Lomokie Diary #45🇬🇭「出てこない水、入ってこない情報」

2024年2月21日 20:48

出てこない水

ガーナで暮らす以上、避けられないのが不定期な断水。地方はもちろんのこと、首都アクラのおしゃれなホテルでもたまに起こります。

そして我が任地では現在、かれこれ10日間まともに水が出ていません。学校も、家も。

学校では、容器に貯めていた水道水の蓄えが底をついてしまいました。小中学生はお小遣いから水(500mlで約6円)を買って飲んだり手を洗ったりしていますが、幼稚園クラスでは先生が自腹を切って子どもたちに水を用意しています。もっと大きな貯水用タンクが必要だという声が上がっていますが、学校経営費から捻出してもらうことはできるのか…

一方、家のほうは、幸いなことに四六時中断水しているわけではありません。夜の12:00頃になると復活する日もあるため、それを期待して寝る前にはシャワーの栓を開けておきます。そして、チョロチョロチョロという水の音に起こされた暁には、寝ぼけ眼をこすりながら緑色の小さなバケツを片手に巨大バケツへの蓄えを開始する日々です。

夜中の水汲みは数日続くとさすがに寝不足になりかけるし、まったく出ない日が続いて巨大バケツの貯蓄が少なくなってくると先が思いやられます。

ただ、周りを見渡すと他の地域でも断水が深刻なようで、もっと頻繁に長期に及ぶ断水を被っている隊員もいれば、数ヶ月間まったく水が出ずに井戸を利用する隊員もいます。

それに比べたら10日間の断水(しかも夜中になれば出ることもある)なんて、かわいいものでしょう。なので文句は大きな声では言わない。けれど、たまには泣きごとを言いたくなっちゃうのが人間。

バケツで水浴びもいけるけどやっぱりシャワーがいい。蛇口ひねって食器を洗いたい。1回毎にトイレの水を流したい。水をたっぷり使ってジャブジャブと洗濯したい。

と、そんなかんじで生きています。

ガーナにきてからというもの、「明日やればいいや」は禁句で、「できる時にやってしまおう」が鉄則だと学んでいます。手洗い洗濯や食器洗い、生姜の泥落としを「あとでやればいいや」と放っておいた結果、重たい腰を上げた頃には断水していることも。「いつやるか？今でしょ！」が大事なのです。

入ってこない情報

どうやら今回の断水は、学校と家のみならず、アダウェスト郡全体で起こっているらしいです。しかも少なくとも今週いっぱいは続くとか続かないとか。

「学校の水道、なかなか復活しませんねぇ…」と同僚に相談したところ、水道管の不具合が原因で郡全体で断水しているらしいという事実が発覚しました。

そしてなんと先生方は皆、この断水が少なくとも2週間は続くということを前もって把握していたと言うではありませんか。

一体どういうことか。

他の先生方があらかじめ知っていたことを、なぜ私Lomokieは把握していなかったのか。

情報弱者

ここアダウェスト郡にはOkorli FM(オコリエフエム)というラジオ局があり、町に設置されているスピーカーや個人所有のラジオから不定期に大音量で流れています。

そのなかで、今回の断水についても取り上げられていたとのこと。どうやら先生方はこのラジオ放送で断水についての情報を得ているらしいということが分かりました。そして、私Lomokieがその情報をタイムリーにキャッチできなかった理由…

それは…

そのラジオ放送がすべて現地語ーDangme語(ダンメ語)ーによるものだから。

私のDangme語レベルは、かろうじて玉ねぎを2つ3つ買える程度です。そのため、すべてDangme語でなされる放送は、意味のある情報ではなくただの「音」でしかありません。

英語だったら漏れなく把握できていたかと問われればそれはそれでyesとは言えませんが、Dangme語よりはまだ希望があるでしょう。断水にかんするDangme単語で知っているのはNyu(ニュ＝水)のみで、それ以外はからっきし。

そんな状態で断水の情報を得るのは至難の業です。

情報弱者だなぁ、とつくづく感じます。

実は先月にも同じようなことがありました。
数日間にわたる計画断水(その時の原因も水道管の不具合)があり、1週間前からラジオで予告されていたそうですが、私は把握しておらず、何の対策もせぬままにその日を迎えました。事前に知っていれば、バケツにもっとたくさんの水を蓄えておくことができたでしょう。

これらを経て情報弱者と自覚しているいま、私にできることはなにか。

まずは、現地の同僚や知り合いの議員さん、近所の人に「暮らしに直結する情報が入ってきたら教えて」と頼みました。隣近所のマダムたちとは今後も常日頃から懇意にしていこうと思っています。

ここで、思うことがもうひとつふたつ。
この地域ではほとんどの人がDangme語を話しますが、中には遠方出身で別の現地語を話すガーナ人もいます。彼らのためにも、断水に関する情報は英語で流した方がいいのではないかと。余計なお世話かもしれないけど。

とはいえ、英語よりもDangme語が得意な人もたくさんいるから、英語だけの発信というのはよろしくない。すべての情報を両言語でというのは難しいとしても、せめて暮らしに関わる情報(断水・停電)だけでも英語とDangme語で流してくれたらありがたい。ついでに、Facebookなどにもその情報を掲載してもらえたら嬉しい。耳から得る情報よりも文字情報のほうが確実に把握できるので…

我がふるさとで耳をすませば

ここまで考えてからふと頭をよぎったのは日本の我がふるさと。

茨城県の程よい田舎町には防災無線があり、行方不明者や火災が発生した際にはその情報がタイムリーに発信されています。選挙期間には投票の案内も流れます。

思い返すと、それらはすべて日本語でした。防災無線の内容はホームページにもアップされますが、すべて日本語表記です。そしてその町には外国籍の方も多く暮らしています。

もしかしたら、いまの私と同じように困っている人がいたかもしれません。防災無線を、意味のある情報ではなくただの「音」と捉えている人がいたかもしれません。

恥ずかしながら、ここに来て今回の断水を経験するまで、そのようなことを想像したことがありませんでした。

日本に帰って、もし近所に困っている人がいたならば。「いまの放送はこんなことを言っていましたよ」と英語ないしイラストや身振り手振りで伝えられたらいいなと思います。

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これからも気の向くままにちょbitずつ投稿していきますので、ガーナでの暮らしについて、一緒に知っていってもらえたら嬉しいです。

JICA海外協力隊 2022年度4次隊まこし