Turtle’s letter／669人の子供を救ったニコラス・ウィンストン
Turtle’s letter では、様々な人の視点、思考の奥にある個人の物語や語りに耳を傾け、共有していくプロジェクトです。社会をより遠近感を持って捉えるきっかけとなるようなエピソードをキュレートしてお届けしています。
Today’s Quote
チェコ出身のイラストレーター、絵本作家のピーター・シス。第二次大戦渦、ホロコーストの脅威からチェコスロバキアの子供669人を救出したイギリス人、ニコラス・ウィンストン（この本の中ではNickyとして描かれる）の実話からシスが制作した絵本「Nicky & Vera」が出版された。ここで概要について書かれたNPRの記事を通じ絵本の内容に触れていきたい。
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この絵本の中では、ニッキー（ニコラスウィンストン）と、ニッキーの救出によって生き延びた子どもヴェラの生活の様子やニッキーの活動を水彩画で表現力豊かに描かれている。
He made lists of children.
He took their photographs.
He found train connections.
Spies kept watch.
Winton found foster families in England for hundreds of children, including Vera.
スパイに監視されながらも、彼は救出する子供のリストを作り、写真を撮り、電車を探した。ウィンストンはヴェラを含め、数百人の子供たちのために里親を探した。
戦後、ニッキーとヴェラは親友となった。ヴェラの娘のニコラ・ギッシングによると、ヴェラは現在は進行期の認知症で92歳。戦後、ヴェラさんはイギリスで結婚し、3人の子供を育てたという。「彼の行動がなければ、私はここにはいなかったでしょう」とニコラは言う。
ニコラは、シスがこの物語を書いてくれたことに「大喜び」している。彼女の母親、ヴェラはチェコのルーツを猛烈に誇りに思っているそうで、シスが自分のルーツを絵本を通じ共有してくれていることに喜びを感じている。彼女はページをめくると、チェコスロバキアでの母親の幼少期が生き生きと描かれているのを見て、特に感動したという。
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Turtle's view 🐢
私たちは歴史書や教科書から歴史を見て、それをさらに下の年代の層に伝えていくということが多い一方、そこに、個人の物語や歴史という側面を見落としてしまっていることが往々にしてあるのではないか。このような細かい視点で歴史を見ていくことでまた新たな気づきや視点と出会う。そういった意味で幼少期から、戦争をはじめとする社会の課題や歴史ついてシスが書いたよう絵本を通じ、学んでいくことで社会の中に潜む個人の声に着目できるようになっていくのではないのだろうか。
アイデンティティである自身の物語を共有したり、アーカイブしていくことは、その人自身の輪郭や息遣いを社会に残していく、蓄積していくということでもある。時代が変わり、世代が変わり、まちの風景も変わっていく中で、個人の物語は段々と姿を消していく。今回取り上げた記事は個人の物語を社会に蓄積し、層にしていくことの大切さについて考えさせられる記事だった。
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今回はここまで。
高いビルから全体を俯瞰することも大切ですが、時に一軒一軒のドアを叩き、様々な物語と出会ってこそ気がつくことや見える光景があるのではないでしょうか。
次回以降も個人の物語や語りをキュレートし、考察を添えNoteで共有していきます。
また、これからフィールドワークを通し様々な土地に根付く個人の記憶を拾い集め、この場でアーカイブ、共有していけたらと計画を進めております。
お楽しみに。
ではまた来週🐢
温