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俺はスターじゃない

 日曜の朝から月曜の夜まで、この輝ける3連休の2/3を自分は食中毒で寝込んでおりました。原因は「あの店のせいであろう」と大体の目星が付いてはいるのですが、別に確証が有る訳でも無いので「あの店のせいで俺は体を壊したァ〜!クソォ〜!!」みたいな、孤独な中年感が丸出しになった怨み節を書き連ねる事もできません。本当に、のたうち回っておりました。今もまだ頭が回らず、取り敢えず思い付いた事を書いていくだけのスタイルで今週のnoteの更新を乗り切ろうと思ってます。
 自分はコロナに罹った時に余りに辛すぎて2日間飯が食えなかったのですが、今回も丸一日悪寒で何も食えませんでした。「米2粒くらいならなんとか…」位のレベル。「3粒はきつい」みたいな。死ぬ寸前。汚い話で悪いけど、そもそも水飲んだ所で5分後には全部ケツから出ていくし。肛門へと続く独裁国家ばりの厳格なセキュリティが体内に設けられている状態。国民はたまったものではない!
 自分はなんか「めまいの病気の中で一番重いやつ(医師談)」に数年前から罹ってしまい、それはもう完治する事は無くて一生付き合っていくしか無いらしいんですが、で、去年の秋にすんごい奴が来たんですよ。その病気の。で飯食う為に仕方無く外出て歩いてたら弁当屋ののぼりにでかでかと「牡蠣フェア」って書いてあって、牡蠣の写真も添えられてて。それを見た瞬間頭の中で漫画家のポテチ光秀先生の作品の1コマ、うろ覚えなんですが、ベレー帽被って眼鏡かけたジジイがハナクソの付いた指を空にかざしながら、草を喰んでいる馬に向かって「お〜い!ハナクソって牡蠣の味しません?!」と笑顔で問い掛けているシーンが唐突にフラッシュバックしてしまって。ちなみに次のコマで力加減を知らない馬にジジイが腕ごと食われるんですが。それが4コマ漫画の起承転結の「起・承」の部分だからね。それはともかく、あまりの気持ち悪さに立てなくなってしまいまして。またさあ、その時期の飲食店なんてほぼ全店で牡蠣フェアのポスター貼ってんのよ。歩けば歩く程にハナクソジジイ(※後記:この老人にちゃんとした名前が付いていた事を、この文を書いている途中で思い出したのですが、彼の本名を調べる為にあの漫画を見返すだけの勇気が今の自分にはありません。今この状態でもう一度あのコマを直視してしまったら自分は廃人になると思います。申し訳ありません。元気になったら見に行きます)を鮮明に思い出してしまうっていう。本当にうずくまりながら泣いてしまって。ポテチ光秀にマジで殺されるって。最後の力を振り絞ってパチンコ屋に駆け込んでトイレで吐きまくってなんとか事無きを得ましたが。そのパチンコ屋も潰れたよ。次に同じ事が起こったら公道に吐くしかあるまいね。
 ただ、自分は他人のクリエイティビティに触れるという事は、そのエネルギーの影響を受けるリスク、それを覚悟しないといけないと考えているので、「てめえの下品な漫画のせいで死にかけたァ〜!!」と怨み事を言う気は(当たり前ですが)毛頭ないです。自分は数年前に本屋に添えられてた小型液晶TVでドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」を初めて見て、「ああ、これが逃げ恥か」とか思ってたら、なんかマンションに敷かれた布団に寝っ転がって見つめ合った美男美女のカップルが「どうして、そんなに可愛いんですか…?」「それは、こっちのセリフです…」とか言い出して。なんっじゃこのけったくそ悪い二人組はと心底腹が立ってその場でポテチ光秀の漫画を見まくった事があります。「毒をもって毒を制す」のスタイルで。偏見でしか無いけど、あのドラマって「いい家住んで、美男美女で結婚して、その際にこぼれ落ちる余分な物は全てノイズだと捉えて無視を決め込みましょう。優雅な生活こそが最高の復讐です」みたいなスタンスじゃないですか。汚物に塗れたジジイがゴミみたいに殺される漫画の方がまだしも人間性が有る気がしませんか?「どうしようもない人」を「どうしようもない人」として描いてはいる訳で。「どうしようもない人」を、この世に必要無いからという理由でハナから「いない物」として処理する姿勢よりかは誠実だと思うわ。独裁国家のイデオロギーを音楽で表す為に結成されたフュージョンバンドみたいなのよりかは、碌でも無い現実を歌ってるパンクバンドの方がまだいいだろ。

The Lewd/Climate Of Fear

逃げ場は何処にも無いんだ
そう感じた事はあるかい?
僕達の未来は忘れ去られている
勝ち目は見るからに薄く頼り無い
生き残れるチャンスはどんどんと痩せ細る

フォ・フォ・フォ・フォ・フォビア(恐怖症)!!
大気を漂う恐怖症
フォ・フォ・フォ・フォ・フォビア!!
恐怖症 恐怖に満ちた風潮

 まさに今の日本にお誂え向きの曲ですね。

 いや、本当は「碌でも無い現実を歌ってるパンクバンド」じゃなくて「クソみたいなパンクバンド」という文にしようと思っていて、でクソみたいなパンクバンドの曲を貼ろうとしたんですが、そもそも今の身体状態ではクソみたいなパンクバンドを思い出せない、思い出してもクソみたいなパンクバンドには基本公式の配信サービスとか無い、それでタンパックスという、以前もこのnoteに貼ったイタリアのパンクバンドの曲貼ろうとしたんですが、余りにもバカ過ぎて文章の趣旨がボヤける気がして止めまして。これより酷い表現そうそう無いだろって感じなので。でも、やっぱタンパックスも貼っておきます。いい曲なので。

Tampax Ado I'm not a Star

 まあ人間には正直な所「幸せになる為に生きてる」つうのとは別に「酷い目に会いたいが為に無理矢理生きている」という側面もありますからね、やっぱり。だからポテチ光秀氏の漫画の話は「そういう事がありました、いい思い出です」ってだけの話で、他意はマジで何も無いんですが、まあ、とにかく、今回は牡蠣フェアの悪夢が甦るくらい辛かった!あと、今タンパックスのライブ動画見返しながらつくづく思ったけど、テンガロンハットを被ってる奴がメンバーにいるバンドは本当に高確率で頭がおかしいね。

 昨日は「このまま寝ていたら俺はマジで餓死する」と思って、息も絶え絶えの状態で無理矢理外に出たけどもう10分おきにトイレに行かないといけない有様でして。自宅の近くにある全てのコンビニのトイレに入りながらなんとか食べられそうな物を探したけど、もうそうめんくらいしか思い付かなくてね。なんで街にはそうめんを出すレストランみたいなのが無いのかね。はなまるうどんとかがさあ、「うどん屋が、本気で作ったそうめん」みたいなのを夏季限定で発売とかしてくれんもんかね。病人にうどんは無理だよ。太すぎるって。
 で、とにかくヨーグルトと既に茹でてあるそうめんは食べたのか。どっちももうケツから出ていったと思うんですが。為政者によって追放された。で、ボロボロの状態でとにかくなんかCD聴こうと思ってこの前買ったメイン・ソースのベスト盤かけたら、初めて聴いた「ホワット・ユー・ニード」って曲がメチャクチャ良くて涙が出たよ。こういう曲を聴いて泣く為に無理矢理生きてるようなもんだよ。マジで。

Main Source/What You Need

 あと2000字くらいなんか書きたいんですが頭が回らない。もうここまでの文を書くだけで3回トイレに行ってるんだ俺は。あ〜思い出した。なんか、ヴィレッジヴァンガードが赤字になってるネット記事が出て、それで各々がヴィレッジヴァンガードについての思い出を語り合ってるらしいじゃないですか。俺も思い出あります。九州のド田舎に住んでた青春時代にヴィレッジヴァンガードという店ができて、「こ、こんな凄まじい店があったのか…?」と驚愕してカネコアツシのイラストがプリントしてあるTシャツを買ったらすぐ色落ちしました。でも、サブカルチャーなんて色褪せてナンボだから!大丈夫!全然気にしてないよ!あと、眼鏡をかけた20代後半くらいの店員が同僚に「俺、こんな年になるまでバイトしてるなんて思わなかったですよ…」と方言でボヤいてて怖かったです。いや、そんなネガティブな思い出ばかりではありません。なんか、「もしかしたらこんな感じで一生を過ごせるのかなあ…」みたいな夢を見せてくれる部分は絶対にあったじゃないですか。無罪モラトリアムって感じの。そこから俺が得た恩恵は大きいです。

色落ちしないバージョンで再発してくれ

 なんか"華やかさ"を全身に浴びたい時は自分は今でも高円寺店に行きますけどね。西部古書会館に寄った帰りに。骸骨の人形とか変なお菓子とか置いてあるから自分がサブカル好きな若者になった気がして居るだけで楽しいんですよね。だから、ヴィレヴァンは入館料を取りましょう。中年から。若者は無料にして。モラトリアムという概念の残酷さを貨幣制度によって浮き彫りにしましょう。自分にとってヴィレヴァンは「サブカル好きのおしゃれカップルが集う店」っていう、もう鹿鳴館みたいなもんなんで。目黒のライブハウスじゃなくて明治時代の迎賓館の方の。自分みたいな薄汚い中年はそんな高貴な店には軽々しく入れません、ましてや買い物なんぞとてもとても、ディスクユニオンで大人しくタンパックスとか買ってますってなるから。あと御茶ノ水店(でいいのか?)のヴィレヴァンにはさいあくななちゃんのでかい絵が飾ってあったんだけど、閉店したからもう見れなくなって悲しいです。

Red Hot Chili Peppers - Scar Tissue [Official Music Video]

 あと最近ブックオフの店内放送でレッチリの"スカー・ティッシュ"がよく流れるんですが、この前それで「いい曲だなあ〜」と思って涙が出まして。新宿駅前店で。ゆうて中年だから、俺「カリフォルニケイション」をリアルタイムで聴いてるんですよ。リリース時に。「わあ、レッチリの新譜!」と興奮しながら店の視聴機でプレイボタン押したら一曲目のイントロがワー!!て来て「キタキタキタキタキタ!!!」と思ってたら急にギターが「ペナペナペナ ペナペナ」って鳴りだして。あの時の衝撃は忘れられない。「なんだ、このショボい曲は…」っていう。一曲ずつ飛ばして「これもショボい、これもショボい…嘘だろ…」って固まったよ。だって前作が「ワン・ホット・ミニット」だよ!?あの落差をガキが理解できる筈が無いじゃん。「なんでこいつら急に農夫みたいな佇まいになってんだよ…」と途方に暮れたよね。「ロックは死んだ」と思ったね。カート・コバーンも死んだし。インターネットが普及して無かった頃にしか有り得ないエピソードなんですが、俺が友達からニルヴァーナって名前のバンドを教えてもらって、それから数人で聴き続けたその数年間。誰一人としてカート・コバーンがとっくに自殺してる事なんか知らなかったからね。友達の家で衛星放送から録画したニルヴァーナのライブ映像見ながら「新譜いつ出るんだろうね」みたいな事話してたらおもむろに画面下部にテロップが流れ始めて。「93年"イン・ユーテロ"を発表。翌年の94年、カートは自殺」って。そりゃもう大パニックですよ。高台に登って半鐘を打ち鳴らして村中に知らせたもん。「お〜い!!カートが死んでたずら〜!!!」って。泣きながら。今、思い出しただけでも涙が………
 まあ、そういう、「カリフォルニケイション」の枯れっぷりに衝撃を受けていたガキもね、無事に年老いて、スカー・ティッシュで泣くようになりました。良かったです。はい。
 最後に自分の青春時代の曲、ミッシェル・ガン・エレファントの"キャンディ・ハウス"を貼ってこの文を終わります。自分の中でのヴィレッジヴァンガードのイメージって、未だにこのPVの世界観で、こんな奴等に終わりも衰えも赤字も無いだろって感じなんですけどね。自分の中では。ヴィレヴァンの絶え間無い発展を願っております!

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT/キャンディ・ハウス

また来週〜!

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つやつやと実っている稲穂
なあ、頼む……たったの5ドルでいいんだって… 確かに昨夜はツキが無かったよな、ベニーがヘマ打っちまって…いや、イカサマじゃねえ、生まれ故郷のアリゾナに誓えるぜ、ただ必勝法があるのさ…次は負けねえよ…なあ、ハニー、5ドルでいいんだ…マンハッタンの夜景の様に俺を愛してくれよ…

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