【9】どんな弁理士や特許事務所に商標登録を依頼したら良いか?(後編)

こんにちは、商標弁理士Nです。
最近、またまた花粉症がヤバイです。

さて、前回の記事では、私が一人の弁理士として、「皆様が弁理士や特許事務所を選ぶ際に、ぜひとも知っておいてほしい大切なこと」について、お話をいたしました。

具体的には、以下の点が挙げられました。

1.サービス内容や品質は同じではない。
2.特許事務所には、いろいろな規模・形態がある。
3.弁理士には、一般的に専門分野や得意分野がある。
4.担当弁理士の経験・実績の値は重要な検討ポイント。
5.インターネット検索の順位は参考程度に。

前回は、これらの1と2について、お話ししました。
今回は、残りの3~5について、お話をしたいと思います!
では早速、見て見ましょう。

3.弁理士には、一般的に専門分野や得意分野がある。

弁理士は、知的財産(発明、実用新案、意匠、商標)のプロです。
ですから、どのような業務内容も取り扱えるというのが建前です。

ですが、実際のところ、弁理士にも専門分野や得意分野があります
たまに、どの分野の実務力もすごいスーパー弁理士もいたりしますが、一般的には、ある程度の専門分野や得意分野があるのが普通だと思います

この点も、依頼を検討する際には、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。

たとえば、貴社が新しいIT技術を開発して、これについて特許を取得したい場合、化学分野の特許業務を得意としている弁理士よりも、情報通信分野の特許業務を得意としている弁理士に依頼した方が、満足のいくサービスを受けられる可能性は高まると考えられるのではないでしょうか。

また、意匠分野や商標分野を専門としている弁理士もいます。
これらを専門としない弁理士でも、意匠や商標の業務を取扱うことはできるかもしれませんが、やはり各分野を専門とする弁理士に依頼をした方が、一般的には期待値が高くなると考えられるのではないでしょうか。

ちなみに私は、商標登録などの商標業務を専門とする「商標弁理士」です。

弁理士の専門分野や得意分野は、所属する特許事務所のウェブサイトの「弁理士紹介ページ」などに掲載されている場合も多いですし、本人が「弁理士ナビ」で掲載している場合もあります。

商標登録を依頼する特許事務所を選ぶ際には、このような観点も参考の上で、ご検討いただくとよろしいのではないかと思います。

4.担当弁理士の経験・実績の値は重要な検討ポイント。

「1.サービス内容や品質は同じではない。」や「3.弁理士には、一般的に専門分野や得意分野がある。」にも通じる話になりますが、弁理士の仕事は、誰がやっても同じようになるものではありません

やはり、「誰がやるか」というのは、サービスの質や仕事の成果に影響を与えます。たとえば、医師、美容師、デザイナーなどを思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。弁理士の仕事も、このように属人性が高いのです

ですから、貴社が特許事務所に依頼をした際、どのような弁理士が担当してくれるのかは重要な検討ポイントの一つと言えるでしょう。

この点、やはり経験が長く、それなりの実績もある弁理士が担当となれば、安心感はあります。ですから、依頼をする弁理士や特許事務所を選ぶ際には、その特許事務所にはどのような弁理士が在籍していて、どの程度のキャリアがあるのかといった点を知ることは、有用だと思います

ただし、必ずしも経験が浅いからダメというわけではありません。
私から見ても、経験が3年以下くらいの新人弁理士には、ベテランがいつしか忘れてしまった(?)仕事にかける熱いエネルギーのようなものを感じることも少なくないからです。場合によっては、ベテランに依頼する場合よりも、良い仕事をしてくれるケースもあるのではないかと思います。

また、新人弁理士や若手弁理士には、特に勉強熱心な人も多いです。
世の中の新しい技術や、新しい商品・サービスに関する依頼であれば、ベテラン以上の活躍をしてくれる可能性もあるかもしれません。

弁理士のキャリアについては、所属する特許事務所のウェブサイトの「弁理士紹介ページ」などに掲載されている場合も多いです。プロフィールに「〇〇〇〇年 弁理士登録」とか書いてあれば、だいたいの経験年数はわかります。また、「弁理士ナビ」でその弁理士名を検索すれば、「通算登録期間」という情報も出てきますので、これも参考になるでしょう。

経験の長さ、実績の多さももちろん大切なポイントではありますが、最終的には、本人の仕事にかける情熱や想い、ポテンシャル、前述した専門分野や得意分野なども総合的に考慮して、依頼する弁理士を選ぶと良いと思います。

5.インターネット検索の順位は参考程度に。

最後に余談となりますが、「インターネット検索の順位は参考程度に」という点を申し添えておきます。

若い世代には今や常識のようですが、私のような「おじさん世代」や、我々の親の世代くらいの人たちの中には、いまだにインターネット検索で上位に表示されるのは「良い会社」とか「信頼できる会社」だと思い込んでいる方も少なくないようです。リスティング広告というものを知らないという人も、まだまだいるようですね。

「特許事務所」とか「商標登録」などをキーワードにして検索すると、たくさんの特許事務所のサイトが出てきますが、この表示順位は事務所の良し悪しとは関係ないという点には、注意が必要でしょう。特に、Googleの検索結果で「広告」の文字が付いて出てくるサイトというのは、お金を払って上位表示を確保しているだけなので、事務所の良し悪しとは「まったく」関係ありません

インターネット検索(特に、Google検索)ではSEO対策の影響もありますので、面倒くさいとか、早く済ませたいという気持ちもわかるのですが、しっかりと弁理士や特許事務所を選びたい場合は、(どのようなキーワードで検索したとしても)少なくとも検索結果の10ページ目くらいまでは目を通すのが良いのではないかと、個人的には思います


以上、いかがでしたでしょうか?
あくまで、私が個人的に考える「弁理士や特許事務所を選ぶ際に、ぜひとも知っておいてほしい大切なこと」ではありますが、少しでもご参考になれば幸いです。

次回は、少し話を基本的なところに戻して、「商標登録はいつまで有効なのか?」という点について、お話ししていきたいと思います。


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