意を決してルーマニアに行ってみたら古き良きヨーロッパがそこにあった。 ティミショアラ後半→クルジュ=ナポカ編
ルーマニア料理を食べよう
さて初日はマクドナルドに逃げてしまった私、その後もスパゲティを食べたりフォーを食べたりととにかくルーマニア料理から逃げていた。
さすがに外食は高い。まあ観光地だし、こればかりは受け入れるしかない。フランスとかよりは安い。
なおルーマニア料理から逃げた罰なのか、カルボナーラは脂っこすぎてお腹を壊し、フォーはネギが多すぎてお腹を壊した。やっぱりマクドナルドが正解では??
とはいえやはりルーマニア料理を食べないわけには行かないだろう。無論この後もルーマニア各地を旅するわけだが、食べられるときに食べておかないとあっという間に出国日、という事もあり得る。Googleマップで評判のよさそうなお店を探し、たどり着いたのがこちら。
え?これ入っていいの?
私はちょっとうろたえた。写真に補正が掛かっているので明るく見えるが実際にはかなり薄暗くまた人通りもほとんど無い裏通りである。テーブルにも誰もいない。一応、メニューらしき看板は出ているが…
とりあえずそっとドアを開けてみる。
しかも地下かよ!うーんこれは入るのに勇気がいる。しかし陽気な店内BGMは流れている。とりあえず営業はしているようだ。
意を決して階段を下りてみると、民族衣装と思しき制服に身を包んだ男女が談笑していたので「一人だけど入れる?」と聞くとOKとのこと。席に着き、伝統料理のサルマーレを注文する。
なお正確に言うと、「サルマーレ」は写真右側のロールキャベツの方で、左側の黄色いお団子はトウモロコシ粉を練って作るママリガというもので日本で言えばご飯にあたるものだ。
白いのはサワークリーム。東側諸国の料理には欠かせない。スパイファミリーで言ってたから間違いない。
サルマーレを一切れ食べてみる。さわやかな酸味のあるロールキャベツで、日本人の口にも合う。いくらでもイケそうな軽やかさだ。
ママリガも単品で口に入れてみると、ほのかな甘みのあるお団子という感じだ。「茹でたトウモロコシの甘味」のようなものはあまり感じず、「主食」感が強い。もっとも実際に主食なのだから、あまり主張が強い味でも困るのだろう。
サワークリームを付けたサルマーレを口にすると、何とも言えない味のまとまりを感じる。以前ロシア旅行した時にも思ったが、サワークリームって名前にサワーとあるものの、個人的には軽くなめらかな風味のクリームと言った味に感じるのだ。
そのさわやかさが酸味のあるロールキャベツに合わさって実に旨い。
欧米諸国では主食と主菜を同時に口の中に入れる文化は無いと聞いたことがあるが、おかずとご飯を同時に食べる日本人としてはママリガとの相性も見ておきたい。
3つを同時に口にすると、当前ながら「すっぱいロールキャベツでご飯食ってる」のと同じ感覚になる。これは別に馬鹿にしている訳ではない。日本人的に全然アリということだ。そんなわけで黙々と食べ続け、あっという間に平らげてしまった。
お店の位置を示しておくので、興味がある方は是非どうぞ。
ショッピングモールに出かけてみる
さてその翌日、私はルーマニアの文化度を測るため(上から目線)ショッピングモールに出かけてみることにした。「Iulius Town」なるモールに行ってみることにする(読めない)。
うむ、合格!!
謎の上から目線で語ったが、近代的でオシャレなモールだ。
ただ、1つ大きな問題がある。どうもここは3つほどのモールが複合しているらしく、各モールが立体交差点のように複雑なつながり方をしている。
うっかりしていると自分の現在位置を見失い、しかも出口も分からなくなる。
私も散々迷った挙句にようやく出口を見つけることができた。
ちなみに、そのモールの1つに大型スーパーが入っていた。そこで興味深いものを発見したのでご紹介したい。
筋トレ民御用達、米Optimum Nutrition社のGOLD STANDARDプロテイン!!迷ったらこれを買っておけば間違いない一品である。私も一時期愛飲していた。
アメリカの名産品が海を渡って東ヨーロッパの地方都市にまでやってくるとは、謎の感動を覚える。まあそれを言ったらiPhoneはどうなるという話だが。
ちなみに日本で同じものを買うと6,280円。257レイは約8,350円。ここはルーマニアの方が割高のようだ。もっともスーパーだから高かった可能性はある。
ウィンドウショッピングを続けていたら、連日の散歩や時差ボケによる寝不足もあり疲れ切ってしまった。カフェにでも入って休もう。
店内に入ると、周囲から「なんだアイツ」という視線をちょっと感じた。とは言っても敵意とかいう事ではなくて、単にアジア人が珍しいのだろう、好奇の目という感じだ。店員さんも愛想よく対応をしてくれた。
私のオシャレセンスが無さ過ぎて驚かれた、なんてことは無いよね…?
ただ、ルーマニア全体の習慣なのか、スターバックスだけなのかは不明だが、飲食が終わったと思しきトレイが色々なテーブルに置きっぱなしになっている。おそらくはどかしてそこに座っても良いのだろうが、万一「そこ使ってるんだけど!」とやってこられても面倒だ。仕方がなく、何も置いていない狭い席に着くことにした。
しばしコーヒーをしばき、読書が一段落ついたところで一旦ホテルに戻った。その際もUberを使った。やはり配車アプリが使えると旅は格段に便利になる。
ホテルのレストランでパパナシを食べる
さて4時ごろホテルに戻ってくると、私は疲労からベッドに倒れこんでしまった。時差ボケによる睡眠不足が思いのほか祟っている。
しかし何か食べたい気もする。私はホテルのレストランに向かった。何か軽食を頼もう。せっかくなのでルーマニア的なものがいい。そんなわけで、ルーマニアの伝統菓子を注文することにした。
ガイドブックには「パパナシとは、揚げドーナツのクリーム添えのことである」と書かれていたので、甘いものを食べて回復しようと試みる。一口食べてみると、まあ揚げドーナツの味である。見た目から想像できる味そのもの。そして重い。とても疲れた身体で食べに行くものではない。私はヒイヒイ言いながらもなんとかギリギリ食べ終えて、その日はもう夕飯は食べられないほどだった。
ティミショアラからクルジュ=ナポカへ
さて楽しいティミショアラ観光も終わりの日がやってきた。初回の記事で説明した通り、ルーマニアでは地方都市Aから地方都市Bに飛行機移動しようとすると、まず首都ブカレストまで飛んで、それから目的地まで飛び直さなければならない。
そんなわけで空港に向かわねばならないのだが、その前に腹ごしらえだ。今日私がいただくのは…
だってド安定なんですもん!!
その後適当な時間になると、私はUberでタクシーを呼んで空港に向かった。
なおここで一つ注意事項を申し上げたい。
この空港、「国際線出発ターミナル」と「国内線出発ターミナル」が分かれてはいる。だが実際には国際線・国内線の両方の受付を国際線ターミナルのカウンターで行うのだ。私はそれに気づかず、しばらく国内線ターミナルの方をウロウロしてしまった。
見かねたチケットカウンターのおじさんが「君どこ行き?」と聞いてくれたので説明したら「国際線の受付でいいんだよ!」と教えてくれた。
ありがとうおじさん!そして、なんでやねんティミショアラ空港!!
ちなみに制限エリアの中に入ると上の充電ゾーンと売店とトイレ、そしてわずかなベンチがあるだけのシンプルな空港だ。売店も空港価格で割高だし、何か入用なら事前に買っておこう。もっとも国内線なら1時間のフライトだが。
あとトイレは綺麗だった。ホッ。
しばし待つと、搭乗時刻がやってきた。さっきチェックインカウンターで受付してくれたおばちゃんが航空券のもぎりにやって来たのには少し笑ってしまったが、とにかくゲートを抜けて中に入る。すると待合室があり、そこから搭乗する飛行機が見えた。
たぶんATR-72だと思われるが、珍しいプロペラ機である。JALで航空修業をしたときに伊丹-但馬線で乗って以来だ(分かる人にだけ分かるネタ)。
しばし待っていると搭乗時刻がやって来た。待合室のドアが開き、冷たい空気が吹き込んできた。ぞろぞろと歩いていく搭乗者たち。相変わらず、ここには沖止め用のバスなんてものは無いのだ。
私はてっきり前方から乗り込むものと思っていたので前方座席を予約してしまっていた。すいませんすいませんという感じで前方に進んでいき、マダムが座る席の隣に私の席はあった。
席に着き、シートベルトを締める。さあ出発だ。プロペラ機はエンジン音が特殊で面白い。なんというか、普通のジェット機が「ゴー」だとするとプロペラ機は「ブゥーン」なのだ。巨大扇風機みたいなもんだろう。
小一時間も乗っていると、あっという間に飛行機は着陸した。ぞろぞろと降りていくと、そこはブカレスト国際空港。
なお、1F到着ターミナルから2Fにエスカレーターで上がる途中、「金くれよおじさん」に絡まれて怖かったです。
しかし不思議な会話だった。以下に概要を示してみる。
おじ「1ユーロくれよ」
ワイ「なんでだよ」
おじ「気分悪くてさぁ、水買いてえんだよ」
ワイ「ていうかなんでユーロなんだよ、レイしか持ってねえよ」
おじ「じゃ1レイでいいよ」
ワイ(早く離れてほしいので黙って渡す)
なお、1レイの価値は30円くらいである。彼は無事水を買えたのかなあ…
この画像に映る時刻表を見た時、私はあることに気が付いた。TAROMというのがルーマニアのフラッグキャリア(日本で言うところのANA)なのだが、よくよく見ると国際線と国内線が同じボードに記載されている。ティミショアラ空港が特殊なのかと思ったら、どうもルーマニアでは国際線と国内線を分けて考える習慣が元から無いようだ。変な国ー。
さて最初の到着ロビーから歩きに歩き、反対端の出発ゲートまでようやくたどり着いた。いかにも国際空港のような光景だが、国際線も国内線もここから制限エリアに入る。セキュリティチェックを通った後で、左折すると国内線待合所が、右折すると国際線待合所にぶつかるように設計されている。なんとまあ分かりやすいのか分かりにくいのか分からない空港だ。
とにかく歩き詰めで疲れたし、私はトイレに行って用を足してからベンチで休むことにした。
トイレは汚かった。
ティミショアラ空港は綺麗だったのになあ…
クルジュ=ナポカで食べるラーメン
さてまたしても1時間ほどのフライトを終え、ようやくクルジュ=ナポカに到着した。Uberタクシーで空港からホテルに向かう途中に車窓から見えた光景には多くのビル群が立ち並び、クルジュ(現地人はナポカを外してこう呼ぶらしい)が大都会と言ってよいことを示していた。
ホテルに着いて荷物を下したころには私はヘロヘロだった。1日2回の飛行機はやはり効く。もう何もしたくないが、ご飯だけは食べないと回復しない…
そういえば。私はガイドブックを取り出してみた。クルジュにはTOKYOという名の日本食料理屋があるという記載があったと思ったが、確かホテルのそばじゃなかったっけ…?
調べてみると、ビンゴ。ホテルから歩いて5分ほどの所に日本食レストランTOKYOがあるではないか。これは行くしかない。
私はのこのこと歩いて行った。店に入ってみると、「いらっしゃいませー!」の大号令。おお、日本語が通じるのか。私は日本語で白人のお姉さんに話しかけてみた。
店員さんは疑問符を浮かべて困った顔をしていた。いらっしゃいませだけかー!考えてみればそうだよね!!
とにかくここから先は英語でのやり取りとなったが、ここで問題が起こった。「ご予約はございますか」とのこと。どうやら予約して入る系のしっかりしたお店らしい。うーん、もうここで食べる気満々だったのだが、とはいえ嘘を吐くわけにもいかない。
私が「予約はしてないんだけど…」というと、お姉さんは確認してきますと言って奥に引っ込んでいった。しばらくして、「テーブル席でなくカウンター席でしたら大丈夫です」とのこと。私はもちろん承諾した。こうして、白人の板前さんたちが寿司を握るところを見ながら食べることとなった。
ちなみに、白人の板前さんたちの中に一人だけアジア人の板前さんがいた。おお、日本人か!と思い日本語で話しかけてみたが、再び困った顔をされた。
なんかゴメンナサイ!!極東アジア系の顔をしていたが、中国か韓国系だったのかな…
とか何とかやっていたら注文した醤油ラーメンがやってきた。まずはスープを飲んでみる。豚骨醤油系の味で美味い。
美味いとは言っても、もちろんこれを日本で食べたら「うーん」と言わざるを得ないだろう。しかしここは欧州、しかもマイナー国ルーマニアの、首都でもない地方都市だ。麺が伸びていようが、スープがちょっとぬるかろうが、メンマの代わりに入っているのが筍の甘露煮だろうが、どれも許せるというものだ。味変のためのおろしニンニクが付いているのも嬉しかった。
欧米で麺をすすると失礼に当たるとよく聞くので、せっせと麺を箸で持ち上げながら食べる。
食べ終えた後には充足感があった。私は満足して食事を終えるとホテルに帰ったのだった。
さて長くなってきたので今回はここまでにしよう。次回はクルジュ=ナポカでの受難についてをお伝えしていきたい。
次回、クタクタで迎えたクルジュ=ナポカ編
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?