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自分の思いこそが、世界を決めてゆく

「誰が勇者を殺したか」
なんとも物々しいタイトルのはずなのに、読み終えたときは心が温かかった。思いがけない本でした。

深く考えず、でも胸躍る、心震わせる物語を読みたい。そんな思いを満たしてくれるのはどれなんだ。無茶振りのような願いを持って本屋さんで見渡し、目立つところにあったこの本を選んだ次第。でもまさに希望する内容でした。

ネタバレともなりますが、主人公は神に選ばれし、格別な才能を持って生まれたわけではありません。どこまでも普通で、人並み止まり。ただ根気強かった。フィクションのお約束で、根気の果てに偉業を成せるほどの能力となったか。これがまた、なってない。想像の範囲内での成長しかしないのです。

物語の終わりで明かされる秘密があるのですが、その秘密を知った後、さらに確信を持って思いました。主人公はごく普通だったんだ。ただ、どこまでも諦めない人だった。偶然の産物で、元来の性格がより濃くなっていってた。

周りだけじゃなく、主人公本人も痛々しくなるほどに、己のレベルをはっきりと自覚していました。でも歩みを止めなかった。魔王との戦いへ挑みに行きます。自分がすべきことだからと、準備を淡々と進めるのです。逃げません。

「才能がないんだ」「はなから無謀だったんだ」「そういう運命だったんだよ」。わたしが出来なかったことと対峙したとき、心に浮かぶ言い訳たちです。

決して根性論を説きたいわけじゃない。何事も努力すれば実ると言いたいわけでもない。でも引き際を見つめ直しました。

わたし、やけにスマートに諦めてないか。もっとジタバタして、泥臭くなるほどに足掻いたっていいんじゃん。その後に結論を出しても遅くない。

格別な才能を持つものが、世界を決定づけるわけじゃない。自分の思いこそが、世界を決めてゆく。本を通して感じたメッセージでした。

では また

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