【20】ところで、商標登録をすると儲かるのか?
こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
昨夜は、雲のせいでスーパームーンが見えませんでした(涙)。
さて、この「はじめての商標と商標登録のためのお話」も、今回で20記事目となりました。ここまでお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます。
それぞれの記事の閲覧数はイマイチのようですが(苦笑)、対象読者を絞っていますので、ある程度は仕方がないのかなと思います。ただ、やはり多くの経営者・事業者の方々に商標や商標登録について知っていただき、きちんと理解をすることで、ビジネスリスクを減らしてほしいという想いがございます。
なので、今後は、より多くの方々に読んでいただけるような工夫も、考えていかねばと思っています。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
ところで、経営者・事業者の方々が、おそらくずっと気になっているのではないかと思われる点が、一つ思い当たります。
それは・・・
商標登録をすると儲かるの?
ということです。
そりゃそうですよね、経営者やオーナーであれば、「わざわざ費用・時間・労力をかけて商標登録をする以上、それなりの見返りはあるのか?」は気になるはずです。
ということで、今回は「商標登録をすると儲かるのか?」について、お話ししていきたいと思います。なお、今回の記事には、私、商標弁理士Nの主観も多分に含まれますので、その点は予めご了承の上、お読みくださいませ。
で、早速ですが、その結論から申し上げると・・・
ただ商標登録をするだけでは、儲かりません。
というのが、実際のところとなります。
しかし、
商標登録をうまく活用すれば、儲かるチャンスはある!
というのも事実でしょう。
日常において、皆様は「発明で一攫千金!」とか、「特許を取って大儲け!」といったワードを、よく目や耳にするのではないかと思います。「商標登録をすると儲かるのか?」という疑問を抱かれる方々は、商標登録にこれらと同じようなイメージをお持ちなのかもしれません。
しかし、商標は「識別標識」ですから、単に生み出すだけでは価値がありません。最初は、ただの文字とか図形にすぎないのです。
これを商標登録しても、ただの「商標登録がされた商標」になるだけです。
それだけで、その商標の価値がグンと上がるとは言えないでしょう。
商標は、実際に商品やサービスに使われて、多くのお客様に知られて、お客様からの信用を得て、そして、その信用が蓄積されてこそ価値が出ると言えるものです。これは、世の中で「ブランド」と言われるような商標を思い浮かべてみると、よくわかるのではないかと思います。
ですから、単に商標登録をしただけの商標とか、まったく使っていないような商標には、基本的に、たいした価値はないのです。
つまり、ある商標について商標登録をしたとしても、それだけでお金がガッポリ入ってくるなんてオイシイことはまずないのです。商標の価値というのは、地道にコツコツと使った結果、時間をかけて少しずつ少しずつ、高まっていくものなのです。
ですが、だからと言って商標登録が役に立たないわけではありません。
このように、地道にコツコツと商標の価値を高める過程で、商標登録をうまく活用できれば、そこに相乗効果を生み出すことは可能だからです。
その理由は、「【3】商標登録のメリットとは何か?」、「【4】商標登録の真のメリットとは?」、「【5】なぜ、商標登録をしないと怖いのか?」の記事を読んでいただければ、大体わかると思います。
そして、その結果、商標は強力な「ブランド」に成長し、自社だけがその商標を使えることで、ものすごい売り上げをあげられるかもしれませんし、いろんな企業からライセンスを求められるかもしれません。また、ものすごい金額で商標権の買取りを求められることもあるかもしれません。
もしそうなれば、商標登録によって、大きな儲けを生み出すことだって、不可能ではないはずです。
もちろん、ここまでたどり着くのは簡単なことではありません。
しかし、商標登録をしておけば、少なくとも、それをしていなかった場合に発生し得る余計な損失は回避することはできます。つまり、儲けは増えなくても、それを無駄に減らさないことには役立ちますので、トータルとしての利益を上げることはできるはずです。
このように、「儲かるのか?」という観点では、即効性はないけれども、長く付き合う上でジワジワと効いてくるというのが、商標登録だと言えるかもしれません。長い時間をかけ、歯車が一度かみ合ってスムーズに回り始めると、どんどんスピードが加速するといったイメージでしょうか。
ちなみに、まれにですが、まだ商標登録がされていない他社の商標を自分が先に商標登録して、その他社に商標権の譲渡料やライセンス料を要求することで儲けられるのではないか?という発想をされる方もいらっしゃいます。
しかし、これは完全に間違った商標登録制度の利用方法です。
というか、いわゆる「商標ブローカー」の考え方です。
商標法の目的や信義則の観点からも、許される行為ではありません。
不正利益目的の商標登録はダメ、ゼッタイ。
たしかに、ただ儲けを出すという点だけでいえば、短期的には上手くいくこともあるかもしれませんが、長続きはしないでしょう。いつか、必ずシッペ返しにあって、痛い目を見ることになると思います。商標や商標登録で儲けたいなら、正攻法で頑張ってほしいと思います。
少し長くなりましたが、こんな感じです。
「商標登録をすると儲かるのか?」についてまとめると、
ただ商標登録をするだけでは儲からない。
しかし、商標登録をうまく活用すれば儲かるチャンスはある。
商標登録は、地道にコツコツと商標の価値を高める過程でうまく活用することで、そこに相乗効果を生み出すことができる。その結果、それが最終的に大きな儲けにつながることもあり得る。
ということになるでしょうか。
ご参考になれば幸いです。
**********************
【企業・経営者向け】
「はじめての商標と商標登録のためのお話」は、
こちらの目次からご覧いただくことができます。
ぜひ、他の記事もご覧ください!
よろしければ、「スキ」を付けていただくと、
記事更新のモチベーションが上がります(笑)。
**********************
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?