人間のタイプと適性
2017年11月上旬の穏やかな日曜日。この日も自分に足りない何かを探していた。
いつもの散歩道を歩いていると、図書館の入り口付近で人だかりができているのが目に止まった。何をやっているのか覗いてみると、折りたたみテーブルの上に段ボール箱が置いてあった。
箱の中を覗くと本がぎっしりと収まっていて、箱の横に大きな文字で「ご自由にお持ち帰りください」と書かれていた。その中から薄汚れた1冊の本を手に取った。「人間のタイプと適正」と表記されていた。
今から100年ほど前、スイスの精神科医であるカール・グスタフ・ユングによって人間は8タイプに分類された。ユングが人間をタイプ分けした目的は神経症患者を治療するためだった。
ユングの理論に注目したアメリカ人女性が、それを発展させて「MBTI」というパーソナリティー・テストを刊行したのが1975年。そして日本に伝わったのが1982年。図書館で偶然手にした本はイザベル・ブリッグス・マイヤーズが開発した「MBTI」の解説書だったというわけだ。
ネットで「MBTI」と入力すると性格診断を受けられるサイトが見つかった。いくつかの質問に答えると「内向型感情タイプ」と診断された。
あの本と出合ってからもうすぐ5年になる。人間のタイプに興味を持つようになった私は、今では根本的な2種類のタイプに着目している。
私たちは外向型人間と内向型人間に分類される。外の物質世界に興味がある外向型人間に比べると、内向型人間は自分の内面世界を探求することに関心を持っている。
先進国と呼ばれる世界で暮らす人間のほとんどは「大量生産→大量消費」という整備された大きな道を、せかせかと時間に追われながら歩んでいる。人の流れる方向に進めば生活するために必要なものは揃っているから、自分の頭で考えなくても生活に困ることはない。外の世界を見渡せば、あらゆるモノで溢れている。
大きな道は独特な空気が漂っていて、過密な空気に拒絶反応を示す内向型人間は自分だけの小さな道を探しに行く。でもそんな道は幻想でしかない。そして仕方なく大きな道に戻ってしまう。流れに逆らって苦しい人生を歩んでしまうのは内向型人間だ。
私の人生が苦しい理由はイザベル・ブリッグス・マイヤーズが残してくれた本の中に書かれていた。
自分に足りない何かはまだ見つからない。その答えは内向型人間が抱えている問題の中にあるはずだと思っている。