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【IR系AC】PRパーソンから見た「IRの世界」~IRとPRは違うもの?~

こんにちは!株式会社TWOSTONE&Sonsの森川と申します!

昨年X(旧Twitter)上で盛り上がっていたIR系AC(IR系アドベントカレンダー)。

今年は、Lawyer’s INFO株式会社の取締役COOであり、IR系ACの主催でもあるシゲマツさんからお声がけいただき大変光栄な気持ちでした。一方で、深い知見をお持ちの方々に混ざるのは勇気が必要でしたが、思い切って初参加させていただきます!

昨日12/13のIR系ACご担当は、「IRTV」を運営する「株式会社IR Robotics」の國分さんでした。

今よく見かけるようになったnoteやSNSにおけるIRの取り組みは、ここ数年で大きく変化したことや、IR動画のプレゼン形式と対談形式による視聴率の違いなどをわかりやすく説明されている記事でした!
よく“対談動画の方が反応がいい”とは聞いていたのですが、具体的な数値差が出ていたことでこんなにも違うのかと衝撃でした。

そんな國分さんからのバトンを受け、本日はTWOSTONE&Sons森川がお届けいたします。最初に、簡単に自己紹介をさせていただきます!

現在、株式会社TWOSTONE&Sons(以下 当社)でPR/IR Teamリーダーを担当しております。グループの広報業務全般と、IR業務においては発信業務を中心に行っております。
(ちなみに当社のIR業務はPR/IR Teamだけでなく、財務経理部・経営企画室と多くのメンバーが関わって成り立っているので、IRnoteマガジンにおけるIRチームはその全体を指しています)

これまでの経歴として、新卒で化粧品会社の販売員からキャリアをスタートし、キャリアチェンジとしてPR会社にて営業、そして事業会社の広報を2社経た後に当社との出会いに至ります。当社には昨年の2022年9月に入社し、先月取締役CFOに就任した加藤の元、PR/IR Teamでリーダーとして活動しております。
PR会社時代から振り返ると、PR職はおよそ5年以上のキャリアになります。

これまで(化粧品か)広報・PRにのみに触れてきた立場から見た「IRの世界」というのも少し新鮮に映るかなと思い、これをテーマにIR系AC・12/14をお届けしてみたいと思います。

この記事が、

・PR領域の兼務を始められるIRご担当者
・IR未経験のPR担当の方
・そこに所属するチームメンバーや上司の方

に、何かほんの少しでもヒントになることがあれば嬉しいです。




・IRの業務に触れてみての率直な感想


経歴で述べた通り私はPR領域を5年ほど経験してきていますが、これまでにどの会社でも「IR」という領域に触れることのないまま、グロース市場上場企業である当社へ転職しました。
そんなIR1年目の私がこの世界に触れた率直な感想を言いますと、

業界に対しては
「とにかく分析する領域!」
「IR活動に対して株価/出来高の連動性や波及効果が読めない!」
「Xアカウントが想像以上に多く、横の繋がりが活発!」

自社に対しては
「決算期のヒリヒリ感すごい!」(これは自社・業界共に)
「代表のIR熱量高い!」
です。
本当に正直な等身大の心の声で述べました。(笑)

・業界に対しての感想

まず業界に対してですが、とにかくIR業務は毎日分析分析の日々ですよね。
日経・株式市場・自社の株価チャートを眺め、他社のチャートを眺め、ニュースや発表内容をチェックして、出来高や株価の動きの要因を探る……

ですが一方で、こんなに分析するのに対して不確定要素が多く、分析結果が仮説の範疇に留まる領域もなかなかないのではないでしょうか。
突然の値動きに対して要因が見えないこともあり、IR1年目の身としては、もはやチャートが「生き物」にしか見えませんでした。
色々試行錯誤をしていますが正解はわかりません。でもこの正解のなさがIRの面白さにも繋がるのかなと感じています。

また、今は攻めのIRを行う企業が増えているのか、想像以上にX(旧Twitter)のオフィシャルIRアカウント・IR担当アカウントが多いと感じました。そしてIR担当者同士の横の繋がりも活発で「IR向上委員会」をはじめとしたコミュニティ活動など、広報・PRと通ずるものがあり、勝手に少し怖いイメージを抱いていたIR界隈(?)に親近感を覚えました。

・自社に対しての感想

何より、決算期のヒリヒリ感(プレッシャー・期日感・説明責任)が想像以上!という点に尽きます。これは自社に対してもそうですが、きっと他社の皆さまもそうなのだろうと業界全体に対して感じたことでもあります。

自社のIRに対しての感想としては、代表の熱量がとにかく高いです。機関投資家の面談は代表取締役CEOの河端を中心として、代表取締役COOの高原と、両代表が担当させていただいております。代表自ら機関投資家面談を行うのが一般的なIRの特性かと思いきや、後々企業によって大きく異なるところだということがわかり、「企業のIR=経営の色」とも言えるような気がしています。
どの色が良い悪いという意図は一切なく、企業のフェーズやカラー、伝えたいメッセージの内容を意識して、投資家や株主の方々に伝わる体制であることが最も重要だと今は考えています。
当社の場合は、今のフェーズにおいては両代表自らがIRを積極的に行うことで、投資家の方々に経営数値はもちろん、今後の企業成長に向けた代表の熱いメッセージをお伝えできることはとても重要であると考えています。


・5年関わってきた中で思う広報・PRとは


と、ここまで初めてのIRに感じた内容をお話してきました。
PRパーソンとしてもまだまだ若輩者ですが、それでもIRより少しだけ経験を積んできているからこそ、私の中で「広報・PRのあり方」というものが確立されつつあります。

会社単位でも個人単位でも「PRとは」という問いかけが常にあり続ける中、2023年6月に日本広報学会が発表した広報・PRの定義は、以下の通りです。

組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。

https://www.jsccs.jp/concept/

初めて「経営機能」と言語化されたことで、PRパーソンを中心にX上で様々な見解と感想が飛び交いました。私自身も感動と驚きを感じつつ、自分なりの「広報・PRの定義」をより考えさせられる機会となりました。

そして、私個人の言葉で語る「広報・PR」は、
“ 自社の「価値」を用いてステークホルダーと対話することで、“双方のギャップを埋めていく”ブランディング戦術である ”
です。

自社の持つ価値とは、いわゆるヒト・カネ・モノなどの経営資源を指しています。
価値そのもの(ヒト・カネ・モノ)はどの会社にも存在していますが、広報の気質はその経営資源に「どんな価値(タグライン)」が存在しているかを追及する姿勢にあると考えます。このタグラインは、企業ごとに必ず違うものが存在するはずです。
そしてその定義した「価値」をステークホルダーに伝わる「言語」で対話していくこと。

ここでいう「言語」とは【ステークホルダーが自分事化できる領域や要素】と意味づけています。社内・採用・コーポレート・サービス、伝えたい相手や領域によって、話す言語(自分事化できる領域や要素)は全く異なります。
それぞれのステークホルダーに伝わる言語の元「価値」の対話を重ねることで、自社とステークホルダーの間に存在するギャップが少しずつ埋まっていきます。この過程が広報・PRの活動であり、そのギャップが埋まった分の結果がブランディングであると考えています。


・PR出身者が感じたIRとは。IRとPRは違う?


IR業務の一端に触れてみて、広報・PRの生み出すアウトプットや手法とは異なるため、最初は不安でしたし戸惑いました。そして勉強して覚えなければいけないことばかりで、とても難しい職種だとも感じます。
ですが、私がこの1年で得た気づきは「本質はIRもPRも同じである」ということです。

自社の価値を用いて、投資家・株主の方々に伝わる言語で対話する。

12/11のIR系ACご担当のリンクスリサーチ小野さんの記事で

企業価値とは今企業が発表した売上高、利益だけでは決まらない。
すべての企業に歴史があり、物語、ストーリーがある。
過去の実績、将来への展望、そして作り上げたい未来がある。
それを伝えるのがIRの重要な役割。数字の説明、ビジネスモデルの説明など企業価値を説明する極一部の要素でしかない。

https://note.com/oh_no/n/nb67f1569414b

と触れられていて、とても共感しました。

また、下記ウェビナーの中で登壇者であるスパイダープラスの石田さんが、プレスリリースを投資家向けに書き換えてPR情報として開示した事例をお話をされていました。

同じく登壇者である馬渕さんも自社の価値や発表内容をIR視点でさらにブラッシュアップする、というアイディアを仰っていました。

これらは、まさに「自社の価値」を「投資家に伝わる言語」に置き換えることで伝えていくひとつの方法なのだと捉えています。
当社では、この考えをヒントにまず小さなところからではありますが、「IRnoteマガジン」に投稿しているサマリーレポートから伝え方の工夫にチャレンジしています。

本当に小さな一歩ですが、ここでコツを掴んでいきたいと考えています。


こういったことから、例えば“IRを長年経験してきた方が突然PRも兼務することになった”といった事態が起こった際も、そこまで構える必要もないのではないかと思いました。
逆も然りで、広報・PRご担当の方が初めてIRにチャレンジする際もそこまで不安になることはないのかも知れません。

もちろん、PRとIR双方でセオリーやルール・手法は全く異なるのでやはり勉強や実務を通した研鑽が求められます。(今回IR系ACでアウトプットできることや引き出しの少なさに絶望した2年目の身としては、とにかく勉強しかないです。)
ですが本質は同じなのだからこそ、インプットした後に展開していく考え方は同じであり、対岸だと思っていた自身の業務や経験は今後確実に活かしていけるのだと感じます。

大体の上場企業がPRとIRは部署が分かれているかと思うのですが、相手の業務理解を深めると双方でシナジーが生み出せるのかも知れない。
そんな、PRとIR双方の更なる可能性を感じた1年でした。


・最後に


最後に、ここまでで述べてきた勉強会やコミュニティ、そしてこういったIR系ACなどは本当に勉強と学びになります。繋がってくださり、そしてお声がけいただきありがとうございます。
これらを通じて学び、ヒントも得ながら当社のIRも更に積極的に行っていけたらと考えております!
自社の伝え方を工夫することで、今まで出会えなかった横の繋がりや投資家の方とコミュニケーションが生まれるかも知れない。今はそんなワクワク感を持っております。

このワクワク感を締めの感情として、明日の12/15ご担当「note株式会社 IR 三浦さん」に繋げさせていただきます。

ここまでIR系ACを公開された方々、ご執筆お疲れ様でした。気づきと学びをありがとうございます。これから公開される方、楽しみにしております!
裏IR系ACも!


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それでは、最後までお読みいただきありがとうございました🥰