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「カルチャーギャップはかなりあった」製薬会社での知識・経験を活かしてスタートアップへのキャリアシフトを果たした元臨床開発

Ubieで活躍する女性メンバーにフォーカスを当てるインタビュー企画、Women at Ubie第4弾。

今回のインタビューイは…

永見 早耶花 さん
プロダクトマネージャー
薬学部卒業後、大手製薬企業にて臨床企画責任者として新薬開発をリード。テクノロジーを通じて患者さんと最適な医療とのマッチングを実現することで、より多くの人々の健康に貢献できると思い、Ubieに入社。現在はプロダクト開発チームをリード。

Tech業界およびスタートアップにおける女性比率はまだまだ低い中で、Ubieでは様々な施策を通して女性リーダーシップ比率30%を目指しています。(詳しくはこちら

薬剤師から新薬開発へ興味が移っていった

理系が得意かつ生命に興味があったのと、母親からの「女性は手に職を」という教えもあり薬剤師になりたいと思って、薬学部に入学しました。勉強や実習等を重ねていく中で、薬剤師の仕事というのは服薬指導などある意味で型化された医療行為を行うことで、現状治らない病気を治すことはできないのだなぁということに不甲斐なさを感じていきました。そんなときに国立がんセンターで実習があり、開発中の新薬が、治療法のなかった患者さんをよくしていくのを目の当たりにして、だんだん新薬開発へと興味が移っていきました。

そういった経緯もあり、新卒では中外製薬に入社しました。関わっていた新薬がいきなり開発中止になったり、副作用が強すぎて全然だめだったりと困難なプロジェクトも多かったのですが、ヘムライブラという血友病の患者さん向けの新薬開発はとてもやりがいがありました。それまでは週に2-3回静脈注射をしなければいけなかったのを、最大4週に1回の皮下注射で革新的な効果が得られるという新薬でした。医師が臨床結果を国際学会で発表した際にはスタンディングオベーションが起きるなど、これは本当に患者さんの人生を大きく変えられるものなんだなというのを実感しました。新薬の開発成功確率は約3万分の1ともいわれており、この道何十年のベテランでも一度も新薬をローンチしたことがない、という人もいる中で、臨床開発から新薬のローンチまでを体験することができたのは本当に有難い経験でした。

一方で、自分の中ではある程度やりきった感覚もあり、そのタイミングで既にUbieに入社していた中外製薬の元同期から「一緒に働きたいと思っている、とりあえず面接だけでも受けてみたら」とストレートに誘われました。「面接受けるだけならいいかな」と思って、選考を受けてみたら受かり、そのとき少なくともあと2年は中外にてプロジェクトを続けたいと思っていたのですが、「スタートアップの2年後なんてどうなっているか予測がつかない」とアトラクトで説得されたことと、ヘムライブラ関連の業務が一区切りついて他の人に引き継げる状態になったことを契機にUbieへ入社することにしました。

「これが実現すれば本当に医療がよくなる」と思いUbieへ

特にスタートアップに行きたいと思っていたわけではなかったのと、前職の中外でも楽しく働いていたので、他の会社と比較することはしませんでしたが、中外 vs Ubieでは悩みましたね。
入社の決め手は代表の阿部のビジョンを聞いたときに「これが実現すれば本当に医療がよくなるな」と感じたのと、それらのビジョンに対して優秀なメンバーが同じかそれ以上の熱量で取り組んでいて「この人たちと働くと楽しそうだな」とワクワクしたことです。

カルチャーギャップはかなりあった

良いも悪いもはないと思うのですが、カルチャーギャップはかなりありました。「ありえるリスクをすべて洗い出して、それらを一つずつ削減していく」というのが製薬会社の臨床開発での働き方だったので、「まずリリースしてみてから考える」というようなスタートアップのカルチャーは真逆のものでした。

入社してから周りの人が「小さく試す」といういわゆるアジャイル的なアプローチで成功している背中を見ながらだんだん学んでいきました。一方で仮説を立て、専門家の知見も取り入れて検証計画を立て、実行していく、という考え方は臨床開発とも共通するところがあったのと、製薬に関するドメイン知識は豊富だったので、それらを通じてパフォーマンスが出せるようになっていったという感じですね。

入社以降どんどん役割が変わってきた

入社当初は当時はじまったばかりだった製薬企業とのパートナーシップ締結に向けて各社と話したり、メディカルリサーチという形で医師の業務効率を定量的に出せるようにしたり、医師が論文執筆する上で必要なデータを集めたりといったことを手掛けていました。

そこから1年間の産休育休に入ったのち、パートナーとなる製薬会社が増えてきたことで必要になったコンテンツの作成体制の確立やもっと効率よくするための採用や業務フローの整備、プロジェクトごとのKPIの策定かつそのモニタリングを通じたサクセスなどを担当しました。

現在は「ユビー 病気のQ&A」というサービスを担当しながら、プロダクト開発とビジネスとの架け橋として役割も担っています。こうやって話すと自分の役割がめちゃくちゃ変遷しているのを実感しますね。笑

自分の特技は属人性を排除してリスクを見極めながらスケールさせること

あえて選ぶならコンテンツ作成体制を整備して、スケール化ができたプロジェクトですかね。私が入るまではゼロイチは得意なメンバーが属人的に進めていた業務を、型化して移乗していって、彼らにはまた他のゼロイチに集中してもらうというサイクルがとてもうまくいきました。自分が輝いているとき=人の役に立っていると感じるときというタイプなのですが、このプロジェクトを通して全社アワードを取ったりして、事業成長に役に立ったことを実感できたのもやりがいにつながりました。

全社アワードで受賞した時の写真

薬学部出身かつ製薬会社で働いてきた経験がある自分ならではのドメイン知識を元に「ここまではビジネス的に攻めても大丈夫だが、これ以降はリスクが高すぎてダメ」という線引きが上手いことですね。これは様々なリスクと常に対峙する必要がある製薬会社で臨床開発をリードしてきたから培った強みだと思うのですが、Ubieのようなスタートアップであってもヘルスケアを事業領域にしているとリスクの見極めが難しいかつインパクトが大きい意思決定が多く、そういうシーンでは価値を出せているのかなと思います。

同僚であろうと良質な人間関係が鍵

自身の価値観としては、必ず終わる人生に対して自分がどこまで自己満足できるかが重要だと思っていいます。よく言われることですが、そのためには良質な人間関係が鍵なので、親密な関係の人たちと笑いながら過ごす時間はとても大切にしています。

仕事に対しても共通する要素はあり、前職でもUbieでも同僚と大変なことを乗り越えた戦友みたいな関係になれること、休日を一緒に過ごすとしても抵抗感がないくらい心理的安全性の高い関係を築けることも重要視しています。それに加えて仕事では誰に対してどれくらい役に立てているのかという社会的なインパクトの大きさが指標として加わってくるというイメージですね。

Ubieの仲間とキャンプ

家族との時間を保守し、残りで仕事に全力投球する

今は2歳の子どもがいますが「ママ、ママ」と慕ってくれる時間もそんなに長くはないだろうなと思っているので、家族との時間は必ず確保したいと思っています。一方で、Ubieでの仕事も生半可な形ではできないことが多いので、家族を含めた大切な人たちとの時間を保守しながら、残りで仕事に全力投球して結果を出す、という感じで、今もバランスは模索中ですね。笑

優先順位をつける上では重要度と代替不可能さを考えるようにしていて、例えば子どもが平日急に体調を崩した際などはパートナーとお互いのその日の予定表を見比べて「どっちがより重要かつ代替不可能か」という話し合いをするようにしています。これはかなり真剣な交渉で「それは社外のステークホルダーを巻き込む予定なのか」「抜けたらビジネスへのネガティブインパクトがどれくらいあるのか」を膝を突き合わせて話すのですが、どちらか片方に負担が偏らないように全体でバランスをとるようにもしています。逆に土日は家族や友人との時間を確保することを最優先にして切り替えるようにしています。

産休育休もはじめから1年と決めていたわけではないのですが、はじめての育児に慣れるのにある程度の時間が必要だったのと、自分の親へ親孝行する時間もとれてとてもよかったなと思っています。育休中は1日の流れがとてもゆっくりに感じて、1年近く経つと仕事へ復帰したいという思いがふつふつと湧いてきたので、自分としてはいいバランスでできたなと思います。当然スタートアップで1年休むとあらゆることが変わっていて、復帰後は浦島太郎になったようでしたが、復帰を機に新しい役割に変わったので、真のフレッシュスタートというかたちでそれはそれで楽しかったです。

DEI(Diversity Equity & Inclusion)はCSRのためにやるものだと思っていた

元々はあまりDEIに関心を持っている方ではありませんでした。前職も女性管理職の目標数値が掲げられていたりと力を入れている印象はあったのですが、事業成長のためのDEIというよりも社会にいる色んな人の幸福度を増すため、もしくは社会にある労働力を効率的に使うためのもので、事業というよりはCSRとしての文脈の中で社会のためにやるものという理解をしていました。

一方で今は考えが少し変わっていて、DEIにあまりにも力を入れていない会社というのは、能力があるかつマイノリティの人がそもそも活躍できないようになっていて、ここに力を入れることは優秀な人のポテンシャルを最大限発揮してもらうという事業成長のために重要な要素なんだなと思うようになりました。

あとはDiversityがないと盲点が増える、という話は自分にとって目から鱗でしたね。たしかに前職でも新薬開発に患者さんの声をプロトコルに取り入れようという動きがあったのですが、集団の画一性が高いとそういった「色んな人の意見を聞こう」というアプローチさえ浮かばないのだなと思いました。様々な角度での”当事者”が集団に属していることで、社会の色んなことへの解像度が上がって、それが事業にも還元される、というの正のサイクルが生まれるんだろうなと考えるようになりました。

妊娠中に実感させられた属性による相違

妊娠中には痛いほど自身の性別を実感させられましたね。元々いつか子どもがほしいと思っていて、私は医学的には経過は良好だったのですが、つわり中の吐き気や眠気が本当に辛くて、その日食べられるものが自分でも分からなくてコンビニを徘徊したり、歯磨きするだけで吐いたりして、身体的に苦しいのに加えて、自分が会社やチームにとって全く戦力になっていないという事実が堪えました。男性はこの体験や感覚をせずに子どもに巡り会えるのは本当に羨ましくてなんとも言えない孤独感がありました。出産して仕事に復帰してみると、Ubieでは性別問わず子育てに注力している人が多いので、逆に全く孤独を感じなくなりましたが。

DEIに取り組む=人生の様々なタイミングに寄り添うこと

DEIに取り組まないと、活躍する社員を繋ぎ止めることはできないのかなと思います。どんなに優秀な人でも人生の中で今はライフを優先しないといけない、踏ん張りがきかないというタイミングは来ると思っていて、それらを解決するにはDEIの考え方が重要なのかなと思います。

私自身もそうでしたが、家庭や健康の事情で100%の力を出せないときの本人の罪悪感というのは凄まじく、同じような状況の他のメンバーに対しては「あなたみたいな人は本当に貴重なんだから今は休んで!」と本心から思うのですが、いざ自分がそういった状況になると「今日も全然パフォーマンスが出せなかった…」と落ち込んでいました。

そこに対して追い打ちをかけるように「常に頑張れない人はいりません」というスタンスで組織を運営すると、長く働く人はいなくなり、事業やプロダクトに関するドメイン知識も溜まらない…と結局は大きな事業損失につながると思います。ただでさえUbieはストイックな人が多いので、そういう時に「これまで散々功績出しているんだから大丈夫だよ、人生そういうタイミングもあるよね」と言ってあげられる組織を保っていきたいですね。

自分が大切にしているものを諦めなくていい稀有な組織

スタートアップに入社するとなると女性やマイノリティの人は躊躇する部分もあると思いますが、Ubieの強みは「これおかしくない?こうした方がよくない?」と誰かが声が上げるとどんどん組織もアップデートされていくという柔軟性にあると思います。産休期間がストックオプションのべスティング期間に含まれるなどもその一例で、問題意識が共有されたあとの変化が起きるスピードには目を見張るものがあります。

もちろん求められるパフォーマンスは高いので、事業成長に対してかなり汗をかく必要があることは確かですが、それらと自分が大切にしているものの両立を諦めなくてもいい稀有な組織だと思うので、迷っている人がいたら入社して感じた問題や課題があったとしても一緒に変えていけるよという点を強調したいですね!

UbieのDEIサイトはこちら▼


Ubieでは一緒に働きたいメンバーを募集しています!
カジュアル面談もありますので、ご興味ある方はぜひメンバーとお話ししましょう!

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