ばすことができる。
冬には座席があたたかくなり、つるつるとした床はいつもきれいに磨かれていて、小窓を開ければ渡り廊下と、その向こうにゆれる緑が見えた。
そこで私は昼食を取ったり、本を読んだり、初夏の風に吹かれてうとうとしたり、
わがままとマニキュア
幼い頃、母のアシスタントとしてうちで働いていたゲイの男性に、マニキュアを塗ってもらった。
幼い頃と言っても7、8歳くらいのときで、ゲイの男性とは元アイドルの櫻田宗久くんである。
しかもむねくんが塗ってあげるねと言ったのではなく、ちょうどオシャレに目覚め始めた私が、自分では上手く塗れないからと押し付けたのだ。
彼がマニキュアを纏っているところなど一度も見たことがないのに、ゲイなんだから当然うま
交わらなくなったものたち
あけましておめでとうございます。
と、会う人と挨拶を交わすことに、どうしても違和感がある。
なんていうか、「まだ明けてないけどね」という気がしてしまう。
なにが、というのは、みんながわかっていることだろう。
それでもたしかに年は明け、早くも1月が過ぎようとしている。
年末に誕生日を迎えて、私は21歳になった。
20歳とは10代に毛が生えたようなものに思えたが、21歳となると途端に20代
若さは誰のものなのか
成人式のときに書いたブログの中で、私は自らの若さに対する恨みにも近い文句を垂れた。
その内容は、「若さが放つ輝きのせいで、本来の自分自身の輝きがかき消されてしまう。けれども歳を取り、若さの輝きが薄れていくことによって、ちゃんと自分の力で得てきたものが人の目に届くようになる」というようなものだった。
私は今もうんうんと頷きながらこの文章を打ったが、けれどもふと思う。
どうして私は、自らの若さを