chatGPTに「必勝のしゃもじ」を小説化させてみた
chatGPTが大きく話題となって以降、GPT3.5が出たりbirdが発表されたりGPT4.0が出たりAdobeFirelyが発表されたり…と、文字通り日進月歩のAI界隈。
私も画像生成させたりAPI組んでみたり作曲させてみたりと、割と楽しんで追いかけております。
そんな中、総理がウクライナへ送った「必勝のしゃもじ」が週末に話題になっておりましたので、なんとなく思い付きで それをテーマにchatGPTに異世界転生モノの小説を書いてもらいました。
異世界転生したら「必勝のしゃもじ」が世界を変えた
・第一章:転生
「どうしてこんなところに…?」書道家・西田不二雄は目の前の光景に戸惑いを隠せなかった。彼は雷に直撃された瞬間、人生に終止符が打たれると思っていた。しかし、次に目を覚ますと、彼はどこか見知らぬ城の玉座の間にいた。
「おお、召喚は成功ですね。我ら賢者たちが、あなたをお呼びしたのです」王に仕える賢者達の一人がそう語りかける。
「そんな…」と驚きつつも、現世で異世界小説を好んで読んでいた西田にとって、人間、異種族、モンスターたちが共存するこの世界には希望があった。自分にはどんなスキルが備わっているのか、大いに期待したのだ。しかし、賢者たちが彼の能力を入念に調べた結果、彼には強力なチートスキルどころか現世から追加されたスキルは何一つないことが判明した。
「申し訳ありませんが、貴方では我々の役には立てないと判断せざるを得ません。どうか、城を出てください」と賢者に告げられ城を追い出された西田は、大きく落胆しながらも この新しい世界でどうやって生きていくか考え始めた。
・第二章:能力
3カ月後、西田はなんとか異世界の街に馴染んでいた。商人として生計を立てるべく、ギルドに登録しに向かう。すると受付担当は美人なエルフ。ついつい書道家であった現世の技術を披露したくなり、戯れに毛筆で署名記入を行った。すると、書いた文字が不思議な青い光で輝き、エルフも驚愕の表情を浮かべて固まってしまう。
「なんだ、どうしたんだ?」西田は何が起こったのか理解できない。
騒ぎを聞きつけてやって来たギルド長も、毛筆で書かれた署名を見るなり「まさか、あなたがあの伝説の…!」と驚きの声を上げた。
西田は奥の部屋へと連れて行かれ、そこにはギルド長と、急遽呼ばれたらしい一人の魔法使いがいた。彼は町一番の知恵者らしい。魔法使いは漢字で書かれた書体が、この世界では呪術的な力を持つと説明した。
「この世界ではルーン文字を武器や防具に刻むことで魔法的な補助が得られることは知られているが、書道による呪術は、武器との相性次第でその効果が数十倍にもなるという。しかし、その技術を持つ人間は世界に数人しかおらず、半ば伝説の存在であった」
・第三章:しゃもじ
意外なものが意外な効果を発揮することを知った西田の顔が綻んだのを、魔法使いは見逃さなかった。彼は、「ただし無条件に数十倍の効果となるわけではない。書の効果は己と道具とが一緒に過ごした時間によって強く大きくなる。新品の道具に何を書いても良い効果は生まれんのだ」と語った。
西田は悩んだ。長年使っている道具だけが効果を発揮するのであれば、この異世界の道具では難しいだろう。持ち込んだ現世の道具を調べたが、愛着のある書道用具はどれも消耗品なので使用歴はせいぜい2~3年。唯一の例外は硯なのだが、現世で死ぬ直前に高級品を買ったばかりで、愛着は強いが使用期間は数カ月。とても効果は期待できなかった。
さらに魔法使いは続けた。「ちなみに、その能力が使える回数は人生で数度と決まっているらしいぞ。人にもよるが、およそ3回程度だそうだな」「なんだって!?じゃあさっき書いた自分の名前も1カウントか!」と愕然とする西田。
仮に残りが2回だとすると、最後の1回はいざという時のためになるべく取っておきたい。回数にも個人差がある以上、もしかしたら自分は3回ではなく2回で終わりかもしれないのだ。とはいえ、現時点で使用期間の長い道具となると…
心当たりがあるのは、特に不自由がないのでなんとなく20年以上買い替えずに使い続けている「しゃもじ」だけだった。
「しゃもじって…何を書けばいいんだよ。“満腹”とか?冴えないなぁ」と苦笑いする西田。
・第四章:必勝
どうしても決めかねている西田に、魔法使いは提案した。「どうだ、酒を飲みながら考えるというのは?リラックスして考えられるだろう。」誘われるまま酒場へ向かった。本当に魔法使いと信用したのかアルコールで警戒心が落ちたのかはわからないが、異世界から来た転生人であること、スキルを使おうにも手持ち品に碌な候補が無いことなど秘密にしておいたほうが良い情報や、「しゃもじ」の説明&そもそもこの世界には無い「コメ」という食べ物の話…などを取り留めなくしているうちに酔いは進み、西田は呂律さえ回らなくなってきた。
結局、同じくベロンベロンに酔った魔法使いの「何をグズグズと迷っておるんじゃ。さっさと決めんか!」との挑発に乗り、酒の勢いでしゃもじに、なぜか「必勝」と書いてしまった。
・第五章:発動
翌朝、激しい二日酔いと共に昨日の記憶が蘇る。貴重なスキルを、酒の勢いで使ってしまったことに痛恨の念がよぎる。
「やっと見つけた貴重なスキルなのに、必勝のしゃもじって…笑えねえよ…」
視線を移すと、酔って帰って無造作に放り出したのであろう、道具入れの横に転がっているしゃもじが目に入る。自分のアホさ加減に涙がこぼれそうだ。
そんな沈んだ気持ちを振り払おうと、なんとなく両手に持ち、自虐的な笑みを浮かべながら戦士のような構えを取ってみた。「こんなしゃもじで、何ができるって…」
その時、しゃもじの先端から眩い光が出現。しゃもじは光の剣に変貌した。
・第六章:試練
光のしゃもじを手にした西田は、驚きのあまりしゃもじを放り投げそうになった。しかし、光のしゃもじは西田の手から離れず、まるで彼を助けたいと願っているかのようだった。
「これが、しゃもじに書いた“必勝”の力なのか…」西田は呆然としながらも、その光のしゃもじを握りしめた。
しばらくして、街の外れでモンスターが現れるという噂が立ち始めた。恐怖に震える町の住人たちを救うため、魔法使いは西田にその光のしゃもじを使ってモンスターを退治するよう依頼した。最初は戸惑いながらも、西田は必勝のしゃもじを持ってモンスターと対峙した。
驚くべきことに、光のしゃもじを操る西田はまるで熟練の剣士のようにモンスターと戦い、次々と倒していった。町の住人たちは西田の活躍を見て、彼を英雄として讃えた。そして、彼の名は次第に広がり、異世界中に知れ渡ることとなった。
やがて、西田は数々の困難な試練を乗り越え、その力で異世界の危機を救う英雄となり、王国からも高い評価を受けた。彼のもとには様々な依頼が舞い込み、彼はその度に必勝のしゃもじを振るって敵を討ち続けた。
そして、西田は次第にこの異世界での生活にも慣れ、かつての現世での自分が書道家だったことすら忘れるほどに剣士としての自分を受け入れていった。
(fin)
生成するにあたって
生成のざっくり手順
プロンプトには、「現世で雷に打たれて死ぬ」「持ち物の中で候補になるのは“しゃもじ”のみ」といったストーリーの断片と、「異世界の世界観(ギルドとかルーン文字とか)」を入れて生成させています。
テキトーに書いたとはいえ、ストーリーやプロンプトの作成に20分くらいかかりました。
画像は、BingのImageCreator。まだ日本語を受け付けてくれないので、Bingチャットに翻訳を頼んで英文を生成し、それをコピペで放り込む形で生成。
こちらも思ったような画像が描けないものがいくつかあり、小一時間かかってしまいました😅
最終的に、明らかに整合性が取れていない文章(後述)に直接手を入れる作業に、10分ほど。合計で1.5~2時間くらいかけて作りました。
準備にそれなりには時間かけたとはいえ、いざ入力してしまえば文章作成は流石のスピード。自分が読むスピードに近いレベルで、新しく文章が生成されているのを眺めるのは感慨深いものがありますね。
予想外だったこと
・プロンプトで指示した概要の文面をそのまま使おうとする。なるべくオリジナルで作ってほしかったのだが。
・でも、第六章を勝手に追加して執筆した。オチてないのでちゃんとオトそうとしてくれたらしい。
・プロンプト指示でも文脈上でも「~ではなかった」という流れを、「~であった」と真逆に記述するケースが多々。長文を扱う場合、それまでのインプット情報を忘れてしまう様子。
・画像生成で使ったBingが、「しゃもじ(rice paddle)」を、妙にデカいもの(全長1~2mほど)と思い込んでいる様子。ヨネスケの影響か?
あまりにも進化スピードが速く、もはや二か月後にどうなっているのかさえ想像できないくらいなAI界隈ですが、chatGPTに限らず AIは確実にゲームチェンジャーになる技術。しっかり食らいついて「AIに指示する側」でありたいですね。