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我流日経新聞の読み方

◎日本経済の健康状態を毎日報せてくれる同紙は貴重だ。そして同紙の読み方を指南する者は多い。

 「今朝の日経にこう書いてありましてね…」というやり取りは、挨拶の次に切り出す日常風景である。決して日本版人民日報のY紙や、自民党の御用新聞S紙の記事を話題にしたりしない。しかし、日経も謂わば経団連の機関紙的存在と言えるので、日本経済にマイナスなニュースを如何に言い換えて伝達するか、数字を交えながら日々高度な執筆能力が問われる。

「敗退」ならぬ「転進」的記事も

 昨日も気になる記事があった。造船を巡る日中韓の競争について、大手の今治造船を取り上げ“「シェア重視」転換”との見出しで伝えている。つまり、今まで価格の主導権を握るためシェア拡大を掲げてきた同社が、高値で推移する新造船の契約価格をリードしたところで造船競争の第1幕を終え、シェア拡大にこだわらず船価を維持しながら「選別受注」を行っていく方針だという(韓国の造船業界も記事では同様方針となっている)。

 世界は今、ウクライナや中東情勢の緊迫で船不足あるという。その中で日本は人手不足で建造力が落ち、その穴を中国が埋めている。中国は不動産不況により、建設業界から造船業界へ人材が流れている。このため休業していた造船所が再開し、建造量が増えて世界シェアは5割に達し、更には液化天然ガス(LNG)船など儲けの出る船舶の建造能力も旺盛のようだ。
 一方の今治造船のシェアは6%から5.5%に落ちたが、「利益重視でシェアには拘らない」という同社の檜垣社長の声を伝えている。そして記事は、“船の品質や品ぞろえに加え、用船などのサービス面まで含めたグループの総力をあげた取り組みが「第2幕」を乗り切るカギとなる”とやや情緒的に結んでいる。

 このように国際競争で失速する日本企業の現状を「敗退」とは言わず「転進」的に言い換える。先般も武田薬品工業から分社化されたアリナミン製薬が、「アジア系独立ファンドMBK」に買収される記事を報道した際も、結局はMBKの企業プロフィールに触れることはなかった(社名由来が韓国出身のキム・ビョンジュ Michael ByungJu Kim 社長からとったことさえ)。
 時に日本企業がM&Aの対象となった場合は負け惜しみを滲ませて、日鉄がUSスチールを買収し、それが米国大統領選の争点となっている今は、兄弟愛の心で見守る記事が多いのも日経新聞の特徴であるというのが、我流もしくはワレ式(北朝鮮風にいうとウリ式)日経新聞読者の率直な感想である。


(以下随時追記)


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