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ビッグデータをいかに紐解き、事業成長へとつなげるか。TVerがデータ利活用で目指す世界/執行役員 CDO データストラテジー本部 本部長 末永インタビュー

2024年4月、株式会社TVerにデータストラテジー本部が設立されました。この体制変更には、事業におけるデータの利活用をより安全かつ効果的に行っていくという、私たちの思いが込められています。

データストラテジー本部は、どのようなミッションを掲げ、どのような取り組みを行っているのでしょうか。放送局でデジタル放送の立ち上げや視聴データの活用に長く携わり、現在TVerでデータストラテジー本部長を務める末永に話を聞きました。

■プロフィール
執行役員 CDO データストラテジー本部 本部長:末永 丈士
1997年、新卒で株式会社フジテレビジョンへ入社。技術職として放送設備や機材の管理に携わったほか、株式会社ビーエスフジへ出向し、BSデジタル放送の立ち上げに参与。その後は、テレビの視聴データの収集・分析を行う部門にも従事。2022年7月、株式会社TVerへ参画し、2024年4月データストラテジー本部の発足と同時に執行役員および本部長に就任。


放送局内のデータ活用事業を経て、TVerでデータストラテジー本部を立ち上げ

——末永さんは、放送業界ひとすじのキャリアを歩んでこられたそうですね。

大学時代は情報工学を専攻していたため、周りでは就職先に情報通信業界を志望する友人が多い印象でした。しかし「自分の持ち味をより発揮できる場所はどこだろう」と考えたとき、私は少し異なる環境に飛び込んでみたいと思ったのです。そこで、門を叩いたのがフジテレビでした。

入社当初は、技術職としてマスター業務(テレビ番組の放送配信や進行状況の監視を行う仕事)や、番組収録のための機材チェックなど、制作技術の仕事に携わってきました。

その後、出向や編成局への異動など、さまざまな業務を経験しています。TVerへの参画を含め、放送業界の中ではやや珍しいキャリアを積んできたかもしれません。

——長く業界に携わる中で、どのような点に仕事の魅力を感じていましたか?

テレビ番組は、一人の力だけでは決して完成しません。私たち技術職だけでなく、さまざまな現場のプロが集結し、一つのコンテンツを作り上げることが純粋におもしろく、最大の魅力だと感じています。

私は中高時代、サッカー部に所属していたこともあり、当時からチームプレーが好きでした。そのような自分の性格と、放送業界での仕事は、大いに重なる部分があると感じています。

——現在のような、データに関わる仕事に携わるきっかけは何だったのでしょうか。

マスター業務を担当した後、最初の異動がBSフジへの出向で、3~4年ほどデジタル放送の立ち上げに携わりました。そこから「デジタル」の世界に触れる機会が増えていったと記憶しています。

2018年頃には、視聴データの収集・分析を行う部門で管理職を務めることになりました。視聴率以外にもテレビ番組の分析をする方法はないかと、放送局内でも試行錯誤を重ねていた時期でしたね。

TVerへの参画は、当時の経験がきっかけになっていると思います。TVerでもデータの利活用に力を入れていくタイミングで、2022年7月より参画しました。最初の所属は「データ利活用推進室」という名称でしたが、組織が拡大していき、2024年4月には本部化に至りました。

データ利活用の転換期における「守り」と「攻め」の施策を担う

——データストラテジー本部の設立背景についてお聞かせください。

今、企業のデータ利活用のあり方は、大きな転換期を迎えています。ユーザーの個人情報を守る動きが高まり、法律の規制も厳しくなる中で、データを適切かつ安全に扱うことがこれまで以上に強く求められるようになりました。

そのような状況で、私たちがデータの利活用を進めるためには、複雑な法律に対応する「守り」の姿勢と、戦略的にデータをビジネスの推進へとつなげる「攻め」の姿勢、両方が必要となります。この大きな二つの方針を全社的に取り組んでいくべきだと捉え、データストラテジー本部を設立しました。

——データストラテジー本部の体制は、どのようになっていますか?

本部には「クオリティコントロール部」と「データ戦略部」という二つの部が存在し、それぞれのミッションを担っています。

クオリティコントロール部のミッションは、これまで増設を繰り返してきたTVerのシステム基盤を改修し、データを利活用しやすい環境に整えることです。また、データが安全に取り扱われるようにリスク管理も行っています。先ほどお伝えした「守り」の部分を受け持つ部署です。

一方「攻め」の施策を担当するデータ戦略部は、TVerが持つさまざまなデータを用いて、新たなコンテンツ制作やビジネス創出につなげることを目指しています。

TVer全社および各部署の指標やKPIの策定に関する定量的な面でのサポートや、TVer広告に出稿いただいている広告主側のデータと連携した詳細な効果測定の実施など、幅広く取り組んでいます。

——それぞれのミッション達成に向けて、注力すべき課題とはどのようなものでしょうか?

やはりまずは、既存システムの改修が先決だと考えています。現在の複雑化したシステム構造では、データの抽出にも職人技的なスキルが必要です。私たちが目指す「データを利用しやすい環境」を実現するために、2025年度上半期中のシステム刷新完了を目指しています。

同時に「データをどのように使うか」を考え、事業成長へとつなげる動きも重要です。Webサービスやプラットフォームを運営する事業会社にとって、ユーザーデータを分析して新たな機能や施策に反映することはもはや当たり前となりました。

では、TVerはどうか。現在、TVerにはビッグデータとも呼べる、さまざまな情報が蓄積されています。その中で、特集企画やマーケティング施策ごとのユーザー分析はもちろん日々行っていますが、まだまだ全社的にデータを活用し切れているとは言えないのが現状です。

将来的には、データエンジニアに限らず、どの部署・どの職種のメンバーでも必要なときにデータを取りに行きやすく、スムーズに活用できる状態を目指しています。そして、各部署の目標達成、ひいてはTVerというサービスの成長に向けて、データを役立てていってもらえたらうれしいですね。

データの力でサービスの成長に寄与できることが、何よりの醍醐味

——末永さんが感じる、TVerでデータ関連の業務に携わる魅力とは?

「テレビ番組」と一口に言っても、ドラマ、バラエティ、スポーツ、音楽……と多種多様なジャンルが存在し、番組によって視聴者の世代や属性もさまざまです。

そのようなコンテンツの一つひとつをいろいろな切り口で分析できることが、まるで“謎解き”のようで、非常に興味深い仕事だと感じています。

——“謎解き”という表現は独特でおもしろいですね。

「今クール話題になっているこのドラマは、どのような人たちに支持されているのか」「人気の要因は何なのか」と、データをもとに紐解いていく感覚です。

放送局はコンテンツ制作において、長年現場で蓄積してきた経験や勘を拠り所にしてきたと思います。もちろん引き続きそれらも重要ですが、TVerの視聴データを分析して、その結果をコンテンツ制作に反映できれば、視聴者の皆さまにより良い体験や価値をお届けできるはずです。

その一助となれることが、私たちの仕事が持つ大きな可能性であり、やりがいだと感じています。

——やはり、データをビジネスに活かせることに、仕事の醍醐味があるのですね。

そうですね。ですから、新たにTVerのデータストラテジー本部へ参画いただく方にも、そのような目的意識を持って仕事に取り組んでくれることを期待しています。

単にシステムから数字を取り出す作業としてではなく「その数字にどのような意味があるのか」といった問いに楽しく取り組める方は、TVerで大いに活躍いただけるのではないでしょうか。

——「TVerでのデータストラテジー本部の仕事はおもしろそう」と感じてくださった方に、どのようなメッセージを送りたいですか?

TVerは月間再生数4.9億回を超えるサービスに成長しましたが、実は社員数がまだ200名ほどの規模です。急激な成長を続ける事業に携わり、自分の仕事が直接サービスの成長に寄与すると実感できるフェーズにあります。

実際に組織の中に入って、ぜひその成長スピードを肌で感じていただきたいです。ともにさまざまな施策に取り組めることを楽しみにしています。


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取材協力:CASTER BIZ recruiting