見出し画像

【詩】アクアリウム

「宇宙ラジオ」のすーちゃんイメージの詩

窓を開けると気球がたくさん空へ飛んでいく所を見た。
下を見下ろしたらたくさんの傘で覆われていて、街が見えなくなっていた。
魚が気球の空を泳ぎ、鳥は傘の海を飛ぶ。
窓を閉めてテレビを点けた。ブラウン管の向こう、深海シティ。
あたしにもう少し勇気があったなら、あの傘の下にある街を目指して飛びこんでいた。
空も泳げないし海も飛べない。あたしはここにいるしかないの?

零した涙さえ空を舞う。

もう一度窓を開けた。涙の一雫が朝日に照らされ輝いている。
ずっと向こう、流れ星が傘を突き抜けて、深海へ沈んでいった。

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。