人それぞれに持つ物差しを、大切に、尊重したい
そっか。そう来たか。思わず唸った、本作品。その本とはこちら。
町田そのこさんの本は、各章がオムニバス形式のようで、本全体が繋がってる。そんな法則を持って書かれています。
ただ今回は例外かしら。1章から2章へ移ったときに首をかしげました。当てはまらなかったんだー。
でも読んでくうちに、気がつきました。特定の人物について、各章の主人公たちの目線を通して描写されてたのです。やられたーて思いました。
ある人物に対して感じたこと、思ったこと、推測したことが書き綴られてるはずなのに。なぜか同じエピソードが出てこない。きっとそれぞれの「価値観」というフィルター越しに語られるからなんだろうな。
印象に残っているところ、切り取られる部分が違う。人が認知してる世界は、こんなにも異なるんだ。リアルな追体験。
過去、現在と時間軸は行ったり来たりして、当時は想像できなかった、理解できなかった部分も、「は!あれはそういう事だったのか」と語ってた本人に、思い当たることが出てくる。そうやって幾人もの語りを経ると、多角的に人物像が描写されていく。
町田そのこさんの本は、読んでる途中では、ちょっぴし悲しくなることが多くて。なしてそっちを選んだよ。なんでそんな解釈をしたんだ。確かにそう考えることも出来なくもないけど、けど。でもさ、もっと楽しそうな道に続く選択肢だって、その時にも見えてたでしょ。わたしは言いたくなってくる。
本著全体を読み終えて、思いました。わたしが「その選択は違うだ」「これは不幸だ」と断じたり、評する必要はない。幸か不幸かは、本人が決めること。本人の中にあるもの。「そうか。そうなんだね」と私はただ受け止めるだけ。
人それぞれに己の尺度じゃ計り知れない、物差しを持ってて。みんなが互いに、それぞれの物差しを尊重し合うことが大切。そんな重要性に改めて気づいた本でした。
では また