良作! 思いのほかちゃんとした映画だった「ツイスターズ」
8月×日
TOHOシネマズ新宿で「ツイスターズ」(リー・アイザック・チョン監督)
竜巻を追う二つのチーム。
1つは企業から資金提供されて最新の技術で竜巻を観測するチーム。
もう1つは竜巻に出来るだけ近づいてその様子を配信するYouTuber達のチーム。
企業チームのインテリ風美女がヒロイン。
YouTuberチームのリーダーであるカーボーイ野郎が相手役。
正反対の二人が最初は反発しながらも次第に惹かれ合い・・・というお話。
なんともステレオタイプというか教科書的というか・・・。
ヒロインの学生時代からの友人が企業チームにいて、この男も絡んだ三角関係を横糸に、ヒロインのトラウマ(過去の竜巻に関する)の克服を縦糸にして物語は進む。
どこまでもステレオタイプ。
どこまでも教科書的。
しかしこれが悪くない。
映像の迫力はもちろんなのだが、普通のところをちゃんと描いているのでスキがない。
教科書通りをきちんと丁寧に作る、ということの良さを改めて感じさせてくれる良作だった。
この映画、一応1996年の「ツイスター」(ヤン・デ・ボン監督)の続編ということになっているらしいが、別に見ていなくても問題ない。
ぼくも見た記憶はあるのだが、なにせ28年前だからほとんど憶えていない。
映像はたしかに迫力があったが人間ドラマの部分はなんだか取ってつけたようだった、という印象だけが残っている。
その点でも今回の「ツイスターズ」はずっと良かった。
夏休み映画としては最高の部類ではないか。
(余談)
企業チームが、竜巻を測定する機材に「ドロシー」とか「ブリキ男」とか、「オズの魔法使い」由来の名前を付けていた(28年前の前作にもたしか「ドロシー」って出てきたような気がする)。
「オズの魔法使い」では主人公の少女ドロシーが竜巻に襲われてオズの国に飛ばされてしまう、というところから物語が始まるのでそこから来ているのだろう。
今作では機材の名前だけでなく、YouTuberチームに密着取材をしているイギリス人に対して、カウボーイ野郎が
「ここはもうロンドンじゃないんだぞ」
みたいなことを言うシーンがあって、あれも多分「オズの魔法使い」の、
「ここはもうカンザスじゃないみたいね」
ってセリフから来ているんじゃないかな。英語よくわからないけど・・・。
(余談のさらに余談)
「オズの魔法使い」といえば「MGMのミュージカル」である。
MGM・・・ぼくが映画を観始めた頃にはすでに衰退していて、過去の会社(存在はしていたが)・・・往年の名作ミュージカル映画の製作会社というイメージだった。
ミュージカル映画だけを作っていたわけではなく、
「風と共に去りぬ」
「哀愁」
「ガス燈」
などなど、数々の歴史に残る名作を制作している。
で、MGMといえば、ガオーと吠えるライオンのオープニングロゴが有名だが、最近あのオープニングロゴに思わぬところで出くわした。
「ルックバック」(原作:藤本タツキ、監督:押山清高)である。
どうやらMGMは2022年にAmazonに買収されて「Amazon MGM スタジオ」になったらしく、「ルックバック」に関しては製作にかかわっているとか。
まさか日本のアニメ映画を見に行ってMGMのあのライオンのロゴを見るとは思わなかったな。