モノガタリを食べる
買ってきたお肉を包丁で切りながら
これはまだ焼く前の肉だ と思ってる。
いえいえそれは
ニワトリの足です。
このシチューには
牛の腕が入ってます。
豚の胴体の肉を薄く切って
アスパラに巻いてみました。
やめてよ、そんな言い方。
気持ち悪くて食べれなくなるじゃん。
でも…事実やん…
いま食べようとしているものの
ここに来るまでのストーリーを知ると
箸が止まるか
普段より五感が敏感になるか
感謝の念が湧いてくる ってこう言う事か!
と気がつく。
マッズなにこの味、もうこれ以上食べられへん。
そう思った料理。
実は世界最古の〇〇で、クレオパトラがその美貌を保つために好んで食べていたスーパーフードです。
と聞いたら、
おそるおそるもう一口食べてみたくなる?
すっぱ!皮も硬いしなにこのトマト〜
それ、愛娘が学校で毎日お水をあげて観察日記をつけて育てた一番最初に実った大切なトマト。
一番だいすきなパパに食べてほしいと持って帰ってきたトマトだよ…と聞いたら
忘れたくない愛しい味に感じる?
味無い…塩かソースかけていい?
これ、1個で10万円。だいたい5年待ちだけど
気候によって採れなかったりする年もあって超希少なんだよ。と言われたら、
おぉ、ほんとだ素材の味が…となる?
いらねえよこんなメシ!
これは君のお母さんが夜中の間に出張先から帰ってきて、栄養のバランスを考えて作って置いていったんだよ。寂しい思いさせてるからせめてご飯だけは手作りのものを食べてほしいと…
と聞いたら…?
物語を知ってから食べると、
なぜだか味が変わるときがある。
そのお肉は食べ物じゃなくて、生き物だった。
そのお魚はおとといまで海で生きていた。
そのお野菜も…
たとえ、料理する人が愛情を込めていなくても
工場でロボットアームが作った料理だとしても
もともとの材料は
ぜんぶ生き物。
捨てられるために死んだんじゃない。
だから
手を合わせて いただきます。