運河とともに アムステルダム
アムステルダムでは、どこを向いても運河があると言っていいほど、運河が街中に張りめぐらされています。運河周辺を歩くだけで、人々の生活の一面が垣間見えてくるように思えます。
アムステルダムの地図を見れば、一目瞭然。同心円状に運河が広がっています。
この地図を見て、江戸時代の古地図を思い出しました。江戸の日本橋や京橋周辺は、アムステルダムと同じように、水路が毛細血管のように張りめぐらされていました。
アムステルダムの運河には、ボートやボートハウスが停泊しているし、観光のクルーズ船も頻繁に行き来しています。運河の両側には道路が続いていて、そこは駐車場や駐輪場として使われている場合が多いようです。
もちろん歩行者が通ることもできますが、車で通るのは結構厳しいと思えるところも、多かったと思います。
運河巡りのクルーズ船も、色々なコースや運航会社があり、選り取りみどりです。
どういうわけか、橋の上には必ず自転車が停まっています。整然としてではなく、放置に近いような置き方なのが、私は気になりました。
運河のすぐそばで食事をすることもできます。上のユトレヒトのカフェは、建物の中にもテーブルがありますが、外が人気です。
水辺で食事をしたり、くつろいだりすると気持ちが落ち着きます。水面を眺めたり、水が流れる音を聞くと人間は、心が安らぐのかもしれません。お母さんのお腹の中にいた時のことを、無意識に思い出すのでしょうか。
運河沿いの家に注目してみましょう。ご覧のように、正面の一番上の部分にフックが付いている家が全部ではないですが、かなりの数あります。フックが下がっていなくても、取り付ける突起が出ている家もあります。
歴史的に、運河沿いの家は、住居と貯蔵庫の役割を備えていたそうです。そして貯蔵は地下や一階ではなく、屋根裏部屋にしている家が多かったのです。家の間口が狭いため、階段はとても急で狭くて、玄関から運び上げることはできませんでした。
そのため、外からウィンチ・ロープとフックを使って荷物を引き上げるのが、一般的だったそうです。
今でも大きな家具を運び入れるときには、この方式を使っています。
下の写真の右側の家が少し傾いているようです。地盤沈下の影響ですね。
江戸の水路や川が埋め立てられたり、暗渠になったりしましたが、あれがもう少し残っていたら、また違った東京の風景を楽しめたのかもしれません。運河をちょっと見ただけで、文化や歴史が見えてきます。そういえば、水運の研究をされている、やんごとなき方もいらっしゃいましたね。
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