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23.事業や仕事に「失敗」は存在しない。

▼誰に読んでほしいテーマか
・起業準備中で、アイディアを固めている方
・新規事業開発の担当者
・ビジネスの方針転換を考えている経営者・責任者

今回は、事業やプロダクトを形にしていくうえで、
一番難しく、そして大切だと思うことを書きます。


▼「もっとも解決すべき課題は何か」


ニーズを捉えるには、顧客の声は必要不可欠です。

ただ本当に大切なことは、
そのニーズが解決できるものかどうかを見極める
ということです。

「ニーズ」=「顧客が抱える課題」と言い換えることができ、
課題は「理想と現実とのギャップを解決するための手段」だと言えます。

事業活動とは、これを解決するためのサービスやプロダクトを考えて
提供する営みです。

この中で、一点忘れてはいけないのは
顧客自身が、当事者として一番解決に取り組もうとしているし、
その難しさも理解している」
ということです。

例えば、
・ターゲットの採用が100%できる求人媒体
・集客コストがどこよりも安い広告媒体
・100%マッチングが叶うプラットフォームビジネス
・社員が100%満足する評価制度やシステム、ツール


これらは事業を提供する側のビジョンとして持つべきものですが、
いきなり「100%解決」できるものを提供することは稀です。

なぜなら、顧客が様々対策を講じても
解決できなかったものであることが多いからです。

アイディアを事業化に移す手法として、
「あるべき姿」を定めて、逆算し、実装・提供することが多いと思います。

中でもよく起こるのは、アンケートなどで得た顧客の声を
すべて取り入れた、一部の隙も無いサービスを目指そうとして、
順番に機能を実装・改善していこうとすることです。

もちろん間違ってはいないのですが、レストランに例えるなら
そのお客さまがいま一番食べたいものや、来店された背景などは聞かずに、
人気があるからと、自分が出したい料理を、どんどんテーブルに並べ、
「どうぞ、どうぞ」と勧める光景と同じです。

誤解の無きようにいうと、
「手抜きや妥協をしましょう」ということではありません。

顧客も、対策をいろいろ講じてきたはずで
それでも一人(自社)の力では難しいと思っているはずだ。
という前提を持つことです、

この視点で事業を見てみると
いま最も解決しなくてはいけない顧客の課題とは何だろうか

このような思考が生まれてくるはずなのです。


▼「なぜ自分(自社)なら解決できるのか?」


近年では、起業も新規事業も
まずは小さくテスト」から始めることが普通です。

テストに目的や指標設定が重要なことは、言わずもがなですが、

よく目にするのは、テストの時点で、
早々に収益性を判断しようとするケースです。

もちろん収支のチェックは重要ですが
ここをメイン指標として据えてしまうと
「儲からなさそう、スケールしなさそう=早々に撤退」という
判断を下しやすくなります。

もちろん、組織であれば、収益性や拡張性が低い、
もしくは、それすらわからないという事業に、
リソース投下や投資を続けることはできません。

なので中途半端な投資を続けないためにも
撤退基準を定めておくことは、経営判断としても超重要です。

ただ、あまり初期の段階で「儲かるのかどうか?」が判断軸になると、
少し目論見と外れた場合でも、「この事業は失敗」とみなしてしまい
「改善」は「敗戦処理」に形を変えてしまいます。

結果、顧客インサイトや、振り返りがそこそこになってしまったり、
自分(自社)の中に、蓄積・共有化できるものが少なかったりします。

従来的な、「新規事業とは多産多死」というモデルを
否定する気はありません。

ただ昔とは異なり、リソース(特に人財)や資金が
有限であることを考えると、
とにかくチャレンジだけを奨励するというモデルに
頼りきりでもいけないと個人的には思っています。

ましてや個人が起業することならば、
何十回、何百回と新しい事業にチャレンジをするのは
費用的にも時間的にも非現実的です。

先述の通り、一番重要な点は、顧客課題の解決を
なぜ、なにがあれば自分が解決できるのか」を考える点に
あると思っています。

専門的に言うと
PSF(problem solution fit)を達成すると言ったりします。
問題解決にフィットするものを提供できるかどうか」です。

ただ、この部分はいろんな記事や書籍などでも解説されているので
ここで詳しく僕が書いても、あまり有益ではないかと思います。

それよりも、リアルな現場では押さえておくべきだと思うことが

「今、その能力がないからダメ」ということではなく
なにをしなくてはいけないのか」を、自分の中で、
組織なら現場やチームの中に浮き彫りにすることです。

それが前述した「もっとも解決すべき課題」にたどり着く糸口になります。

顧客の課題を解決するには、
自分のスキルで足りるのか、組織としての能力底上げが必要なのか
社内にあるものやノウハウでカバーができるのかということを
仮説とともに立ててみると効果的だと思います。


▼お金をかけずにどう実現するか


実は、今回のテーマで一番伝えたい部分がこれです。

お金(リソースも含む)を投じれば、
大抵のモノ、アプリ、システムなども創ることはできます。

ただお金が、すべての解決手段になることには注意が必要です。
なぜなら「お金がないので、〇〇ができない。■■も難しい」
といった「できない思考」にハマりやすくなる可能性があるからです。

特に起業をするときは、自己資金には限界があります。
「やりたくても資金が足りない」という歯がゆさはわかりますし、
そのために資金調達といった手段を求める方もいらっしゃいます。

ただ仮に資金がなかったとしても、
ミニマムで実現できる方法を考えることが必要ですし、
それは不可能ではあり前ん。

いきなり根性論?と捉えられるかもしれませんが
制限下での「洞察や吟味」からしか生まれないこともあります。

立派なシステムも、潤沢な資金もないというバックグラウンドで、
「顧客にできる最大の価値を提供しよう」とした場合に
何をどこまでできるだろうか。

このような思考をもっておくことで
実は顧客のどの部分を解決すればいいかという
洞察を深めることに繋がります。

もちろん資金が全くゼロの状態で
事業を行うということは稀かもしれませんが、

このように洞察と吟味を行うと、
最小のコストで、顧客に価値を与えられる最小のサービス

という次のステップに移ることにつながります。


▼「失敗」は「成功」に変換できる


これは僕の経験則です。
事業や起業において、成功するか失敗するかは結果論であって、
ここは考え方が一番重要だと思っています。

確かに客観的には事業や起業は「成功」か「失敗」かという
二者択一の判断になりやすいのが実状です。

ただ、まわりの評価を受けて、「失敗した」と
自分も判断してしまえば、その時点で、学びや経験の効果は半減します。

もし狙い通り、うまくいかなかったとしても
数多の選択肢の中から
うまく行かないルートや方法を発見することに成功した
と、失敗→成功に変換することが大事だと思うのです。

このように思考を切り替えることができれば、
事業や仕事に「失敗」は存在しなくなります。

これは別に新規事業に限ったことではなく、
ましては新卒・ベテラン・経営者などの関係なく、
すべてのビジネスパーソンに当てはまることだと思います。

言葉遊びや、単なる捉え方みたいに思われるかもしれませんが
なによりも、自分で自分の心を折らないためにも、
この癖付けはすごく大切ですので、是非シェアしたいのです。

アイディアを形にしていくこと、
それを顧客との対話から引き出していくことのは
とても難しいことですし、
時には幾度も試行錯誤を繰り返す必要があります。

必ずうまくいく方法はありますし、
うまくいけば、これ以上ない喜びが味わえることも事実です。
ので、是非、経験と探求を続けていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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