頭の中で突然流れ始める音楽
どんなきっかけなのかわからないのだけれども、突然頭の中で流れ始める曲がある。
思い出の曲、ではなく、何故か思い出してしまう曲。
別に好きでもないCMのメロディーが、頭の中で繰り返しループして、止めようと思っても止まらなくて気が狂いそうになる、というアレとはちょっと違っていて、
時々ふっと頭の中で流れだして、ちょっと流れて、すぐにフェイドアウトしていくので、特に困ることは無い。
困ることは無いのだが、なんでこの曲なんだろう、というのが良くわからない。
そんな曲が3曲ほどあるので、それについて、とりとめもなく書いていこうと思う。
1曲目 Helter Skelter
ビートルズの「Helter Skelter」
ビートルズは、まあ好きだし、この曲はビートルズの中でも最もハードロックに寄ったかっこいい曲だとは思う。
でも、この曲が一番好き、とか一番よく聞いていた、ということはなくて、もっと良く聞いた曲も、もっと好きな曲もあるのだが、何故かいつもこの曲が頭の中で流れ出す。
ビートルズのなかでも色々いわくつきの曲ではある。
1969年、チャールズ・マンソンというカルト指導者が、信者たちに命じて女優のシャロン・テートと彼女のお腹の中の子供を殺した、いわゆるシャロン・テート事件。
最近では「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」という映画でも題材として取り上げられていたが、このチャールズ・マンソンがビートルズの「ヘルタースケルター」に特別な意味を感じ取っていた、という話が有名になり、曲自体にも何か邪悪な印象がついてしまったらしい。
確か、やはりチャールズ・マンソンが惹き起こした別の殺人事件だったと思うが、殺人現場の壁だったか家具だったかに、被害者の血で〈Helter Skelter〉と書かれていた、とかいうエピソードもあった気がする。
「ヘルタースケルター」といえば、岡崎京子のマンガも有名だが、ぼくは読んだことがないし、それの映画化されたのも見たことがない。だから特に言えることはないのだけれど、チャールズ・マンソンがこの曲に与えた印象、というか伝説が無ければこのタイトルにはならなかったんだろうな、とは思う。
昔見たU2のライブ映画の中でもこの曲がカバーされていて、ボーカルのボノが、「チャールズ・マンソンがこの曲をビートルズから盗んだが、俺たちが盗み返した」みたいなことを言ってからこの曲を始める。
ボノらしいカッコツケにやや鼻白むところはあるが、やっぱり曲はカッコイイな、と思った。
でもぼくは、チャールズ・マンソンにそんなに興味があるわけではないし、この曲がまとっている伝説に特に惹かれているってわけでもないので、なんでこの曲なのかはやっぱり分からない。
何かの拍子で、急にジャジャジャジャジャジャジャジャというギターのカッティングが頭の中で鳴り始める。
そしてポール・マッカートニーが歌い出す。
ぼくは英語が全然ダメなので、何を歌っているかはわからない。
いや、たぶんポール・マッカートニーはちゃんとした歌詞を歌っているんだと思う。
ぼくが聞き取れないだけで・・・。
そして最初の一節くらいでフェイドアウトしていく…。
2曲目 クズんなってGO
ばかばかしい
涙も出ない
待ってたけれど
来なかったけど
それならそれで
いい
いい
ザ・ピーズの「クズんなってGO」
ザ・ピーズは好きなバンドだ。
1987年デビューのロックバンドで、活動中止したり再開したり、メンバーを変えたりしながら今も活動している。
一回だけ見に行った日比谷野音でのライブも良かった。雨の中、雨合羽を着て見た記憶がある。
そのライブで、この曲をやったかどうかは憶えていない。
1992年発売の同名アルバムの表題曲
この曲もやっぱり、他にもっと聴き込んだ曲があるし、特にこの曲に思い入れがあるというわけではないのだが・・・
この曲は
上に書いた部分と、それに続く
朝んなってもう
どうでもよかった
朝んなってもう
眠い
あたりまででフェイドアウトする。
わりとゆったりしたリズムの曲なので、もしかしたら歩いている時のリズムに合っているのかも知れないな、とは思うが、考えてみれば歩くリズムに合っている曲なんていくらでもあるわけで、やっぱりなんでこの曲なのかは分からない。
歩いている時のリズムと言えば、
3曲目 シャーロック・ホームズとワトソン博士
シャーロックホームズとワトソン博士、霧のロンドン靴音高く
この曲はかなり古い。
NHKの「みんなのうた」でやっていた歌だと記憶している。
この曲は本当にこの部分だけしか憶えていない。
この後にどんなふうに続くのか、たまに考えてみるがどうしても思い出せない。
この文章を書きながら、そういえば最近はどんなことでもネットで調べれば出てくるんだ、と思って調べてみると、簡単に出てきた。
それで今、YouTubeで見てみたのだが、
これが本当に驚いた。
いくつか驚いたことがあるのだが、
まず、歌っているのが谷啓だということ。
これは全然憶えていなかった。
谷啓、といってもわからない人もいるかもしれないが、
あの「ガチョーン」の谷啓である。
「ガチョーン」といってもわからない人もいるかもしれないが、
あのクレージーキャッツのトロンボーン奏者である。
と言ってもわからない人もいるかもしれないが、
それはもう仕方がない。
50代のぼくでさえ世代ではないのだから。
もう一つ驚いたのは、憶えていたフレーズ以外の部分が、聴いてみても
「ああ、そうそう、こういう歌だった」
とはならなかった事。
まったくの初耳、という感じである。
完全に記憶から抜け落ちている。
そして、唯一憶えていた部分も、まず「くつおと」の部分のメロディーが間違って憶えていた。
そして歌い方も、記憶では
「きりーのろんどんくつおとたーかーくー」
という平板な感じだったのだが、実際は
「きり、のろんどーん、くつ、おっとたああかあくー」
という感じ。
思ったより癖がある歌い方だった
そしてなにより一番驚いたのが、このフレーズが曲の始まりだと思っていたのが、実際には曲の最後の部分だったということ。
このフレーズで終わる曲なので、この後は無い。
このフレーズの後、どんなふうに続くのか、いくら考えても思い出せなかったわけである。
さて、とりとめもなく書いてきたので、特にまとめも締めもないのだが…
いま、ちょっと気になっているのが、
3番目の曲、「シャーロックホームズとワトソン博士」について。
記憶とはかなり違っていた、ということが判明したわけだが、さて、このあと、どんなふうに頭の中で流れるのだろうか。
今までと同じ、ずっと間違って憶えていたメロディーとリズムのままで流れるのか、
あるいは今回わかった正しいリズムとメロディで、谷啓の歌声で流れるのか、
それとも、もうこの曲が頭の中で流れることは無くなってしまうだろうか?