chelmicoが映画「とんかつDJアゲ太郎」を原作者と一緒に観に行ってきたよ〜!
chelmico連載「キスがピーク」。今回は、この連載の題字イラストを手掛けて下さっている小山ゆうじろうさんとその相方のイーピャオさんが原作を手掛けたマンガ「とんかつDJアゲ太郎」の映画を、chelmicoと小山さんがともに鑑賞。その感想戦をお届けします。ネタバレもちょこっと含みますので、まずは映画を観て、観終わってから読んで、確認でもう一回観に行くとさらに理解が深まるかと! それではどうぞ!
取材&文/高木”JET”晋一郎 撮影/横山マサト
「とんかつDJアゲ太郎」
監督:二宮健
出演:北村匠海/山本舞香/伊藤健太郎/加藤諒/浅香航大/栗原類/伊勢谷友介
原作:イーピャオ、小山ゆうじろう『とんかつDJアゲ太郎』(集英社少年ジャンプ+)
全国ロードショー中
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会
――今回は映画「とんかつDJアゲ太郎」をchelmicoのお2人に鑑賞していただきました。そしてゲストに原作者の小山ゆうじろうさんをお迎えしました!
小山ゆうじろう よろしくお願いします。
Rachel 原作者の方と一緒に映画を観るなんて!
Mamiko めちゃくちゃ贅沢な体験だよね!
小山 こちらこそ貴重な経験ですよ。
――やはり原作者と一緒に鑑賞するのは緊張しましたか?
Mamiko 全然。
Rachel 全く。
小山 僕も。
――「贅沢な体験」「貴重な経験」って言ったそばからみんな淡白(笑)!
Rachel もともと小山とは友達だからね。
――友達になったのはいつから?
小山 代々木上原に「終日ONE」っていうビア・バーがあるんですけど、そこでのイベントで出会って。
Mamiko そこでパブリック娘。の清水大輔がDJするからってことで、同じくパ娘。の齋藤辰也と一緒に行ったときかな。
小山 僕はアゲ太郎のアニメ版の劇伴を作ってくれたmu-starsの藤原大輔さんと一緒に行ってて。
Mamiko そこで紹介されて知り合ったんだよね。私達は「chelmico」(2016年)でデビューしたての時期だったと思うんだけど、小山はchelmicoのことを知ってくれてて。
小山 ヒップホップが好きで新譜をチェックしてたっていうのもあるし、TREKKIE TRAXの人たちにアゲ太郎の連載中に協力してもらってたというのもあって、その流れでも知ったのかな(注:chelmicoのデビュー曲「Love Is Over」はTREKKIE TRAXの製作)。
Mamiko 私もアゲ太郎は読んでたからビックリしちゃった。
小山 そこでたしか、おぎやはぎのラジオ話で盛り上がったんだ(笑)。それからレイチェルを交えて呑みに行って。
Rachel そこから仲良くなって遊ぶようになったっていう感じだよね。
Mamiko お仕事でもchelmicoのファンコミュニティ「chelmico bears」のキャラクターやグッズのデザインもお願いするようになったり。
小山 徐々に遊び友達から漫画家として認識されるようになり(笑)。
――この連載の題字イラストも描いていただいておりますが、あのイメージはどのように?
小山 2人から「犬と猫がいい」っていうリクエストだけ伝えられて(笑)。
Rachel 自分たちで言ったことだけど、雑すぎる(笑)!
Mamiko でもそんなざっくりなオーダーだったのに、2人がイメージ出来るイラストになってて本当に素敵だった。
Rachel ロマンティックでかわいいよね~。
小山 UFOとバルーンも入ってるの気づいてた?
Mamiko 知ってるよ!
Rachel 知ってるから!……ってイキる必要ないけど(笑)。
小山 そういうオマージュも入れてみました。
Rachel その細かい気遣いがうれしいよね。もうステッカーにしたいし、電柱とか壁に貼りたい(笑)。
――いきなりボムの宣言を(笑)。マミちゃんはもともとアゲ太郎を読まれてたとのことですが。
Mamiko 一番上のお兄ちゃんが単行本を持ってて。お兄ちゃんはアナログでDJやってたし、マンガも大好きだったから「俺の望むものが全部ある!」って刺さりまくってた(笑)。だから小山と仲良くなったときはお兄ちゃんにめっちゃ自慢したよ。むしろ会ったその場で 「いまアゲ太郎の人が隣りにいるよ!」ってLINEした(笑)。
Rachel 私も普通に読んでたな。ネット(「少年ジャンプ+」)で読めたし、 SNSでも音楽好きな人だったり、カルチャー的に新しいものを見つける人が「アゲ太郎がすごい!」って話題にしてたから。だからイケてる人が読んでる漫画っていう感じだったよね。
Mamiko 絵もかわいいし、2人で描いてるっていうのもすごく良いよね。
小山 連載がスタートしたのが2014年だったんだけど、その掲載の直前に映画の「TOKYO TRIBE」が公開されて。
Rachel あ、じゃあ私たちと同期じゃん。私たちも「TOKYO TRIBE」観てラップ始めてるから。
Mamiko 「TOKYO TRIBE同期」だね。
――その同期の概念……(笑)。
小山 僕はあの映画を観て、HIPHOPやクラブカルチャーは世間的にまだまだ正しく認識されてないから、自分もやるからには真剣に扱わないとなと思って。だからアゲ太郎もクラブ描写とかDJの描写は丁寧に描こうと。
Rachel たしかに、DJとか、クラブで遊んでるような人たちが推してたから、そういう描写がしっかりしてるんだろうな、と思ってたし、実際に読んでもそれは感じたな。
――僕も読んだときに、そういう描写の丁寧さを感じたのと同時に、“フロアをアゲるのも、とんかつを揚げるのも一緒だ”っていう「とんかつとDJを接続する発想」に戦慄したんですが、あの着想はどこから?
小山 連載を始める前に、一緒にアゲ太郎を描いてるイーピャオ(「アゲ太郎」の原案をつとめる)と、 ラピュタ阿佐ヶ谷っていう名画座で「喜劇とんかつ一代」(川島雄三監督)という映画を観たんですよね。
――主演の森繁久彌の歌う「とんかつの唄」の「とんかつを喰えなくなったら死んでしまいたい」という迷フレーズは、河井克夫さんも松尾スズキさんとやっていた連載「お婆ちゃん! それ偶然だろうけどリーゼントになってるよ」で漫画にされていましたね。
小山 劇場出たときの2人の感想は「とんかつ食いたいね」と「この話の現代版を見たいね」で。それでマンガの構想を練ってるときに、渋谷を舞台にとんかつ屋とDJの2人が主軸になる物語が浮かんできて。
――最初は主人公が2人いたんですか?
小山 藤子不二雄(藤子不二雄Ⓐ)先生の「まんが道」みたいなイメージで。ただ、固めていくうちに、2人を立てるよりも、1人にまとめたほうが話が進めやすいのかなっていうのと、イーピャオが「昼はとんかつを揚げて、夜はフロアをアゲる」っていうフレーズを出してきて「それだ!!」って。もちろん、イーピャオはそのときほろ酔い状態でしたけど(笑)。
――シラフじゃ出てこない、むしろシラフで出てきたらヤバいフレーズですね(笑)。そしてマンガを原作にした映画「とんかつDJアゲ太郎」が公開となりました。
Rachel ちょうど観ようとしてたんだよね。
Mamiko ウソじゃなくてホントに。だから今日が2回目でもいいかなと思ったんだけど、やっぱり1回目のほうが新鮮かなって、今日まで我慢してた(笑)。
――ではその感想は?
Mamiko 超良かった!
Rachel 超良かった!
――気持ちは分かりますがもうちょっと語彙力を使っていただければ。
Rachel でも、その一言だよね。終わった後に「良かった~」って素直に思える映画だった。
Mamiko とんかつ食べるシーンが最初から多いし、ちょうどご飯時に差し掛かる時間帯だったから、「とんかつ食べたいなー」ってことに頭が支配されてた(笑)。でも中盤以降からは、ほろほろ涙が出てきちゃって。
Rachel わかる~。涙ポイント多かったよね。
Mamiko アゲ太郎のDJをお父さんがこっそり観に来るシーンとか泣けるよね。やっぱり親も不安じゃん。子供がDJとかアーティスト活動するなんて。
Rachel 自分に置き換えたんだ。
Mamiko そうそう。「私たちのライブにも見に来てくれたなぁ」とか思い出しちゃって。お父さん役のブラザートムさんが、途中から自分のお父さんに思えてきちゃったもん(笑)。
Rachel マミちゃんのお父さんはああいうタイプだよね。多くは語らないけど、しっかり応援してくれるっていう。
Mamiko あとアゲ太郎がポジティブで素敵!
Rachel へこたれないし、真っ直ぐでかわいい。だから楽しく観られるんだろうね。
Mamiko 私だったら最初のステージで失敗したら絶対立ち直れないもん。一生トラウマになっちゃう。
小山 ステージ上でスベるシーンとか、やっぱり心がえぐられちゃう?
Rachel えぐられるよ~。「うわー!!!」って声出そうになっちゃった(笑)。でもアゲ太郎はすぐに立ち直るし、そこに元気がもらえた。アゲ太郎の友達のバックアップも感動したよね。無償でアゲ太郎を応援する姿に、ホントに「友達って大事だな」って泣けちゃったよ。
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