『ツミデミック』一穂ミチ
読了。
パンデミックに人生を変えられたと言っても過言では無い、それぞれの物語。
誰もが心当たりがあり思い浮かべることができる世の中の有り様に狂気が見え隠れする。
芥川賞の候補にあがってる時から手元にあったのだけれど、手をつけていなかった。
読み始めたら一気に読めた。賛否両論あるけれど、好きな展開だったし。どの話も良かった。今風の言葉遣いが多過ぎると言っている人もいるけれど、その時代をしっかりと残す、という形では素晴らしい表現じゃないかなと思う。
高校生の娘が妊娠してしまう話は、まさにJKの言葉遣いやテンポの速い、イマドキの現実を見据えた思考が現れていておもしろかった。
暑い日が続く。
平日休みの昼間にはカフェへ行って本を読み、夕暮れには外に出てくれていく空を眺めて歩く。
暗くなっていくうちに吹く風の温度が少しずつ下がっていくのが分かる。蝙蝠が次々と巣に帰っていく。あれから1年。空がきれいだ。