私を置いていかないで
今のお気に入りの曲から順番に聞いてたら、一年以上前失恋していた時にヘビロテしていた曲が流れて、あの時から思っていたより時間が経ってないことに気がついた。
帰宅途中の耳から流れるその曲は、真夏のフェスで流れそうなアップテンポな機械音とハスキーな女性が歌う「私を置いていかないで」というフレーズがチーズとワインのような相性の心地よい洋楽であって。
何度も繰り返すそのフレーズを聴いているうちに、ブワッと全身に鳥肌がたった。
それはまるで、振り向き際に荒波に飲み込まれたかのように、一瞬の勢いで過去に時をかけて、今私の目の前に続く道があの時住み込んでいた部屋へ向かう道だと錯覚するほどの威力があった。
一瞬だった。
一瞬だけど確実に戻った、毎日が土曜日だったあの日々に、日曜日が来るたび不安に襲われ、色彩と白黒の世界を激しく交互に過ごしていた日々に。
一定の時が経ったと思っていたのに、気づけばすぐそこにあるのが虚しかった。
一瞬でも"あの時"に飲まれてしまったことが寂しかった。
あの人ばかりが今を悠々と生きて、私だけが過去に取り残されているみたいだ。
それじゃああまりにも、この歌詞が私を代弁しすぎているじゃないか。
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