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彼岸花が咲く頃に

不思議な夢を見た。

おばあちゃんの家の前に兄と立っており、門がひとりでに開く。何も見えていないはずなのに、「おばあちゃんが出てきたんだ!」と、二人で手分けして探しに行くところから始まる。

走っている最中、見知らぬ一軒家の前を通る。
そこには勝手口に男の子が一人、門の前に女の子が一人立っていた。

男の子は家の中を覗いていたが、私に気づいて振り向き、シッシッと手であっち行けというようなジェスチャーをしてきた。

ここで場面が切り替わり、おばあちゃんちの中に私はいた。
そこに先ほどとは違う男の子、その正面には霊媒師のような男性が向かい合って座っていた。男の子の隣には亡くなったであろう幽霊たちが何人かいた。

血まみれでボロボロ、足を包帯で巻いている、傷口が見えている、というような幽霊たちが並び、それぞれが男の子に何か言い、男の子は霊媒師に伝言している。

また場面が切り替わり、おばあちゃんちの階段にいる。先ほどの霊媒師もいる。そして、「ここに来る時は私がいる時だけにしてください」と言われ、ふと壁を見るとブラックホールのような黒く、奥の見えない渦巻き状の何かがあった。

そしてギョロッとした目をしている大きな顔だけの女が中に浮いており、ふとそこで「これは夢だ」と思った。恐怖の感情と共に何故か「おばあちゃんに会いたい」と泣きながら起きた。

一部始終を人に言った時、「夢占いで検索すると『新しい世界に行く用意はできているけれど、その変化を受け入れる心の準備ができていないから』らしいよ。仕事のことが絡んで来てるのと、おばあちゃんのことについてはお彼岸が近いからじゃない?」と言われた。

たかが夢占いではあるものの、腑に落ちた。秋分の日の近くになって母に連絡をし、一緒に墓参りに行くことにした。家にも行ったが、その日は特に何も起きず普通の一日を過ごしただけだった。

おばあちゃんちには沢山の服がある。広いクローゼットが二つ、ラックも二つあるが全て埋め尽くされている。若い頃に着ていたであろう服を私が譲り受けて着ている。

母は淡い色が好みだが、私は柄シャツ、原色系や濃い色の服などを好む。おばあちゃんのクローゼットには柄ものが多く、生前にこの部屋にはほぼ入ったことがなかったため趣味が合っていたことは知らなかった。

その日もそうだが、行くたびに10着は持って帰っている。綺麗好きだったから状態がとても良い。身長も歳をとるにつれて低くなっていってしまったが、私と同じくらいだったらしく、サイズがピッタリである。もっと早く、おばあちゃんとこれ良いね、あれ良いねと話がしたかった。

母にも夢の話をした。「いとしちゃんが気にかけてくれているから見たんだと思うよ」と言っていた。自分の家に仏壇がないから、おばあちゃんとおじいちゃんの写真を飾って毎日手を合わせているから片時も忘れたことなどない。

天国はこちらとは違って気温差が激しかったり、天気が悪くなったりはしないのだろうか。もうおばあちゃんの体は痛くないのだろうか。おじいちゃんとおばあちゃんは再会できているのだろうか。

そんなことを手を合わせながら問う時もある。おばあちゃんの姿を夢で見ることはなかったけど、幸せに、穏やかに過ごしていてほしい。20年は会えていなかったおじいちゃんとも、再会できていてほしい。

知らない子どもたち、幽霊、霊媒師はなんだったのか全く分からない。でも恐怖よりも寂しい気持ちで起きた夢は初めてだった。今思い出してもそこまで怖さはない。夢って不思議だな。

彼岸花が咲く今の時期、花言葉はあまり良いものではないが、私は死を連想させるような花ではないと思っている。夢には幽霊が出てきたけど、おばあちゃんが花を育てることが好きだったことと、お彼岸だということもありこのタイトルにしました。

読んでくださりありがとうございました。
また来週!

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