事業が急成長する中で踏み切ったTVerの組織改編。新設された「人財戦略本部」の狙いとは〜/執行役員人財戦略本部長 奥江・タスクマネージャー 塩野 インタビュー
2022年7月、株式会社TVerは全社的な組織改編を実施。これまでの組織構造を刷新し、意思決定がスムーズな組織として新体制をスタートさせました。
今回注目するのは、その中で新設された「人財戦略本部」。
これまで、人事機能を含めバックオフィス機能全体を管掌していたコーポレート本部の中にあった人事機能を切り出し、採用力強化や新しくTVerにジョインしたメンバーのオンボーディングやフォローアップ体制の強化、現在の組織に適した人事評価制度の設計や文化形成、労務管理の効率化など、数々の施策に着手しています。
大規模な組織改編に至った背景について、人財戦略本部長の奥江とタスクマネージャーの塩野に話を聞きました。
■プロフィール
執行役員 人財戦略本部長:奥江 幸代(写真右)
人財戦略本部 人財戦略タスクマネージャー:塩野 浩章(写真左)
事業成長のための基盤強化の一環として、人事機能を整理・強化
──まずは、お二人の自己紹介をお願いします。
奥江:私はTVerの前身企業、株式会社プレゼントキャストが2006年に設立したのとほぼ同じタイミングで入社しまして、当時はサイト制作や開発を担当していました。
オリンピックの動画配信や、2015年の民放公式テレビポータル「TVer」の立ち上げに携わりつつ、現在に至ります。
株式会社TVerに社名変更されたのは、2020年7月。在京5社が資本を注入する形で、運営体制も大きく変わりました。塩野さんが入ってきたのもその時期でしたね。
塩野:そうです。私は2009年に株式会社TBSテレビへ入社し、2020年7月にTVerへ出向しました。
当初の主な業務は営業内のデータ整備やBtoBのイベントの企画・運営だったのですが、2022年1月、全社組織改編に向けたプロジェクトに参加をしました。
──具体的にどのような組織課題があったのでしょうか?
奥江:TVerは2020年7月の時点で放送局や広告会社など、様々な会社からの出向者が参画、さらに2021年4月にTVer Technologiesの開発メンバーが統合されました。
能力のあるメンバーが多く集いリソースが強化された一方で、メンバーの出自やカルチャーもそれぞれ違うため組織が分散し、意思決定や責任の所在が難しい状況にありました。
その解決を図るために発足したのが、全社の組織改編を目的としたプロジェクトだったわけです。一度組織をフラット化させ、意思決定をよりスムーズにする狙いがありました。
そのひとつとして実行されたのが「人財戦略本部」の新設です。
塩野:TVer自体は2015年にスタートしたサービスですが、2020年に入ってから社名もTVerに変わったり、大きな変化がありました。
その後リニューアルなどもあり、アプリのダウンロード数やMUB(月間ユニークブラウザ数)が急激に伸びる中で、当時の社員数は70名程度と圧倒的なリソース不足にありました。
奥江:事業を推進するためには、採用のスピードを上げて地固めをしないといけない。でも当時は総務や法務を担うコーポレート本部が人事や採用も兼務していたため、ここでも人手が足りない状態でした。
仮に頑張って採用活動を進めたとしても、今度は入社したメンバーへのオンボーディングや、入社後のフォローアップ体制が追いつかなくなる。
こうした、様々な課題を解決するために検討した結果、人事専門の部署をコーポレート本部から切り出すことにしたんです。こうして人財戦略本部は、2022年7月に立ち上げられました。
──現在、人財戦略本部はどのようなメンバー構成で運営されていますか?
塩野:現在は私と奥江さんのほかに、採用業務をメインとする担当者が3名、労務や人事企画、育成等の業務をメインとする担当者が2名、合計7名のチームで動いています。
もともとコーポレート本部に所属し採用や労務領域を担当していたメンバーのほか、人事領域の知見を持った中途入社のメンバーも新たに迎え入れています。
そのため、客観的な視点を持ったチーム構成になっていることも人財戦略本部の特徴です。
人財戦略本部の新設とともに、各種人事施策をスピーディーに展開!
──2022年7月の新設後、具体的にどのように施策を進めてきましたか?
塩野:まず取り組んだのが従業員サーベイです。メンバーの約8割から回答が得られたので、その結果と経営戦略を照らし合わせて施策を練ることから始めました。
そこで優先度の高いメンバー層向けの施策として判断したのが、新入社員向けのオンボーディングの仕組みです。
各部署ごとのOJTに任せていたものを、平準化を図ることと、その内容を人事部門が把握できる方法へと変更しました。
これが最初の提案だったこともあり、現場に受け入れてもらえるか不安でしたが、現場側も新任のマネージャーが多く、結果的には快く受け入れてくれました。本当にホッとしたのと、ありがたかったことを覚えています。
ほかにも、入社後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月目で人事担当からのフォローアップ面談を入れたり、入社直後の不安を解消するような施策を導入しました。
奥江:TVerの運営体制が変わってからの2年間、これまで取り組めていなかった人事課題をこの半年間で一気に推し進めました。
打ち手については、人事経験が豊富なメンバーに相談をしたり、ツールの導入に関しては良さそうなものをまずはライトに試してみたりと、スピードを意識して取り組んでいます。
──社内ではどのような変化があったと感じますか?
塩野:私自身の体感としては、以前よりもレポートラインの複雑性がなくなり、責任の所在も明らかになったと感じます。サーベイの結果も、最初に実施した時と比べて全体的に数字の改善がみられました。
定性的な部分では、マネージャーの意識変化もあります。奥江さんはどうですか?
奥江:以前よりも現場の声が人事まで届くようになり、社員が個々に抱える課題や悩みに対して相談に乗る機会も増えたと感じますね。
ここ2〜3年はリモート環境下での働き方が当たり前になっているため、とくにコロナ禍で入社したメンバーはコミュニケーションに苦慮したり、孤独感もあるはずです。
心理的安全性を保つ上でも、そこは労力を惜しまず対応していきたいと考えています。
2023年度も "人事力の強化" を促進
──今後さらに進めていきたい施策はありますか?
奥江:TVerはスーパーフレックス制度や育休制度など、働きやすい環境自体はすでに整っていると思うんですよね。
ただ、これまで人手が足りなかったこともあり、社内への広報活動が十分にできていなかったので、きちんと社員に周知して、さらに使いやすい環境にしていきたいです。
実際、私自身も子育て中でして「急遽子供が熱を出したので、ちょっと抜けます!」というようなことがしばしば起きますが、柔軟な働き方ができているなと感じています。
ほかにも、最近では男性社員の育休取得も増えてきましたね。
塩野:現在の仕事に就いて、様々な人事情報に触れることでわかったのですが、これまでは全社員における男性の割合が多い会社でした。
TVerは特定の誰かに向けたサービスではなく、国民の皆さんすべてに使っていただけるサービスになりたいという想いがあります。
そう考えると、働いている社員も男女問わずいろいろなバックグランドをお持ちの方の意見が反映されたほうが、ユーザーの皆さんに愛されるものになると思います。
また、現在は女性管理職がいないことも課題と考えています。
奥江:2023年度の優先度が高いところでいうと、人事評価制度の改定です。
様々な意見も出てくると思いますし、ローンチ後に課題も出てくると思いますので、ブラッシュアップさせながら、より良い制度に育てていきたいと思っています。
あともうひとつ忘れてはいけないのが、社内の文化形成です。昨年は土台づくりに注力していたので、今年度はそこも進めていきたいですね。
塩野:今年はリアルイベントとして、MVP表彰式も5月に開催予定です。
ミッションやバリューに沿った内容で、社内文化作りの一環として寄与させる狙いがあります。全メンバーが集まる機会もなかなか作れなかったので、組織の一体感を醸成する意味でも貢献できればと考えています。
今年は初となる管理職研修を実施できたので、今後はさらに範囲を広げて次世代リーダー研修なども実施したいですね。
事業が急拡大する中で、人や組織の在り方、カルチャーをアップデート
──今後、人財戦略本部として目指したい姿を教えてください。
塩野:人財戦略本部としては、会社の方向性や経営戦略にアラインしながらも、現場に歩み寄りながら事業成長に協力できる組織を目指したいと思っています。
一方で人事の観点でいうと、社員がモチベーション高く働ける環境を作るという大前提のもと、しっかりと事業成長に貢献できる組織にしていきたいと考えています。
奥江:そういう意味では今後、採用のタイミングで会社のミッション・ビジョン・バリューにフィットする人財を見極めることに一層力を入れたいですね。
とくにリモート環境下での採用面接となると、リアルに比べて見えにくい部分も出てきます。
現場はどのような人物像を求めていて、どのポジションでの活躍を期待しているのか。人事側の理解を深めるためにも、現場とのコミュニケーションをより大切にしたいですね。
──TVerで働くことに興味がある方へ向けて、メッセージをお願いします。
塩野:TVerは今まさに変革の中にあるので、主体的に動ける人にとっては働きやすい環境だと思います。現在、人財戦略本部で募集している労務のポジションにおいても決して守りのイメージではありません。
どちらかといえばメンバーと会話をしながら会社全体を巻き込んでいけるような、能動的な働き方が現場にマッチするはずです。
奥江:塩野さんが言うように、TVerはまさに成長期であり過渡期です。事業成長はもちろんのこと、テレビの存在そのものの変わり目だと思っています。
テレビの楽しみ方や映像コンテンツの視聴スタイル自体が劇的に変化しようとしている。そこに立ち会えるおもしろさを、ぜひ感じ取ってほしいですね。
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