満月の夜
ひとり夜道を歩く
雲の隙間から白く明るい月が少しずつ顔を出し
辺りが明るくなる
夏が少しずつ秋に変わっていくのは
こんな風に静かな夜にならないと案外気づかないものなのかもしれない
太陽のもとでは
照りつける日差しや行き場のない熱気
熱中症には注意を
屋外での活動は避けて
などとアプリから通知が届き
まだまだ夏を思わせる
そんな風にしていつまでも夏を引きずり
秋が恋しいと言いながら
いつの間にか秋に置いていかれているのかもしれない
日が落ちてくる頃には少し涼しい風が首筋を撫で
沈んでもなお空を赤く染め続ける太陽も
いつしか静かにその存在を消すと
秋の虫たちは声高に鳴き始め
吹く風は秋を教えてくれる
満月だという月を眺める
真っ白で明るい
スマホしか無いので空に向け月を撮る
ウォーキングをしている夫婦も同じように空を見上げている
撮った月を誰と分かち合うでもないけれど
なんとなく季節を忘れてしまわないように
noteにでも載せておくことにする