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母は家に帰ることはなかった

長い入院の始まり

〜今日も見て下ってありがとうございます〜

心の支えだった愛犬をみおくり、母はいっそう壊れていった。 
そして、数日後に初のデイサービスを控えたある日、父に連れられて墓参りにいった母は転倒し病院に運ばれた。股関節を骨折してしまったのだ。父は山の上にある墓に連れて行った自分を責めてパニクっていた。

入院手術のため必要な検査を受けて、Dr.に呼ばれた私と父。母の諸々説明の後、おっしゃった。

「娘さんは同居ではないのなら、お父様だけでは無理だと思います。お母様はこのまま家には戻らず、施設に入られた方がいい」

え、今その話し?

「院内の相談員と話して、早めに探し始めることをお勧めします」

何か色々早い。

もちろん手術後母がどうなるか、先生方はおおよそ検討がついているのだろう。アルツハイマーだし、老々介護だし。
でも実は私以外にも家族はいるとか、家庭の事情等も、まだDr.は当然知らない。
そして高齢だが、父は見た目とても元気そうで頭もクリア

そもそも検査も完全に終わってない患者の家族にそこまで断言するって…

うちってそんな非常事態なん?(そうだけど)

ちょうど友達から、お母様が怪我で入院して今は老健、出てきたらお父様では診られないからとても困っている。という話を聞いたばかりだった。彼女にも仕事がある。
私はこの友達の悩める事情こそ、昨今一般的なものかと思っていた。特養を希望している友達など“特養かお迎えか”などと言っている。

だというのに?うちの場合は救急車でいきなり来て、半日だというのに
「老健から特養、時間がかかるなら老健から老健という手段もあります」老健に入るのに時間がかかるなら入院調整できるとも、Dr.はおっしゃる。

老健から老健?からの特養?入院調整とな?
調べたらそれも可能だと書いてはある…が。
何だか私達に甘くないか?

次の日、父と共に母のかかりつけ病院に事情を話しに行った。
長く母と祖母を診てくれていた老先生は
「お父さんが看ることは考えない方がいい、このまま施設に入りなさい。必要ならお手伝いします」と父におっしゃったのだ。

昨日に続いてのこれだ。私にはどうしても「あなたがお世話しない方がお互いのため」と父が言われているように聞こえてしまった。


子どもに迷惑は絶対にかけたくない。私はまだしっかりしていた頃の母の、この言葉を信じて現在進行形で行動しています。母も父方の祖母の介護で苦労したので。

そして、今はあの時のDr.方の判断にとても感謝しています。「二人の先生がそう言ったんだから仕方ないじゃないか」と父は自分を納得させる事ができています。
本音で言えばDr.は私の言いたいことを代弁してくれた。と思っていたんだけれど。







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