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希死念慮について -当事者の視点から-

こんにちは、Übelです。
近年、著名人の自殺の際に「不意にそんな気分になっちゃったのかな」「誰かに相談してほしかった」なんてコメンテーターがとんちき言ってるのを耳にします。
ちょっと声を大にして言いますね。

自殺をニュースで取り上げ、無知なコメンテーターが持論展開するのなら報道するな。

背景にある病気の理解も無く、自殺を語ることは自殺者への冒涜。
また、公衆の精神衛生および自殺予防において非常に悪影響だからやめろ。



はい。
では、ここではうつ病罹患時にオーバードーズで死にかけた私が希死念慮を抱く人目線で、持論を論じます。
医学的な話や実際それを抱く人にどう対応するのが良いのかは後半に書きます。
きちんとした知識をみにつけることは自死を自制する手段になりえると私は思うので。当事者もウェルカム。
精神医学のテキストやこんな本を読んでみるのもいいかもしれません。
テレビで無知を撒き散らすコメンテーター()は暗記する勢いで読んでほしいですね。

目次

 1.希死念慮、自殺企図とは
 2.社会的なイメージ
 3.実際当事者はどんなことを考えているか
 4.
なぜ、助けを求められないのか?
 5.
どんな対応が良いのか
 
6.医学的知識

1.希死念慮、自殺企図とは
希死念慮=「死にたい」と思う気持ちです。
自殺企図=自殺を企てること、行動に移すことです。
自殺を図り救命された人の10人に1人は将来自殺行動で死亡するというデータもあるようです。

2.社会的なイメージ
社会一般にいる希死念慮を抱いたことのない人、精神科関係の知識に乏しい人の、”希死念慮”や”自殺企図”、”自傷行為”に対するイメージはどんなものでしょう?
実際、自傷の写真をSNSに上げたり、自死のニュースが報道されたり、公開自殺をする人がいた際、SNSの反応として見受けられたりするのは以下のような意見でしょうか。

”病んでいる人” ”打たれ弱い人” ”めんどくさそう” ”暗そう”
”電車が遅れて迷惑” ”死ぬなら一人で死ね”
”可哀相” ”かまってちゃん”
”相談してほしかった”
”まさか死ぬとは思わなかった”

3.実際当事者はどんなこと考えてるのか
当事者が何を思って自殺を考えるかは背景に潜む疾患や人間関係次第です。
ここでは私の私見を述べます。

私はうつ病でしたが、私は希死念慮は意識がある間は基本的にずっとうっすらありました。
まえがきでも触れましたが、TVでは芸能人が「ふいにそんな気持ちになる時もあるのかな」なんて言ってましたが、不意にではなくずっと”死にたい気持ち”は頭の中にカーペットみたいにあるんですよ。邪魔にもならんし主張もしてこないけど存在している、という感じで。
よく国家試験なんかでは「自殺や希死念慮は正常な精神では行われない」とされた問題がでたりします。しかし希死念慮を持っている人からすると、正常状態で死にたいと思う人もいると考えています。どちらが正しいのかは知りませんが。

では実際に自殺企図するのは何故か。
これは自傷行為の延長であるパターンと、視野が狭まって焦燥感に駆り立てられてまじで死ぬしか解決できないと思っているパターンなど、複数存在するのではないでしょうかね。
自傷行為の延長パターンでは、おそたく死のうとまでは思っていないかもしれないですが死んでもいいとも思っていて、「少し楽になりたい」「現実から離れたい」と頭の中では思っていると思われます。おそらくリスカやオーバードーズなどで死のうとするものと考えられます。
死ぬしか解決できないと思っているパターンでは、抑うつによる思考の制止により思考能力が落ち、視野も狭まり、死ぬ以外の解決法を思いつけません。そして焦燥感が自殺へと駆り立てるのでしょう。この場合は入水、飛び降り、焼身、首吊などを行うんじゃないかなと思います。

4.なぜ、助けを求められないのか?
よく「相談してほしかった」って言いますよね。
相談してたり、ひっそりでてるSOSに気づいていなかったりしませんか?
本人が死にたいと言っていたのを冗談だと思ってた、笑えてるしそこまで思いつめてるとは思わなかった。のような受け止め方してませんか?
よく電話相談ダイヤルでも雑に扱われたり、なかなかつながらなかったりするという話もあります。
助けを求めてるんですが、周囲の人が気づいていないだけだと思います。もしくは周囲の人自体がストレッサーであるか。

5.どんな対応が良いのか
これは資料からの引用です。もし、普段となにか違うなと言う人がいたら以下の原則に留意しながら話してください。
また、これは大事なことですが。
てめえの持論や精神論、生存バイアスごりっごりの意見を死にたい人は求めてないので、そういうことは相談者を死へ近づけると思ってください。まあ、そんな人には相談しないとは思われますが。

TALKの原則
Tell:はっきり言葉にして「あなたのことを心配している」と伝える
Ask:死にたいとおもうか、率直に尋ねる
Listen:相手の絶望的な気持ちを徹底的に傾聴。聞き役に回る。
Keep safe:危ないときは本人の安全を確保し周囲の協力を得て適切な対処を。

6.医学的知識
ちょっと固い話ですが。

自殺企図は実際に自殺行動を起こしたこと。自殺既遂は自殺行動で死亡したこと、とされるようです。
希死念慮→自傷→自殺未然→自殺企図 というような階層性を持ちます。

自殺行動が差し迫っているときの心理として、死にたい気持ちはいつも一過性で両価的である。というものがあり、3つの心理状態があります。
・強いもしくは動揺する自殺念慮
・心理的視野狭窄=自殺以外の解決法が見えなくなる
・焦燥感


自殺手段は
首吊、飛び降り、焼身、入水、中毒、刃器
を選ぶことが多い。どれがよく死ねるとかは言いませんが、オーバードーズはしんどい上に死ねない事が多く苦しいだけなので死なないほうがいいですね。私のオーバードーズ経験は認知行動療法のnoteに記載しています。

若年者はメンタルヘルスについて学ぶ機会もなく、メンタルヘルスの不調が出現する年代、かつ、解決の手段を知らないということが自殺に繋がりやすいようです。
若年者の自殺についてわかっていることは
①希死念慮を持つ割合は多いが行動に移ることは少ない
②自傷行為は将来の自殺既遂のリスクになる
③メディアの影響を非常に受けやすい
④最近ではネットを介したいじめによる自殺が出現するようになった
⑤精神障害が顕在化してくる年代だが、低年齢では必ずしも精神症状は典型的ではない。
⑥精神症状は必ずしも典型的ではない

若年者の問題点としては、希死念慮は多いが自殺企図は少なく、精神症状は必ずしもわかりやすいわけではなく、アルコールよりも薬物やガスや勇気有罪へ依存、社会的サポートの欠如、等があるようです。家族内や社会からの孤立、衝動性や解離症状、鬱や薬物依存などがあるようです。
その他には近親者の自殺や喪失体験、また事故傾性が見られるようです。
自己傾性は自殺に先立ち自分の安全や健康を守れない状態がしばしば生じることで、性的逸脱や自傷後に必要な医療処置を行わない、怪我などのようです。

若年者で問題となる精神障害はSc、うつ病、発達障害、摂食障害、薬物乱用、パーソナリティ障害、神経症、性に関する問題(トランスジェンダーなど)
Scでは自殺の意図がはっきりせず予兆なく、致死性の高い手段で自殺することが多い。
Depressionでは周囲の人とは楽しそうにしていることがあるため周囲の人は変化を捉えそこなっている、そのため突然自殺したように感じる。

20代の特徴
診断名は発達の問題やScなど。心理社会的問題は多様で、DVやネグレクト、学業上の問題、恋愛や夫婦の問題、経済的問題、仕事上の問題、アルコール、薬物の問題がある。
30代の特徴
精神科受診歴のある方が多く症状の不安定さやコントロール困難があるようです。心理社会的問題としてもともと持っていた問題の悪化や複雑化、家族の問題や交際相手との関係悪化

終わりに
さて、つらつらと長く書きなぐりましたがそんなところです。
死にたい気持ちは日常生活に多く存在しています。
希死念慮のない人は幸せですね。
幸せを押し付けるのではなく、希死念慮を否定するでもなく、希死念慮のあるその人自身を受け入れてください。受け入れなくてもいいので認めてください。
あなた自身も死にたい気持ちを持つかもしれないし、自死するかもしれないと、言う気持ちを忘れないで。

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