並んで歩く休日
妻と映画に行こうかと話していたけれど、見たい映画が少し遠くの劇場でしか上映していなくて、しかも開始時間も朝が早かった。
わたしたちはせっかくの休日だから映画と思っていたけれど、せっかくの休日だから朝はゆっくり寝たいという方向で意見が一致した。
若い頃の行動力はもうなくなり、いたわり合うことを優先するようになっていた。年老いていくとは、そういうことなのだろう。
午前中はのんびりして、午後からスーパーマーケットに買い物へ行く。水を張ったバケツに伊勢海老がいた。たまたま見かけて伊勢海老を買う人なんているのかなと妻がつぶやく。
運動不足なので散歩でもしたほうがいいなと先月あたりから妻と話していた。暑さが厳しく実現できずにいたが、今日は少し涼しかったので夕暮れ時に散歩に行く。
妻はわたしよりも歩くのが速い。わたしがぼんやりとよそ見をしながら歩いていて、妻はすたすたと前を向いて進んでいく。
わたしはひとりで歩く時のペースよりも少しスピードを上げて歩く。そうしてしばらく一緒に歩いていると、自然と同じペースに落ち着いてくる。
日は落ちていきあたりが暗くなっていく。わたしたちは夜の散歩と早朝の散歩はどちらが負担が少ないのか話し合いながら並んで歩く。湿度は高いが風が吹くと心地よい。
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