
大切に想っていれば いるほどに…
この一年の間に、何度、きみを思い返しただろう。
仕方がない…、と言っても、割りきれるものでもない。
大切に、大切にしてきたものだからこそ、失った時の壮絶な混乱は、心身の支障をきたす。
しぐさ、表情、声…
思い返す全てが、精神をえぐる刃物となって、呼吸が正常にできなくなり、涙が頬を、幾度も流れ落ちる。
考えてはいけない時に、出てきてしまった思い出を、頭をぶんぶんと振ることで、払い落とすようにしても、無意味だとわかってはいる。
しかし、何とかして、一旦それを制御しなくてはと必死になる。
だいすきで、いとおしくて、だいじな存在…
スマホの写真を整理すると、たくさんきみの写真が出てくる。
しかし、未だに直視ができないほど、つらく、苦い気持ちになり、すぐにスマホの画面を消す。
呼吸が荒くなり、取り乱す。
「……いつになったら、こんな状態から抜け出せるのか……」
時間が解決してくれる
よく聞く言葉だ。しかし、これは事によりけりだと、自分は思う。
時が経てば、解決することも本当にある。ただやはり、全てのことが、この言葉に当てはまるとは限らない。
亡くなったきみが、夢に出てきてくれた時があった。
その時のきみは、いつも通り元気で、自分に明るく話しかけてくる。だいすきなきみだった。
その夢は、救いだった。
あぁ……、かなしくないのかな…って。
助けられなかった自分を、うらんではいないのかなって……。
本当に…、本当に、ごめん。
助けてあげられなくて、ごめん。
何度考えただろう。
何か不思議な事が起きて、過去に戻れることができたら、自分は、真っ先に、きみのところに駆けつけるだろう、と。
しかし、何度考えても、そんな不思議な現象は起きてはくれない。
悔やんでも…、悔やんでも、時間はあの時に戻せない。
「……きみにいつも話していたように、どんな時も、前に進むしか……解決方法はないんだね、きっと」
たくさん、きみに、未来の話をしていた。
必ず実現したい夢や希望の話し。
きみは、微笑みながらいつも聞いてくれていた。
必ず、あなたなら、叶えられるよ
つらさは変わらない。
苦い気持ちも変わらない。
後悔や、流す涙も、変わらない。
でも、きみが、いつも、自分を真っ直ぐに信じていてくれた微笑みも、自分の中で、変わらない。
「……このまま、今の自分のまま、ゆっくり歩くよ
必ず、きみに話したことを、叶えるために……」
それが、今の自分の、生きる意味であり、原動力だ。
(終)