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四万温泉冬の陣(漂泊の思ひやまず)
冬になるとやや旅行熱が下がる。寒いし、水辺遊びもしにくい。
でもそろそろ久々に出かけたい……と思って2月頭に休みを取った。
いいじゃないか、何もしなくたって。温泉に行こう。温泉と読書。これで決まりだ。
(↓前回の旅行 10月末↓)
なじみのある四万温泉に行くことにした。
春と夏に何回か訪れたことがあるが、真冬は初だ。雪かも。いいじゃないかそれも。
JRとお宿のセットを予約したら、出発が上野9時とかでだいぶゆっくりになった。
(普段はなるべく長く現地に滞在したいのでわりと早朝出発派)
のんびり旅ということで、まあそれもよし。
おとも本は川上未映子の『水瓶』。タイトルと表紙でジャケ買い。
宿でゆっくり読もう。
特急は隣の席に誰も来なくて快適。
関東平野を囲む山々がしだいに近づく。前方に雪山。
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積善館・元禄の湯でじんわり溶ける
中之条駅に着くと素晴らしい晴れ。2日間のフリー切符でバスに乗車。
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雪はほとんどなかった。路肩に少しだけ。
驚くほど狭い道を通り、終点・四万温泉。
さあ、ここへ来たらやっぱり「積善館」!
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前回はコロナで日帰り入浴やってなかったから久々だ~
金曜なのですいていたが、5人くらいと一緒だった。
みんな静かに、じんわりとそれぞれの湯につかっていた。
(脱衣所とお風呂場が完全に同じ空間で最初びっくりする
リンクはこちら↓↓)
https://www.sekizenkan.co.jp/day/
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さて、次の楽しみはランチ。歩いて数分のジュピターズ・キッチンへ入店。
窓から川が見えるブランコ型(!)シート(トップ画像参照)で「デビルズタンバーガー」なるすごそうなのをオーダー。
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四万バストラブルに見舞われる
今日はあと甌穴(おうけつ)を見に行って……、と思って、店出てすぐのバス停で旅ノートを書きながら待っていたらバスにスルーされた。
――バスは時刻通り、四万温泉バスターミナルから1つ目の「桐の木平」バス停にやってきたのである。
10分前から待っていた私は乗ろうとした。
バスは減速する様子すら見せずに去った。私を置いて。
「待ってー! 乗せてー!」
茶ぶどうは走った。200メートルくらい走った。
そぞろ歩く若いカップルの目に映る、バスを追っかける年齢不詳の小さい女……珍百景である。
奮闘空しく。バスは行ってしまった。
そんなことある?
息を切らしながら、スマホでグーグルマップを開いた。
甌穴まで2.6km
仕方ない。歩こう。ほかにやることないし。
おかしい、今回はあまり動かない「のんびり旅」のはずが……
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しばらく歩く。沿道の宿のお迎えの人くらいしか道には人が見えない。
やがて「上の湯」が見えた。道沿いの共同浴場。ちょうど誰もいなくなるタイミングだったのでサッと入浴。ふう。
誰かが料金を徴収するべく常駐しているわけではなく、かわりに「維持金」を入れる箱があった。100円入れた。バスに無視られてなければ200円は入れていただろう(仮定法過去完了)。
で、2.6km、30分ちょっと歩いた。
澄んだ青空の下、ついに到着。やったー、甌穴誰もおりてない!
……と思ったらなんのことはない。「冬期通行止」。
甌穴へ至る階段は封鎖されていた。マジか。
冬の四万甌穴。その孤独な美しさを目に(&スマホに)おさめて、ちょうどすぐ来た温泉街行きのバスに乗った。止まってくれてすごいうれしかった(当たり前)。
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鐘寿館で「幸運」と出会う
温泉街はバスだとすぐだった。バス速い。
宿の前にはヤマザキショップがあり、朝食を調達する(素泊まり)。
このコンビニ、ワンちゃんがいる。お客にお愛想していた。かわいい。
もういよいよやることはないので、やや早めだがチェックインしてしまう。
今回の宿は「鐘寿館」。
「待ってたのにバスに置いてかれちゃって」
「あらそうでしたか、あそこから乗る人少ないから……」(←なんてこったレアケースじゃなかった)
と愚痴りながらフロントで記帳していたら、
ひらり
三毛猫がカウンターに華麗に登場した。
宿の看板猫・ラッキーちゃん!
年をとって細くなってしまったと言うものの、身のこなしは軽く、私の手にスリスリしに来てくれた。人なつっこくてかわいい。たくさんなでさせてもらった。会えたらいいなと思っていたのよ。
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貸切露天風呂でテンションMAX
この宿には貸し切りのお風呂がいくつもあって、うち一つは玄関を出て数分歩くところだった。ご主人の案内で登り道。
到着した先は遮るものが一枚の板壁くらいというワイルド露天。囲まれてる感ゼロなので吹きっさらしで寒い寒い(笑)
でも解放感あるし静かでよい。
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部屋でちょっと本を読んで、17時ごろ今度は館内の露天風呂へ。
ここがヤバかった。いい意味で。
すんごい広い。60℃の温泉が2本のパイプからドドーッと落ちてくる。
これ貸切りなのヤバい。(行ってみて誰もいなかったら入れる。予約不要・回数制限なし)
元々は共同・混浴だったのが、コロナ禍で臨時の貸切りに。それが好評を博したため、まだしばらく続けたいとのこと。おお……!
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この日、宿泊客は他に女性が一人いるのを見ただけだった。本当に2組だったかもしれない。
夜も翌朝も、この最高な露天風呂を独占・満喫した。
にんにくとんかつの静かな夜
18時過ぎに夕飯のため外出しようとしたら
「行きだけでも送りますよ」と宿のご主人が!
素泊まりなのに申し訳なさすぎる。ありがたく車に乗った。
積善館すぐそばの「あすなろ」へ。
入店前に、宿のご主人おすすめの積善館ライトアップを鑑賞。
「こうこうとついているのでないのがいいんですよ」
なるほど確かに。輝きすぎていなくて却ってすばらしい味だった。
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「あすなろ」には馴染み客らしいおばちゃんが一人。店員さんと談笑していた。「ごちそうさまでした」「おやすみなさい、気をつけて」。古き良き定食屋の風情。
迷った末、「にんにくかつ定食」を選択した。
これがまた、肉の真ん中ににんにくスライスが何枚も挟まっているという衝撃の一品。口の中めっちゃにんにくになった。一人旅でよかった。おいしかった。
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自家製焼きプリンをお持ち帰り。おなかパンパンでさすがに入らないので、朝ごはんに追加することに。
店内にかわいい猫ちゃんの写真が飾られていたので尋ねてみたら、現役の飼い猫だそうで。「振り回されてますよ」とすっかり相好を崩されて、「猫は世界を平和にする」と改めて確信。
積善館の穏やかな明かりをもう一度眺め、歩いて宿へ戻ろうとしたら、バスがいた。四万温泉バス停に。
これで昼の分は3割くらい許す気になった。宿の前で下車。(乗客は私一人だけ)
夜空を見上げる。普段見られない星々がまたたく視界に、白いものがちらちら。
星の光の合間を、雪が走っていた。
宿のご主人が笑顔で迎えてくれる。「雪ですか、明日は寒くなるぞ……」
露天風呂に内湯の大浴場など一人で楽しむ。
この日、トータル7回も入浴した。
あとは静かに本を読み、明日を楽しみに22時過ぎに就寝。
(2日目に続く)
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