楽しかった映画「マッシブ・タレント」のこと、デヴィッド・ボウイのこと、あとスピルバーグのこと、など、
3月×日
新宿ピカデリーで「マッシブ・タレント」(トム・ゴーミカン監督)
ニコラス・ケイジという落ち目の俳優が、国際的な陰謀に巻き込まれて裏社会の組織と対決する、という話。
主演はニコラス・ケイジ。
これは楽しかった。
ちょっと薄味な感じはするが、こんなに最初から最後までニヤニヤさせてくれる映画はなかなか無いので、やはり褒めたい。
ニコラス・ケイジにほとんど興味がない自分でさえこんなに楽しめたのだから、ニコラス・ケイジが好きな人には夢のような映画なのでは?
あと。「パディントン2」を観たくなる映画でもある。
パディントンは1作目があまり面白くなかったので2は観なかったのだが、観ておいた方が良かったのか・・・。
3月×日
TOHOシネマズシャンテで「デヴィッド・ボウイ/ムーンエイジ・デイドリーム」(ブレッド・モーゲン監督)
観客はロック老人会みたいな感じかな、と思ったが、まあたしかに8、9割がた高齢者だったが、ちらほらと若い人もいたのはなんか嬉しかった。
デヴィッド・ボウイの肉声(インタビューなどの)と音楽を軸にして、それを映像(ライブ映像、映画やミュージックビデオの映像、そしてデヴィッド・ボウイとは関係のない映画の映像なども含まれる)のコラージュで彩った様な作品。
ナレーションや論評が全く入らないのは新鮮で良かった。
一応年代順に進むが、あんまり「クロニクル」という感じはしない。
イメージビデオっていうか、映像詩みたいな感じ。
楽しんで観ることができたが、デヴィッド・ボウイのファンなら誰でも、「これだけの素材を自由に使って良いのなら、自分の方がもっと良いものが作れるけどな」と思うのではないか。
実際に出来るかどうかはともかく、ファンとはそういうものだ。
この映画の監督も、単なるファンなのでは、という気も。
ネットで感想を見ると、90年代以降があまり描かれていない、という不満がけっこうあったが、これは監督が90年代以降のボウイの仕事にあまり価値を感じていないということなのだと思う。
ぼくに言わせればボウイが面白かったのは1979年のアルバム「ロジャー」までなので(実際にボウイを聞き始めたのは80年代に入ってからなのだが)、ぼくが監督をするなら80年代も省略しただろうな。
ファンとはそのくらい勝手で思い込みが激しく独りよがりなものなのだ。
それにしても、こんな映画が作れるのはボウイくらいだろうな、という気はした。
やっぱりワン・アンド・オンリーな人だと思う。
ただ、知らない人がいきなりこれを観てどう感じるのかはさっぱりわからない。
3月×日
TOHOシネマズ六本木ヒルズで「フェイブルマンズ」(スティーブン・スピルバーグ監督)
この監督は「変な映画を撮る人」というイメージ。
もっと言うと「変で不愉快な映画を撮る人」。
こんな人が「巨匠」などと呼ばれているのが本当に不思議。
じゃあ何故、そんな人の映画をまあまあ観ているのかと言うと、その中に時々奇妙に歪んだ魅力がある作品があるから。
なのだが、その魅力を上手く説明できない。
どこが変でどこが不愉快かも上手く説明できないのに、その中でさらに魅力の有る無しなんて説明できるわけもない。
「宇宙戦争」や「リンカーン」にはその奇妙な魅力があり、
「レディ・プレイヤー1」や「ターミナル」にはその魅力が感じられない、
というのは、自分の中でははっきりしているのだが・・・。
「フェイブルマンズ」は、その奇妙な魅力が感じられず、単に変で不愉快な映画だな、という判断をしたので1時間で途中退席した。
だから内容に関して語る資格はない。