雑誌『MEZZANINE』×紀伊國屋書店新宿本店|「本屋で都市を編む」対談レポ #05
2020年9月17日より紀伊國屋書店新宿本店4階でスタート、11月3日に大盛況のうちに終了した「本屋で都市を編む」ブックフェア。
「さまざま分野で活躍する総勢35名にも及ぶアーバンシンカーたちが選りすぐった70冊を展開する」という大規模な選書フェアは、どのようにして生まれたのか?
また、このフェアで伝えたかったこと、さらにはこれからの書店と都市の在り方について、フェアの企画者である『MEZZANINE(メザニン)』編集長の吹田良平さんと、紀伊國屋書店新宿本店 建築書ご担当の中西さんの対談を全4回にわたり連載してきました。
今回は、都市計画や都市開発、都市社会学の分野で屈指の専門家である35名の選書と推薦コメントをご紹介します。
ぜひ年末年始のお家時間に、じっくりと都市に浸る一冊を探してみてください。
フェアにご参加いただいた方々と推薦コメント(アイウエオ順・敬称略)
選書はお一人につき以下の2冊を選んでいただきました。
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①⾃著 1冊
②「これからの都市や社会を考えるきっかけになる本」というテーマ 1冊
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1. 跡部 徹(株式会社空気読み代表、ana-logue編集⻑、⼿書き地図推進委員会)
①『地元を再発⾒する!⼿書き地図のつくり⽅⼿書き地図推進委員会』
川村 ⾏治、⾚津 直紀、跡部 徹、⼤内 征【著】/学芸出版社
⼿書き地図を作る⽬的で街を歩くと、都市の⽂脈が⾒えてくる。コロナ禍で「近所の再発⾒」をした⽅にも。台湾版も出版準備中。
②『⽉イチ台北どローカル⽇記』
森井 ユカ【著】/集英社
⾃宅は東京のままで、事務所を台北に引越した著者の体験記。通勤の固定概念を変えたら都市選択はもっと⾃由になる!?
2. 飯⽥ 泰之(明治⼤学政治経済学部准教授)
①『これからの地域再⽣( 犀の教室)』
飯⽥ 泰之【著】/晶⽂社
再開発や⼯場誘致に代表されるハード強化から⼟地の雰囲気や街の楽しさといったソフトの充実が重視される現在。商店街からナイトタイムエコノミーまで……。これからの地域再⽣策を考えてみよう!
②『ジェイン・ジェイコブズの世界 1916-2006(別冊『環』22)』
塩沢 由典、玉川 英則、中村 仁、細谷 祐二、宮崎 洋司、山本 俊哉【編】/藤原書店
都市の魅⼒を⾼めるソフト⾯の強化……というのは簡単だが、具体的な⽅法となると難しい。ジェイコブス の思考を多⽅⾯から紹介する本書にはそのひとつのヒントがある。
3. 井庭 崇(慶應義塾⼤学総合政策学部)
①『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための⾔語』
井庭 崇【編著】、中埜 博、江渡 浩一郎、中西 泰人、竹中 平蔵、
羽生田 栄一【著】/慶應義塾⼤学出版会
建築から⼈間活動のデザインへと応⽤されたパターン・ランゲージ。都市と社会を再構築していくための発想の糧としてどうぞ。
②『時を超えた建設の道』
クリストファー・アレグザンダー【著】、平田 翰那 【翻訳】/⿅島出版会
⼈間的な都市や場のあり⽅について根本的に探究した本です。2020年の今こそ改めて読み、深く考えてみたい⼀冊です。
4. 江⼝ 晋太朗(TOKYObeta代表、編集者、プロデューサー)
①『実践から学ぶ地⽅創⽣と地域⾦融』
⼭⼝ 省蔵、江⼝ 晋太朗【著】/学芸出版社
従来の⾦融機関のあり⽅を払拭する、企業と⾏政と⾦融による連携モデルこそ、地域の持続可能な経済循環をつくり出す基盤となる。
②『寛容について』
マイケル・ウォルツァー【著】、大川 正彦【訳】/みすず書房
「寛容」とは「たがいに異なる歴史・⽂化・アイデンティティをもつ⼈びとの集団の平和共存」であることに今こそ向き合う時代だ。
(現在初版が品切れのため新装版をリンクしています)
5. ⽚⼭ さつき(⾃由⺠主党総務会⻑代理、参議院議員、前国務⼤⾂(規制改⾰・地⽅創⽣・⼥性活躍)
①『スーパーシティ 社会課題を克服する未来のまちづくり』
⽚⼭ さつき【著】/事業構想⼤学院⼤学出版部
⾼齢化、⼈⼝減少、新型コロナ…… 都市の課題を「まるごと」解決する持続可能なまちづくりの切り札が「スーパーシティ」です。
②『富⼭型コンパクトシティの構想と実践』
重藤 さわ⼦【著】/事業構想⼤学院⼤学出版部
6. 菊地 マリエ(公共R不動産コーディネーター)
①『公共R不動産のプロジェクトスタディ 公民連携のしくみとデザイン』
公共R不動産【編】、馬場 正尊 、飯石 藍 、菊地 マリエ、松田 東子、加藤 優一、塩津 友理、清水 襟子【著】/学芸出版社
⽇本に溢れる遊休公共空間をいかにおもしろく使い直せるか。そのポテンシャルに気づき、実⾏の⼀歩を踏み出すための事例集です。
②『未来をつくる図書館 ―ニューヨークからの報告― (岩波新書) 』
菅谷 明子【著】/岩波書店
NY図書館の意思ある運営と市⺠⽣活の質の密な関係性から、本来、都市経営の中で公共施設が果たし得る役割の⼤きさを学べる本。
7. こばやし あやな(サウナ⽂化研究家)
①『公衆サウナの国フィンランド- 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』
こばやしあやな/学芸出版社
公衆浴場でも社会でも、誰もが「他者への信頼と寛容さ」さえ持てたら、今よりもっと平穏で創造性豊かに共⽣できると気づける本。
②『「待つ」ということ(角川選書)』
鷲⽥ 清⼀【著】/⾓川学芸出版
答えを待つ苦しさに囚われず、待たずに待つこと。今年ふいに読み返して、先が⾒通せない社会でも萎えずに⽣きてゆける気がした。
8. ⼩林 重敬(⼀般財団法⼈森記念財団理事⻑、横浜国⽴⼤学名誉教授、全国エリアマネジメントネットワーク会⻑、⼯学博⼠)
①『まちの価値を⾼めるエリアマネジメント』
⼩林 重敬、森記念財団【編著】/学芸出版社
まちを「つくる」ことから、まちを「育てる」というエリアマネジメントが新しい潮流である。それを体系的な紹介するはじめての書である。
②『資本主義の新しい形 (シリーズ現代経済の展望) 』
諸富 徹【著】/岩波書店
⽇本企業の競争⼒の低下、経済格差の拡⼤、温暖化対策の停滞を体系的に⽰し、その対処として資本主義の「⾮物質化」の⽅向性を⽰す。
9. 近藤 哲朗(株式会社そろそろ代表取締役、図解総研代表理事)
①『ビジネスモデル2.0図鑑』
近藤 哲朗【著】/KADOKAWA
社会を考える上で最も重要な点は、逆説的な発想である。刻々と情勢が変わる時代に、本書でその発想の種を⾒つけて欲しい。
②『時間は存在しない』
カルロ・ロヴェッリ/NHK出版
時間という切り⼝で、いま当たり前に思っていることがどれだけ当たり前ではないか感じさせる良書。⾃分の頭にある常識を壊そう。
10. 佐々⽊ 誠(三井不動産株式会社 S&E総合研究所 主任研究員)
①『パブリックコミュニティ―居心地の良い世界の公共空間“8つのレシピ”
』
三井不動産S&E 総合研究所【著】/宣伝会議
アフターコロナにおいて広場公園他のパブリックスペースがまちの核になるには、8つのレシピによるコミュニティの醸成が効果的。
②『シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする(宣伝会議Business Books)』
伊藤 香織、紫牟田 伸子【監修】、シビックプライド研究会【編】、読売広告社都市生活研究局【企画制作】/宣伝会議
欧州の都市開発では、市⺠がその都市に暮らすことを誇りに思える“プライド”を醸成・擽る⼿法が取られており⽇本の参考になる。
11. 指出 ⼀正(ソトコト編集⻑)
①『ぼくらは地方で幸せを見つける―ソトコト流ローカル再生論(ポプラ新書)』
指出 一正【著】/ポプラ社
地域に関わることで感じられる、これからの「豊かさ」について考えた⼀冊。「関係⼈⼝」と「関係案内所」の⼤切さを書きました。
②『金沢城のヒキガエル - 競争なき社会に生きる(平凡社ライブラリー)』
奥野 良之助【著】/平凡社
⾦沢という都市の、ユーモラスで愛すべきヒキガエルの⽣き⽅から、社会のありようを学びました。
12. ⽩井 瞭(株式会社リ・パブリック ディレクター、雑誌「MOMENT」編集⻑)
①『MOMENT 1・2』
リ・パブリック【編】/リ・パブリック
『MOMENT』は、あらゆる地域や分野を横断しながら、新しい都市のあり⽅を探索する⼈たちのためのトランスローカルマガジンです。
②『ベルリンうわの空』
⾹⼭哲【著】/イースト・プレス
たとえば舗道のつまずき⽯や柱に貼られたシール。都市の断⽚から社会のありようを描き出し、⼩さな変化の種をまく、その⼿つきに学びたい。
13. 吹⽥ 良平(『MEZZANINE』編集⻑)
①『MEZZANINE VOLUME 1〜4』
吹田 良平【編著】/トゥーヴァージンズ
最新号4号では、スマートな都市を謳歌する際のコモンセンスやコモンウェルスについて探求しました。
結論、「そろそろイノセントにつながるだけの⾏為は辞めにしませんか」
②『年収は「住むところ」で決まる』
エンリコ・モレッティ【著】、池村 千秋【翻訳】/プレジデント社
毎回思うけど、これ絶対タイトルが良くない。購⼊を躊躇している皆さん、⾃⼰啓発本ではありませんよ。
14. 諏訪 光洋(株式会社ロフトワーク代表取締役社)
①『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン―関わり、つくり、巻き込もう (Next Creator Book)』
紫牟田 伸子、フィルムアート社編集部【編】/フィルムアート社
②『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版』
ダグラス・R. ホフスタッター 【著】野崎 昭弘、柳瀬 尚紀、はやし はじめ【翻訳】/⽩揚社
エッシャーが提⽰する⽭盾空間とバッハのカノンが螺旋階段の様に上昇する様、数学の美しさが絡む。パラメトリック建築の美しさを数学的古典から夢想できる1冊!
15. ⾼須 正和(スイッチサイエンス、Global Business Development、ニコ技深圳コミュニティCo-Founder)
①『プロトタイプシティ 深センと世界的イノベーション』
高須 正和、高口 康太 【編著】、澤田 翔【著】、藤岡 淳一【著】伊藤 亜聖 【著】山形 浩生 【著】/KADOKAWA
Well-Organizedなスマートシティでなく、Un-Organizedなプロトタイプシティが未来への鍵です。
②『ハードウェアハッカー―新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』
アンドリュー“バニー”ファン【著】、高須 正和【翻訳】、山形 浩生【監訳】/技術評論社
MITで「深圳の男」と呼ばれるバニーが、都市とイノベーションについて、具体的にブロックを積み上げるように体験を語る。
16. 武⾢ 光裕(メディア美学者)
①『ベルリン・都市・未来』
武⾢ 光裕【著】/太⽥出版
壁崩壊から30年。クラブカルチャーからスタートアップに⾄るベルリンの内実を看破したベルリン都市論。
②『機械化の文化史―ものいわぬものの歴史』
ジークフリード・ギーディオン【著】、榮久庵 祥⼆【翻訳】/⿅島出版会
本書の原題は「機械化が指揮を執る」。都市と機械、⼈間の運動機能や⽣産活動の拡張である「機械化」の歴史を探求した古典的名著である。
(現在初版が品切れのため新装版をリンクしています)
17. 辻⽥ 昌弘(東京⼤学⼤学院経済学研究科特任教授)
①『地域産業のイノベーションシステム -集積と連携が⽣む都市の経済
』
⼭﨑朗【編著】、辻⽥昌弘 他【共著】/学芸出版社
都市が「選ばれる」ための条件は⼈⼝の多さとか⾼層ビルの本数とかじゃない。そこにクリエイティビティがあるかどうかだ!
②『マイパブリックとグランドレベル―今日からはじめるまちづくり』
⽥中 元⼦【著】/晶⽂社
「⼀階づくりはまちづくり」……まちを居⼼地の良い場所にするために必要なことはすべてこの本に書いてある!
18. 東浦 亮典(東急株式会社執⾏役員、渋⾕開発事業部⻑)
①『私鉄3.0―沿線人気No.1東急電鉄の戦略的ブランディング(ワニブックスPLUS新書)』
東浦 亮典【著】/ワニブックス
100年近く東京⻄南部の宅地開発、都市開発を⼿掛けてきた東急の現役の執⾏役員が⾚裸々に沿線でのまちづくりの歴史、戦略などを語った貴重な⼀冊。アフターコロナの社会になっても活⼒を失わないまちづくりの秘訣とは。
②『ザ・サークル 上・下巻(ハヤカワ文庫NV)』
デイヴ・エガ-ズ【著】、吉⽥ 恭⼦【翻訳】/早川書房
空虚な「スマートシティ論」がこの10年跋扈している中でテクノロジーだけは⽇々進歩しています。そうした先端技術を駆使した未来のまちづくりが私たちの⽣活を豊かにしてくれるのか、幸せにしてくれるのかを問うSFディストピア⼩説です。
トム・ハンクスとエマ・ワトソン主演で映画化もされた注⽬作ですが、⼩説の⽅が数段内容が濃いです。悲観論に陥ることなく、各⾃が⾃分の未来をどうしたいのかを考えるのに適した⼀冊です。
19. ナガオカ ケンメイ(D&DEPARTMENT PROJECT 代表取締役会⻑)
①『もうひとつのデザイン - ナガオカケンメイの仕事』
ナガオカケンンメイ/D&DEPARTMENTPROJECT
僕が死んだら棺桶に⼊れたい本。タイトルは陶芸家でギャラリー主宰者の安藤雅信さんによるもの。
②『ふつう(d BOOKS)』
深澤 直⼈/D&DEPARTMENT PROJECT
ふつうじゃない都市や建築、まちづくり、暮らしの中で「ふつう」とは何かを考えるきっかけになる本。
20. 中川 敬⽂(株式会社イツノマ 代表取締役)
①『おもてなしデザイン・パターン―インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』
井庭 崇、中川 敬文【著】、慶應義塾大学SFC井庭崇研究室、UDS【協力】/翔泳社
これからのインバウンド時代に効く「創造的おもてなし」を「パターン・ランゲージ」の⼿法で解説。
②『サードプレイス―コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』
レイ・オルデンバーグ【著】、忠平 美幸【翻訳】、マイク・モラスキー【解説】/みすず書房
カフェ、図書館等、情報・意⾒交換の場、地域活動の拠点として機能するサードプレイスの概念を社会学の知⾒から多⾓的に論じた書。
21. 中川 政七(株式会社中川政七商店 代表取締役会⻑)
①『⽇本の⼯芸を元気にする!』
中川 政七【著】/東洋経済新報社
すべてはビジョンからはじまる。このビジョンが⽣まれなければ、今の中川政七商店はなかった。
②『国盗り物語 第1〜4巻(新潮文庫)』
司⾺ 遼太郎/新潮社
特に斎藤道三編(第1〜2巻)が良い。⼰の才覚ひとつで成り上がっていく様がしびれる。
22. 中島 隆博(東京⼤学東洋⽂化研究所教授)
①『ことばを紡ぐための哲学―東大駒場・現代思想講義』
中島 隆博、石井 剛【編著】/⽩⽔社
②『⼈⼝減少社会のデザイン』
広井 良典【著】/東洋経済新報社
23. ナカムラ ケンタ(「⽇本仕事百貨」運営、株式会社シゴトヒト代表)
①『⽣きるように働く』
ナカムラ ケンタ/ミシマ社
働いているときも、休んでいるときも、⾃分の時間を過ごしたい。
②『食卓の経営塾―DEAN&DELUCA 心に響くビジネスの育て方』
横川 正紀【著】/ハーパーコリンズ・ジャパン
1つのお店で街は変わる。⼈⽣も変わる。
24. 南後 由和(明治⼤学情報コミュニケーション学部准教授)
①『ひとり空間の都市論(ちくま新書)』
南後 由和【著】/筑摩書房
コロナ禍でますます増殖することになった、〈ひとり空間〉について考えるためのヒントが詰まっています。
②『かくれた次元』
エドワード・ホール【著】、⽇⾼ 敏隆、佐藤 信⾏【翻訳】/みすず書房
国・⽂化によって異なる、⼈間同⼠の距離の取り⽅や空間の知覚の仕⽅を解明する古典的名著。社会距離についても論じています。
25. 林 厚⾒(株式会社スピーク共同代表、東京R不動産 ディレクター)
①『東京R不動産2』
東京R不動産【著】/アスペクト
不動産業界のことにも無知だった僕ら。楽しき挑戦の⽇々の記録。あの頃から15年経つけれどいつまでもやんちゃに街を掘り起こしたい。
②『ボローニャ紀⾏』
井上 ひさし【著】/⽂藝春秋
創造都市論でもよく出てくるボローニャ。本書での協同組合論、街場のガバナンスの話は、これからの⽇本にとって重要なヒントがある。
(現在単行本が品切れのため文庫版をリンクしています)
26. 広井 良典(京都⼤学こころの未来研究センター教授)
①『⼈⼝減少社会のデザイン』
広井 良典【著】/東洋経済新報社
「拡⼤・成⻑」の時代の後に来る、成熟社会あるいはSDGs(持続可能な発展⽬標)時代の都市や社会のありようを考えた本。
②『都市計画の世界史(講談社現代新書)』
⽇端 康雄【著】/講談社
おもしろい都市論の本は多く⼤変迷ったが、いま、⼈類の歴史の中で「都市」の意味を考える時期ではないかと思いこの1冊。
27. 保坂 展⼈(世⽥⾕区⻑、ジャーナリスト)
①『〈暮らしやすさ〉の都市戦略―ポートランドと世田谷をつなぐ』
保坂展⼈【著】/岩波書店
②『オープンダイアローグとは何か』
斎藤環【著】/医学書院
28. 三浦 詩乃(東京⼤学⼤学院新領域創成科学研究科特任助教)
①『ストリートファイト―人間の街路を取り戻したニューヨーク市交通局長の闘い』
ジャネット・サディク=カーン、セス・ソロモノウ【著】、中島 直人【監訳】、石田 祐也、関谷 進吾、三浦 詩乃【翻訳】/学芸出版社
誰もが毎⽇つかう公共空間、「ストリート」は地域社会を映す鏡― 私たち1⼈1⼈の⾜もとから暮らしを変⾰できると、確信させられる⼀冊。
都市を⾒つめるまなざしも、読後に変わること間違いなし。様々な分野の⽅に⼿にとってほしい。
②『社会的共通資本(岩波新書)』
宇沢 弘文【著】/岩波書店
世界各地の都市再⽣を紐解くと、本書をはじめとして宇沢先⽣が⽣涯をかけて提⽰してきた、社会的費⽤への責任や社会的共通資本の概念が、根底に流れている。このコロナ禍のもと、何をまもり、何を変えていくべきか?
今こそ読みかえしたい名著。
29. ⽮野 和男(株式会社⽇⽴製作所フェロー)
①『データの見えざる手―ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』
矢野 和男【著】/草思社
⼤量のフィジカルなデータを使って、⼈間、組織、社会の⾏動を明らかにした最初の本。2014年のビジネス書トップ10(BookVInegar)に選ばれる。
(現在単行本が品切れのため、文庫版をリンクしています)
②『ソーシャル物理学―「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』アレックス・ペントランド【著】、小林 啓倫【翻訳】、矢野 和男【解説】/草思社
⼤量のデータを使い、社会がつながり合ってマクロな知能を⽣み出すデータ駆動都市やデータ駆動社会をこの分野の第⼀⼈者が論じる。
(現在単行本が在庫僅少のため、文庫版をリンクしています)
30. ⼭崎 満広(LOCAL DIVER Co-Founder)
①『ポートランド 世界で⼀番住みたい街をつくる』
山崎 満広【著】/学芸出版社
全⽶⼀住みたい街ポートランド。コンパクトでクリエイティブ、才能が集まる街のつくり⽅の全貌を開発局に勤める⽇本⼈が解説。
②『クリエイティブ・ラーニング―創造社会の学びと教育』
井庭 崇【編著】、鈴木 寛、岩瀬 直樹、今井 むつみ、市川 力【著】/慶應義塾⼤学出版会
創ることで学ぶ、クリエイティブ・ラーニング。特にパターンランゲージという共通⾔語を何かを創るときに活かす⽅法は⾯⽩い。
31. ⼭下 正太郎(コクヨ株式会社WORKSIGHT編集⻑、ワークスタイル研究所所⻑)
①『WORKSIGH - 働くしくみと空間をつくるマガジン-』
コクヨワークスタイル研究所【編】/アーク出版
世界中のユニークな働き⽅を実践する企業をとりあげたマガジン。⽇本⼈の凝り固まった働き⽅の概念を拡張しよう。
②『ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論』
デヴィッド・グレーバー【著】、酒井 隆史、芳賀 達彦、森田 和樹【翻訳】/岩波書店
都市の⼤半を占めるオフィスでの仕事がなぜつまらないのか?この本は、意味のない仕事から現代⼈を救う解放の書である。
32. ⼭⽥ 雄介(WORK MILL編集⻑、株式会社オカムラ)
①『WORK MILL with ForbesJAPAN ISSUE05 ALTERNATIVE WAY アジアの新・仕事道』
WORK MILL【編】/プレジデント社
20世紀の資本主義経営が限界を迎えつつある中、本誌では、東アジアを取材し、オルタナティブな働き⽅や経営哲学を新たな“仕事道”として紹介しています。
(現在ウェブストアではご注文を受け付けておりません。書店店頭にて在庫をご確認ください)
②『S,M,L,XL + ー現代都市をめぐるエッセイ(ちくま学芸⽂庫)』
レム・コールハース【著】、太田 佳代子、渡辺 佐智江【翻訳】/筑摩書房
建築家である前に脚本家でありジャーナリストだった著者コールハースの名著。「建築についての⼩説だ」と宣⾔した通り、フィクションとノンフィクション(現実と夢想)が⾏き交う衝撃の⼀冊。
33. ⼭村 崇(早稲⽥⼤学⾼等研究所講師)
①『無形学へ ―かたちになる前の思考 まちづくりを俯瞰する5つの視座』後藤春彦 【編著】/⽔曜社
「つくらない」時代の新たな都市の設計ビジョンにむけて、「形なきもの」のしくみを再デザインするための視座を提⽰する⼀冊。
②『〈まちなか〉から始まる地⽅創⽣―クリエイティブ・タウンの理論と実践』
福川裕⼀ 、城所哲夫【著】/ 岩波書店
魅⼒的なまちなかを創り出し、地⽅都市を再⽣させる「クリエイティブ・タウン」の理論と実例をバランス良く紹介。地⽅創⽣に関わる⼈は必読。
34. ⼭本 純⼦(株式会社アーツ・マーケティング代表)
①『ぼくらがクラウドファンディングを使う理由 - 12プロジェクトの舞台裏』
⼭本 純⼦、佐々⽊ 周作【編著】、佐藤 ⼤吾【監修】/学芸出版社
今や誰もが知ってる「クラファン」だが、初期の挑戦者たちの⾔葉にはノウハウ以上のものが隠されている。挑戦が必要な時代に再読したい。
②『千の顔を持つ英雄 上・下巻(ハヤカワノンフィクション⽂庫)』
ジョゼフ・キャンベル【著】、平田 武靖、浅輪 幸夫【監訳】、伊藤 治雄、春日 恒男、高橋 進、竹内 洋一郎【翻訳】/早川書房
昨⽇までの当然が今⽇は通⽤しないことを痛感する今年。だからこそ、太古から変わらず⼈の⼼を動かす「物語」の⼒を改めて考えたいと思う。
35. 吉⾒ 俊哉(東京⼤学教授)
①『東京裏返し―社会学的街歩きガイド(集英社新書)』
吉見 俊哉【著】/集英社
②『都市計画の思想と場所―日本近現代都市計画史ノート』
中島 直⼈【著】/東京⼤学出版会
こちらの選書リストはフェア開催時に、建築書担当の中西さんが制作されたフリーペーパーに収録されています。
PDFのダウンロードはこちらから!
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お力添えいただいた皆さま、この度は本当にありがとうございました。
「本屋で都市を編む 第2弾」ができますように!
【プロフィール】
吹田 良平
1963 年生まれ。
(株)アーキネティクス代表取締役。『MEZZANINE』編集長。
大学卒業後、浜野総合研究所を経て、2003年、都市を対象にプレイスメイキングとプリントメイキングを行うアーキネティクスを設立。都市開発、商業開発等の構想策定を中心に関連する内容の出版物編集・制作を行う。主な実績に渋谷QFRONT、「北仲BRICK & WHITE experience」編集制作、『日本ショッピングセンター ハンドブック』共著、『グリーンネイバーフッド』自著等がある。
●WEBサイト:https://www.archinetics-inc.com/
●Twitter:@Mag_MEZZANINE
●Instagram:mezzanine.mag
●note:MEZZANINE(メザニン)
【INFORMATION】
紀伊國屋書店 新宿本店
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-17-7
●WEBサイト:https://store.kinokuniya.co.jp/store/shinjuku-main-store/
●Twitter:@KinoShinjuku
●「本屋で都市を編む」特別ページ
ー・ー・ー・ー
吹田良平さんが編集長を務める雑誌『MEZZANINE』はこちら。
また、電子書店での『MEZZANINE』配信がスタートしました!
紀伊國屋書店さんの電子書籍サービス「Kinoppy」をはじめ、kindle、honto、楽天kobo、など各電子書店をご確認ください。
グローバルな雑誌なので、海外在住の方にもご高覧いただければなによりでございます!
ただ……
紙の質感にこだわった『MEZZANINE』、
できれば、できれば、紙で読んでほしい……!
もしご興味のある方は紀伊國屋書店さんはもちろん、お近くの書店でお求めいただければうれしいです。