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「Mr.マクマホン 悪のオーナー」。プロレス軸のアメリカエンタメ史と呪いのリング。

WWE見てたのはいつ頃だっただろう。映画でロック様はよく見てるにしてもプロレス自体は基本俄かファンと呼んで差し支えない程の知識と自認する。本腰入れて見てたのは、フジやテレ東で流れた辺りだったか。その前後に実家がWOWOWに契約してたので地上波含め2~3年程の視聴歴だ。

そんな私でもWWEの歴史を全て知れる作品がNetflixで配信された。
Mr.マクマホン 悪のオーナー」。WWE最高権力者のビンス・マクマホンが自身のプロモーター人生を振り返るドキュメンタリー。

リングでの憎たらしい悪行と裏腹にアメリカ経済界を担う超大物の敏腕経営者でありながら、スキャンダルで失脚。この作品の権利を買い取ってお蔵入りにしようと画策するもNetflixが折れずに公開に踏み切ったという事で、相当に踏み込んだ内容が見れるという興味本位で全6話一気見。ビンスの所業が醜悪の一言。生半可に綴るのも憚れる内容なのでその他の話題に触れる。

興味深いのが、ハルク・ホーガンのブレイクのきっかけがあの「ロッキー3」だった事で、当時「レスラーに演技なんて」という周囲の反対があったそうだが、ホーガン自身が「出る事で世間に認知される」と判断して出演快諾。結果、狙い通りにアメリカ全土の人気者となり、クラバー・ラング役だったブッカーTとタッグ結成したという話はロッキーファンには響く内容だったし、彼を先頭に子供に大人気だった当時を象徴するようにマコーレ・カルキンが観客席にいたりと、プロレスを軸としたアメリカエンタメ史としても見れる作品。

出演者も豪華でフジテレビ世代なら知ってる人達も殆ど登場。今や映画界で大活躍のザ・ロックことドゥエイン・ジョンソンの有色人種の誇りを持ってスター街道を歩んだ話はスタードリーム感があるし、レッスルマニアの連勝記録が止まると知ったジ・アンダーテイカーの年末のTBS恒例の戦力外通告を受けた選手のような悲しい顔も印象的。これ含めビンスが提示したストーリーに翻弄されるパフォーマー(字幕ではレスラーではなく一貫してパフォーマーと表示)の人生模様。

つくづく業の深い場所だと思う。
モントリオール事件を振り返るブレット・ハートが当時を振り返り言葉を詰まらす一方、ショーン・マイケルズが一見体調不良を疑う程に瘦せてるように見えた。目元がおかしくなったビンスが上機嫌でインタビューに応えるのに対し、夫との出会いを語るリンダ夫人の目が死んでいた。父親に認められたいシェインの苦悩に、残ったステファニーとトリプルHは日本でいえば、ジュリーと東山みたいなポジションで、確実に株主に追及されるだろう。モントリオール事件でハート夫人が放った「報いを受ける」時が今になって来ているような気がした。

因みにWCW全盛期とアティチュード時代の映像はハチャメチャの極みで不謹慎ながら笑ってしまった。日本でいう「お笑いウルトラクイズ」並みの無茶をやっていた。

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